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理学療法士になりました                    ~リハビリ 日々是好日~
リハビリスタッフとして仕事をしながら、日々思うこと、記憶に残ったことを記録していきます。

プロフィール

どら吉

Author:どら吉
年齢   : 39歳
性別   : 男性
略歴   : 大学  ドイツ文学科を専攻
     : その後 金融機関に就職
           システムエンジニア
     : 退職後 専門学校に入学
           理学療法学科を専攻
     : その後 病院・診療所に勤務
     : 現在  診療所にて
           通所リハビリ業務
           訪問リハビリ業務



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CBブレース

こんばんは。

 本日は、 CBブレースについて述べたいと思います。
cbbrace1.jpg   cb_seiza02.jpg
上図のような装具です。

 原則として、この装具の特徴は、膝のアライメントを整え、
変形性膝関節症の方に対して処方する場合もあります。
img_about03.jpgimg_about04.jpg

 ただ、私の経験上、膝の痛みを軽減するためにこの装具を用いるというよりは、
正しい歩行の形を学習してもらうために、練習用として利用者さんに使用することの方が多いです。

 この装具は、歩行時や立位の際に、膝の上下の大腿骨と脛骨がロックしたり、反張膝になることを防ぐので、
私自身は、脳卒中などで歩行時の麻痺側の立脚期(麻痺している側の足を軸にして反対側の足を振り出す時)
に、麻痺側の足がロックしないようにコントロールします。
 そのことにより、大腿四頭筋が収縮するので、麻痺している側の足の筋の活動を引き出し、また、
歩行時の振り出し時に自然に膝を前に出すことを誘導することができます。

 本来、脳卒中の利用者さんの歩行練習の場合は、セラピストが徒手的に麻痺側の足の使い方を
指導してきましたが、病院にて毎日練習ができる環境ならともかく、
自宅へ戻ってきて、介護保険の下でリハビリを行うようになった場合は、毎日、セラピストが指導は
できず、歩行時に麻痺側の下肢の筋活動があまり引き出せない人や、ぶん回してしまったりして
下肢の動きが上手く行えない場合には、このCBブレースを用いて歩行させ、
正しい筋活動を導いて、慣れてもらう場合があります。

 何分かこの装具を用いて歩行した後に、外して歩かせると、うまく歩行できる場合もあります。
長くは続かない場合もありますが。。。

 膝のロッキングや反張膝は、長い目で見るとやはり膝の変形性関節症にもつながり、膝の痛みに
つながるため、何とか早いうちに悪い癖は治していく必要があります。
 そのために、短下肢装具だけでなく、このCBブレースを用いることがあります。
img_about02.jpg
このCBブレースはセンター ブリッジ という言葉を表していますが、
膝を折ると正座まで可能です。 反張膝を防ぎますが、膝折れは防ぎません。
この特徴をよく理解した上で使用すれば、かなり効果的なリハビリを行うことができます。

 短下肢装具に金属支柱を用いる場合は、足継手にて足関節の調整を行うことである程度の
膝のロッキングは防げますが、やはり直接膝に関わる装具の方が、より効果的かと思われます。

 欠点といえば、かなり見た目に派手な感じなので、これを装着して屋外歩行練習などを行うことを
嫌がる利用者さんもいます。ただ、膝の痛みが既に出ている人に対して行うよりは、
それ以前の悪い歩行の癖を修正するために、使いたいと思います。

 膝の痛みが一度出てしまうとなかなか修正が困難ですし、痛みはなかなかコントロールが
難しく、骨の変形が進むと、場合によっては人工関節置換術などの処置が必要になってしまいます。

 そうなる前に、歩行の修正を兼ねて、こういった装具を練習用としても積極的に使用しています。


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人口減より、死亡者数増加に注目

こんばんは。

 本日は、久々に数字を追っかけていきます。

 厚生労働省の人口動態統計を眺めていると、2013年の統計では、
日本の人口は、24万4000人の自然減 とあります。

 2013年の1年間に、103万1000人の生命が誕生しています。

一方で、127万5000人の方が亡くなっています。

 癌36万5000人 心臓疾患19万7000人 脳血管疾患12万4000人 ・・・ 
 自殺2万8000人 乳児2500人

ということらしいのですが、とりあえずこの127万人という数は、戦後最大を更新しているようです。
戦争での死亡者数を、自然に亡くなっている数が凌駕している、というのは、
ある意味驚きです。そりゃ人口が減るわけです。

