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理学療法士になりました                    ~リハビリ 日々是好日~
リハビリスタッフとして仕事をしながら、日々思うこと、記憶に残ったことを記録していきます。

プロフィール

どら吉

Author:どら吉
年齢   : 39歳
性別   : 男性
略歴   : 大学  ドイツ文学科を専攻
     : その後 金融機関に就職
           システムエンジニア
     : 退職後 専門学校に入学
           理学療法学科を専攻
     : その後 病院・診療所に勤務
     : 現在  診療所にて
           通所リハビリ業務
           訪問リハビリ業務



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古本屋さんでの格闘

こんばんは。

 本日は、46歳の男性、脳出血で左片麻痺(左半身の運動麻痺・感覚障害が残存)を
呈しているNさんのお話です。

 このNさんは、T字杖と短下肢装具を利用して、屋外歩行が可能な利用者さんです。
毎日のように、自宅から30分ほど歩行をして、地下鉄の駅の近くの古本屋さんまで歩いて行き、
そこで古書を数冊吟味をし、主に漫画を購入して帰ってくるのが楽しみの一つでもあり、
大事な外出機会でもあり、QOLでもあります。

 この利用者さんの悩みのひとつは、外に買い物に行っても、物を買って帰ることが大変だ、という
ことです。この方は、身体の左半身が運動麻痺をおこしており、また、感覚障害もひどく、
こちらが触ったり圧迫しても、左の上下肢はほとんど感覚がありません。
その方が、たすき掛けのカバンを肩にかけて、買い物に行くわけです。

 私も、訪問リハビリの際に、ともに考えて、試行錯誤してきました。その人がどうすれば、また、どの程度
ものをカバンに入れて移動ができるのか。
リハビリとしては、まずはリュッっくサックを考えました。両肩に均等に重さがかかり、両手が使える形
がとれるかと考えたわけです。
 しかし、実践してみると、Nさんの麻痺している左肩はなで肩、さらに麻痺により肩関節の随意的な
動きは全くないのが現状です。
 よって、リュックサックでは少し荷物を入れて歩行すると、肩からストンとカバンがずり落ちて
しまいます。

 よって、たすき掛けのカバンを試しました。
そのときに検討したのが、麻痺している左側にカバンがくるようにたすき掛けをするか、または、その逆に
右側にカバンがきがほうが良いのか、または、たすき掛けをせずに、カバンは肩にまっすぐかけたほうが
良いのか、、、これは、なかなか大変な試行錯誤でした。

 訪問リハビリのセラピストは、そんなことも考えるのか?そんなのはどっちだって同じようなものでは
ないのか?という疑問があるかもしれませんが、、、そんなことも一緒に考えたりします。

 Nさんは、古本屋さんでは、今よくコンビニエンスストアなどで売っている、廉価版のコミックで、
少し厚めのタイプが好きなようです。確かに、普通のコミックよりは太く、紙は軽めではありますが、
かさがあります。

 結論から言えば、Nさんは、たすき掛けにてカバンを右肩にかけ、左側にカバンの本体がくる
形が、一番バランスを崩しにくい、との結論に達しました。そのカバンには、大体コミックが最大
3冊程度入ります。それにお財布と、場合によっては(季節によっては)水筒またはペットボトルが
入るわけですから、このカバンの重さは1kg近くになる場合もあるわけです。
そして、たすき掛けのカバンは、腰辺りに本体がくるため、歩行の最中に揺れて腰にあたります。
 
 感覚の重度鈍麻なNさんにとって、そのカバンから生じる圧迫感や歩行の都度腰に生じるリズムは、
歩行する上ではなかなかやっかいなポイントとなります。
 ただ、右側の感覚が問題ない側にカバンを下げた場合だと、却って右ばかりに注意がいってしまい、
歩行バランスを崩しやすいことが判明しました。また、たすきの長さ、カバンの大きさ、重さ
もバランスに影響しました。
このような対応の仕方は、本当に、個人差があると考えています。麻痺の程度や、感覚障害の有無、
本人の体型なども影響するわけです。

 Nさんのすごいところは、古本屋の亭主にちゃんと事情を説明して、コミックや本を購入する前に、
一度、カバンの中にそのものを入れて、店内を歩行させてもらえるように交渉したことです。
それにより、バランスが崩れないことを確認して、初めて古本を購入することになるわけです。
その話を聞いて、私もそこまでのアドバイスに至らなかったことを反省しました。

 Nさんは、古本屋さんでのシュミレーション(本人は、格闘、と呼んでいます)を経て、
ようやく帰宅の途につくわけです。
30分で行き、30分店内にいて、30分で帰宅する。Nさんにとって駅前の古本屋さんの
存在は、かけがえのないものであり、歩行をすること自体のモチベーション、目的となっている
わけです。
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