戦後すぐの統計は、120万人という、これも大きな数ですが、この時期は、14歳以下のひとが
1/3を占め、残りも多くは64歳以下だったとのことでした。

現在は、14歳以下の死亡者はほとんどおらず、死亡者の2/3は75歳以上となります。
また、このままのペースで増えた場合、2040年には推計約170万人の人が死亡するという計算
になります。

sibou.jpg
現状として、亡くなる場所としては、
まだまだ病院で亡くなる方の割合が大きいようです。
厚生労働省は、自宅で亡くなる人を現在の1,5倍に増やす! と言っているようですが、
1.5倍に増えたところで、どれほどの人が自宅で亡くなることになるのか、、、
12万人が20万人に増えたとしても、全体の数からすると、かなり割合としては低いような気がします。

そして、現在の病床数で、病院で最期を迎えられるのか、という点も、疑問符です。
現在の病床数では、今後の死亡数増に対して、足りません。一方で、病床数は今後増やさないという方針です。

sibou2.jpg

各国との比較では、病院で亡くなる人の数は、2000年前ですら、上図のような具合です。

ただ、この図の諸外国のように、厚生労働省としては、今後の亡くなる場所を、

グループホームや有料老人ホームなどの介護施設や高齢者住宅として想定しているようです。

日本人の死生観として、一番の理想は自宅にて家族に囲まれて、、、という形だと考えられます。
一方で、家族には迷惑をかけたくない、、、という思想もあります。

今後、どこで最期を迎えるのか、という部分はリハビリに関わる我々としても、大いに関係のある
ところです。
現状、地域医療の拡充、訪問リハビリや在宅医療の拡充がまずは充実していくことで、まずは
自宅での看取り、自宅での最期という形が増えていくことが理想です。
ただし、まだまだ現状としては、何かあれば救急車を呼んで病院へ。
地元の主治医よりも救急病院へ。
この感覚が根強いようです。


お金なんかいらないよ

こんにちは。

 本日は、熊本の天草出身の利用者さんAさん96歳、女性のお話しです。

 この方は、現在両股関節の頚部骨折、人工骨頭置換術を行った後、左大腿骨頸部の再骨折、さらに、
ASO(閉塞性動脈硬化症)の診断を受けている利用者さんです。

現在、生活保護を受けながらも独居を続けています。歩行は歩行器にてすり足で歩く方ですが、
気丈な方であり、自分の尿失禁したオムツを袋に詰め、
高さ60cmほどある直方体の大きめのゴミ箱を歩行器のように使いながら
近くのゴミ捨て場に袋を捨てに行き、帰りはゴミ箱を空にしてゴミ箱を利用して戻ってきます。

 もちろん、リハビリとしては、’ゴミ箱で外に出るのは禁止ですよー、転ぶとまた骨折ですよー’
と厳しめに言っていますが、、、聞きません。
恥ずかしいから、と夜更け暗いなか、ゴミ箱で移動して捨てに行きます。

 なおさら危険なのですが、、、、聞きません。シルバーカーを希望していますが、もちろん
ケアマネージャーも、だめですよ、外を歩くから、と買ってはあげませんが、、ゴミ箱で移動します。

くちぐせの一つに、’お金なんかね、いらないよ’というのがあります。
なんとかなるもんだ、と本人はおっしゃっています。ただし、生活保護は受けていますが。。。

 さて、このAさんは、熊本の天草出身ですが、海の方でなく、山の中の村にて生活していたようです。

家族がそれぞれの仕事を持っていて、

父親は馬や牛を飼育して、一部は田畑を耕すことに使い、一部は種馬として使って、子供を産ませ、
それを町へ持って行き、競りに出した、ということです。鶏舎も管理していたようです。

 母親は基本的に田畑に出て、米や野菜を育てていたということです。
基本的には一家が生活できる分作っていたようですが、余った分は、
町に売りに行ったようです。

 祖父母は自宅にて、本人いわく お蚕さん を飼っており、
そのお蚕さんの糸を使って、機織りにて衣類なども織っていたようです。

Aさんの弟は優秀な人物だったとのことで、町の郵便局に勤めていたとのことでした。
Aさんは、村中の子供の世話をして、駄賃を貰ったり、野菜を分けてもらったり、
自分に与えられた4畳半ほどの小さな畑で花を育て、それを商人に売っていたようです。

 つまり、実際に現金を給料として稼いでくるのは主にAさんの弟です。
この1人だけの収入で、あとは、食べるものは母親が田畑で作った米や野菜、
父親はそのサポートをする馬や牛を飼育して搾乳した牛乳、鶏舎でとれた卵を食料にしていたようです。
祖父母は出来る限りのささやかな養蚕の仕事をしていたとのことですが、
作った糸は、ある程度の値段で町の商人に売れたようです。

 Aさんからすると、現金を持っているよりも、生活に必要な役割分担ができる家族がいることが大事で、
お金がなくても食べることは問題なく出来た、とのことでした。

 父親の飼っていた馬が種付けをする時の話は、Aさんは楽しそうに話をします。
メス馬何頭かの手綱を木に括りつけて待機させ、オス馬を放つらしいのですが、
ヒヒーンとオスもメスもかなり興奮した鳴き声をあげるらしく、
また、その交尾の光景は、周りの子どもたちは面白がって見に来るとのことでした。
もちろん、親たちは、あまり見せたくないらしく、子どもたちを叱るようですが、
子どもたちはあまり聞く耳をもたず、その光景を見に来るとのことでした。

 お金を手に入れても、使うためには町の方まで(3里ほどあったようです)下りて行かねばならず、
それ以外には、天秤棒を担いで魚を売りに来る商人から魚を買う時に必要なくらいであった、
ということです。

 このような生活をしてきたAさんは、非常に働き者だったようです。
ただし、戦時となり生活が厳しくなった時期に、食い扶持を減らすためということで、
Aさんは中国の上海にいる叔母のもとへ送られたようです。

 このような背景を幼少時代よりもつAさんが、こちらがどれだけ、転びますよといっても、
一人で現在も家事全般をやりたがり、ヘルパーさんが尋ねてきたころには洗濯も掃除も
危なっかしくいろいろやっていることは、自然な流れなのかもしれません。

 まぁ、こちらとしては、注意することは注意するのですが、本人の意思ややり方を曲げるわけにも
いかないので、どうぞ転ばないようにと祈るばかりです。
どうせ歩くのなら、とケアマネージャーにシルバーカーもOKにしますか、と現在交渉している
最中です。
 

移乗動作について2

こんばんは。

 本日は、移乗介助の方法に関して、前日のようにメカに頼らず行わなければならないような場合、
かつ、少し特殊な場合に関して説明します。

 photo_5.jpg51.jpg
2.png
 とまぁ、写真からわかるように、
①利用者さんの身体は前傾位   (体幹が一度前に倒れると自力では戻せない・姿勢保持できない)
②利用者さんの両足は浮いている (下肢の支持力は利用できない)
③介助者は座位にて側方・後方より介助  (介助者は前方からアプローチしない)

といのが特徴です。
 利用者さんの疾患は、脊髄損傷や、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、悪性関節リウマチ、などなど、
さまざまな疾患に関して対象となりますが、
基本的には利用者さんが座位での姿勢を保つことが困難で、体幹が前傾してしまうと修正が困難な場合、
両上肢が拘縮、または過緊張のために移乗の際に手すりを掴んだりすることが困難な場合、
足部が内反尖足位となり、足底の接地が困難な場合、または、足底や足指が接地すると筋緊張が強くなり、
全身が過緊張となってこわばってしまう場合、
身体に振戦や不随意運動が強く出ており、自分での修正が困難な場合、
足部や仙骨部に褥瘡があり、トランスファーボードや、前方からの介助では、褥瘡の悪化が懸念される場合、
整形外科の術後などで、下肢への荷重制限がある場合、
自分よりかなり体重の重い利用者を移乗する場合に、上記のようなケースにて本人の下肢の支持を得られない場合、
などなど、
いろいろなケースにて考えられる方法の一つです。あくまで、方法の一つで、うまく適応できるかは、
移乗介助する側と、される側との相性などもあります。
それほど、たまにしかやらないケースとも言えます。

ただし、写真のように行う場合だけでなく、利用者に大きなクッションを抱かせる場合や、
両膝や股関節の間にクッションを入れる場合、足底をつかせる(片足、または両足)のように、
工夫を加える場合もあります。また、トランスファーボードと組み合わせて、より転落の危険を減らす場合も
あります。

さて、方法ですが、介助者な利用者さんの腋窩と臀部を支え、利用者さんの前傾姿勢を利用します。
つまり、もともと前傾姿勢が強いため、重心がかなり前方に移動しています。
よって、こういう利用者の臀部は意外に軽く感じます。
車椅子からベッドに移乗させる場合、相手をどのスペースに引き寄せるかを考え、そのスペースを開けておきます。
そのスペースに向けて、利用者の臀部を回していくのですが、
自分の大腿部に利用者さんの両下肢を乗せてた時、自分の大腿部と相手の大腿部が
ちょうどバッテンとなるように、クロスするように相手の大腿部を乗せると、
あまり臀部を大きく回さなくてもある程度の位置に相手を引き上げられます。

逆に、ベッドから車椅子に乗せる場合には、なるべく車椅子を自分の足元に引き寄せ、
ベッドに座る自分の下肢の高さを調整し、ベッドから車椅子の座面に下ろす際、高いところから低いところに
流すようなイメージで移します。 まぁ、実際にやってみないと、これもケースバイケースです。

私の場合、この方法を用いたのは、学生の際にある大学病院のリハビリ室において、アキレス腱を
断裂したお相撲さん(当時130キロくらいでしょうか)を移乗する場合に、その当時のセラピストより
教わりました。自分よりかなり重い力士さんでしたが、両手がきいたこともあり、
その力士の足を自分の腿に乗せ、相手の上肢の力を利用して移乗してもらいました。
(この写真のような、両上肢が使えないケースとは少し違いますが)

工夫を加える事を前提に、このような特殊な感じの移乗方法もあるということです。

前方より介助できるような、ある程度下肢の支持がある利用者に対しては、
下の写真のように
①前方より肩で抱える
②前方より腰で抱える
ようなケースもありますので、このような介助方法もあるのかと思います。
手すりや車椅子のアームレストをもたせると、ぎゅっと握りこんでしまうような利用者に対しては
有効な介助方法でもあります。
1308473964309672.jpg86_4.jpg




移乗動作について1

こんばんは。

 本日は、移乗動作について、なのですが、動作、というよりは、移乗を効率よく、機械的に介助するという
テーマです。
 現役の理学療法士にあるまじき(笑)、介助方法ではなく、福祉用具の紹介から入ろうかと思います。
介助方法に関しては、また別に述べたいと思います。

 現在は、歩行訓練に関しても、従来セラピストが手取り足取りしていた部分を、メカニカルに行えるように
なってきています。そして、その機械の単価も下がり、レンタル費用も下がってきているのです。
 
 私としても、自分の職域が機械に取って代わられることへの危機感がゼロではないのですが、
そういった不安よりも、そのような機械がどこまでやれるのか、興味があります。
また、ロボット介護推進プロジェクトに関しては、厚生労働省も0.8億円を投資している現状です。

 さて、移乗の介助というのは、セラピストによっては、最も工夫のしようがあり、また一方で、
もっとも身体的に負担の強い行為です。
 我々セラピストもそうですが、主な介助者となる家族の負担がかなり強いのが現状です。
もうだいぶ知られてきてはいますが、以下に、少し、移乗介助のお役立ち用具を説明します。
 sasuke.jpg
sasuke3.png
 このような機械は、 背臥位にて寝ている人の身体の下に敷くようにセットすることで、
その後は左右での巻き上げ機能にて、利用者を抱きかかえるように持ち上げ、そのまま移動させることができます。
 リクライニングの角度なども調整できるようです。そのまま車椅子へひょいと座らせることもできます。
移乗くん移乗くん2
 このような機械は、ベッドから利用者さんが足をのせ、身体を前傾させて上肢や体幹を前方に預けること
さえでき、両膝を前方の膝当てにセットすれば、あとは重心の前方移動と、上方移動は機械が行ってくれ、
そのまま左右にターンして、ポータブルトイレや車椅子へ移乗できます。
pic_nori04.jpgpic_nori05.jpgpic_nori06.jpg
これは、最初、背もたれや座面がない状態の車椅子のようなものです。
利用者の前方へそのままセットし、その後、背もたれや座面をセットするのです。
よって、座位をとらせた後は、そのまま移動ができ、自宅のトイレにも、そのままバックで入り込み、
背もたれや座面を取り外せばそこで排泄動作を行えるのです。
 リフト3リフトシート
 上図のリフトは、これまでもよく用いられてきた用具です。選ぶシートによって、その後に排泄がしやすかったり、
入浴がしやすかったりします。
 持ち上げたまま移動もできるので、重宝しますが、シートの選定や、セットに手間がかかる面もあります。
移乗ベルトターンテーブルターンテーブル2

 さて、このような画期的な機械が入る前は、基本的には移乗動作の際には、上図のようなベルトを用いたり、
トランスファーボードを用いたり、ターンテーブルを用いて、移乗動作の際の介助量の軽減を測りました。
ターンテーブルは、使用法によっては、却って危険な場合もありますが、滑りどめ機能をうまく使い活用すれば、
内反尖足や足関節の拘縮の方などの移乗動作に役立ちます。
介助用ベルトも、利用者さんの体型によっても左右されますが、ズボンやオムツをもって無理矢理に移乗
させるよりは、安定感があり、持ち手も縦に持てるため、力が入りやすいのです。

 基本的には、上記のような機械はかなり大きいため、自宅での利用には限界があります。
ただし、そのような機械がもっとコンパクトになり、利用料や単価も下がり、一般的になってくれば、
もっと導入が容易になります。
それに加え、我々セラピストの工夫も助言できれば、より介助量を減らし、老々介護の今後の世の中に
一役買えるのでは、と期待しています。

 





無料低額診療

こんばんは。

 本日の朝日新聞の一面に、< 治療代払えぬ人急増 > というテーマにて、
年間に延べ 700万人 の人が病気になっても治療費が払えず、 無料低額診療
を実施している病院に駆け込んでいる、ということが延べられていました。

 この背景には、高齢者の増加に伴い、年金が少なかったり、失業にて収入が
減ったことで、今までと同様に医療費が支払えなくなっているという現状があります。

 私の勤務する 介護保険 で利用するデイケアの現場においても、最近増えているのが、
週に3回ほど利用していた利用者さんが、
 < 利用料金が支払えない > との理由から、 週3回の利用 → 週2回の利用 に
減らすなどのケースが本当に増えてきています。

 払えない ということを、利用者さん本人から聞く場合もあれば、利用者さんの家族が述べることも
あります。

 それだけ、この年金暮らし、または親族や子供による医療負担・介護負担が増加しているのだと考えます。

 無料低額診療を受ける患者数は、ここ数年で100万人増えて700万人を越えるといいます。
ちなみに、全国の年間患者数は、 延べ10億人 となるようです。 この内の700万ということです。

 無料低額診療を受けられる医療機関は現在558施設とのことです。

 このような患者さんは、結局は生活保護に陥ってしまうかたが多いようです。

 病気の際に医療保険の利用が困難になっている利用者さんが、介護保険まで受けようとするかというと、
なかなか難しいと考えます。
 次年度の診療報酬の改訂においては、ある程度の年金受給者は、介護保険の利用時に
その利用料を現行の1割負担から2割負担に増やす、という案が出ているといいます。

 ただ、1割から2割ということは、一気に2倍に利用料金が跳ね上がるわけですので、
デイケアにしても訪問リハビリにしても、継続して利用していただけるか、保証の限りではありません。

 介護保険での利用を抑制する → 身体機能の低下 → 要介護度の悪化 → 財政の圧迫

という悪循環とならないよう、何とか現状を維持して欲しいところです。
ただし、まずは医療保険の分野において、このような現状ですので、介護保険分野の負担は推してはかるべし
と言えそうです。

 2014112300004_2.jpg
 高齢者を含む無職の方や、非正規労働者の増加が、かなり深刻になってきていることも確かです。

 現在、高額な治療費がかかる場合は、高額療養費制度があり、月収50数万円あたりまでなら月8万円あまり、
月収が低い住民税非課税世帯なら月35400円まで、という上限がありますが、
それでも払えない、ということが深刻さを物語っています。
 無保険・無年金という方も、だんだん増えていっているようです。

ベッドでの上方移動

こんにちは。

 本日は、訪問リハビリのセラピストとして、直面することの多い、利用者さんのベッド上での
身体の移動に関してです。

 特に、こちらが介助にて利用者さんをベッド上にて移動するような場合は、利用者さんの
身体機能はかなり低いと考えて良いと思います。基本的に、自分で起き上がりや座位が可能な場合は、
多くの方がベッド上で自分の身体の位置を変えられます。
よって、基本的には、かなり介助度が高く、電動ベッドをレンタルし、ベッド柵をレンタルしているような方が
多いかと思います。
 今回のテーマのように、ベッドの上方移動を必要とする人は、ベッドアップを行った際やおむつ交換などを
行った際に身体がベッドの下方にずれていった結果、再度上方へ頭位を移動する必要がある人となります。

 さて、基本的には我々セラピストは、何かしらのテクニックを用いて、上方移動をさくさくっと行いたいところ
ですが、、実際にはセラピストの力・相手の身体の大きさ・重さ、褥瘡の有無、痛みの有無、ベッドの位置に
よる介助者の空間的な余地、など 様々な要因が絡みます。

 力学的には、下図のように、それぞれの介助者は、斜めに利用者の身体をもっていくイメージで、
水平方向、垂直方向に力を入れます。最初から斜めに引っ張ろうとすると、むやみに力がいるだけです。
腰もやられます。 
この時、相手の身体のどこに手をかけるかですが、基本的には
人差し指と親指以外の3指に力を入れ相手の肩甲骨の下と、相手の腰に手をあてていきます。
 
 臥位の人間は、基本的には臀部の重さがかなり重いのです。
重心は、立位であっても第2仙骨の前あたりです。
臥位でもやはりその周辺の重さがかなりありますが、膝を立てさせた場合はもう少し上方に移ります。

 また、摩擦力という面を考えると、相手の背中やお尻がマットと接している部分が少なければ少ないほうが
よいので、 
 ・ 膝を立てる  ・ 腕を組ませてマットから上腕を外す などの工夫もあればよいかと思います。
 力学的には上図の形で綺麗にできると素晴らしいのですが、実際にはこの摩擦力がかなり問題となります。
エアマットか、ベッドカバーや防水シートの素材はどうか、
利用者の体重はどうか、オムツの有無は、などなどです。
上方移動31_2014112214025993f.jpg
 ただし、このような引き上げを行った場合は、利用者の身体は斜め上方に上がるため、その後、ベッドの中央に戻す
必要があります。
 img_02.gifimg_01.gif
 また、ベッドの頭部の部分の枠が邪魔になる場合や、ベッドの上方に回り込めない場合もあります。
上図のように、利用者さんと共にベッドにあがり、相手の腕を組ませて、後方より自分の体ごと引き上げる方法も
一つあります。 ただし、一度頭部や背中を浮かせる必要が有るため、頭位を動かすのが危険な利用者さん
に対しては不向きです。
図では相手の腋窩を持っていますが、相手の前腕部分を持って引き上げる方法もあります。

 軽い方でしたら、上の右図のように、セラピストも横に回って上方に移せますが、これは身体の重たい方に
対しては負担の大きなやり方となります。パワーのある家族の方は、だいたいこのやり方を行い、そのうち
腰を痛める人もいます。
 thAOERNF8R.jpg5-431_5.jpg
 テクニックよりも効率を、という場合、かつ、介助力がある場合は、家族に対してはこのような
介助用の福祉用具を使ってもらうのが、一番よいかと思います。
 だれでもできるでしょ、というのが大切です。 よって、2人で図のように安全に上方移動、これが常に
できる家庭はかなり少ないのが、この少子高齢化、老々介護の時代ではありますが。。
文句なしに、このやり方が一番介助者にも、利用者にも負担が少ないはずです。
th.jpgpd4fc80000004i4l.jpg
 さて、上左の写真はスライディングシートといって、相手の頭位か、横側から利用者さんの頭部から腰にかけて、
横からみて輪になるような形で敷きます。 45リットル以上くらいのビニール袋でも代用可能です。
この場合は、袋の底の部分を切り取って、筒となるようにします。
まぁ、切り取らなくとも、ビニール袋のまま使用してもよいですが。。上右の写真はそのセットの際に、相手を
一度横向きにして、身体にビニールを入れます。
上方移動 (2)1_3.jpg
 利用者さんに少しでも下肢の筋力があり、こちらで図のように蹴りやすい形を作ってあげたり、
滑り止めのマットを足元にセットすると、利用者さんの力でも上方へ移れる場合もあります。

 こちらが軽く下方から身体を押し上げてあげることで、より簡単に上方へ移動が可能です。

 上方へ移動した後、スライディングシートを引き抜いた後、利用者さんの背中や臀部の服やオムツが
よれたりしていると、褥瘡や痛みの原因にもなります。また、褥瘡自体が既に仙骨部に有るような
場合は、その部分に負荷がかからないよう、摩擦が働かないよう、注意する必要があります。

 上肢の力が使える人は、ベッド柵などにつかまってもらい、声掛けをして一緒に上方へ向けて
引き上げるよう手伝ってもらえるとなお良いかと思います。脊髄損傷の方などには用いますが、
なかなか上肢の力で上方へ移動できる人は多くはありませんが。。

 いずれにしても、家族がなるべく簡単に、なるべく長く関われるような介助方法が
一番望ましいかと思います。
介護者の腰痛予防のためにも、ベッドの高さなどの調整も方法ごとに必要となるかと思います。



立位での重心コントロール

こんばんは。

 本日は、普段われわれがよく行っている立位での重心移動の練習のうちの一場面に関して
述べたいと思います。

 本日、私のデイケアにおいて、脳梗塞にて右上下肢の運動麻痺を生じ、感覚障害も重度な
女性、Oさん53歳のお話です。

 Oさんは、50歳の時に脳梗塞を発症し、現在に至りますが、現在は、右下肢に短下肢装具を
装着して、T字杖にて屋外歩行も監視にて行える状態です。ただし、表在感覚(皮膚感覚)がかなり
重度に鈍麻なため、自分がどのくらい右足に荷重できているのか、あまり分かりません。
また、左の脳に障害があることもあり、失語症も軽度発症していて、言葉が思ったようには出てこない
方です。
 そのOさんが、本日、階段を昇降している際に、左膝の関節あたりを指して、ここが痛いと伝えてきました。
じっとしている時は痛みはないのですが、立ち上がる時、歩行時に痛くなるとのことです。

 このように、脳梗塞により運動麻痺を起こした方が、悪くなってしまった方の脚と反対側の脚の痛みを
訴えるケースは、よくある話なのです。

 Oさんの体重は、脳梗塞発症後、それ以前よりも3キロほど増加して、54キロとなりました。身長は
150cm程度かと思われます。
 それに加えて、脳梗塞により、うまく右足に体重が乗せられておらず、いつのまにか、左足に負担を
かけるようになりました。
 yjimage_20141121155812254.jpg
yjimage2.jpg
 上の写真のように、片足を体重計・片足を雑誌の上に乗せて、あまり下の数字を見せずに、立位を
とらせる練習は、よく行います。

 Oさんの場合、理想としては、54キロの体重であれば、体重計の針は27キロを指せば、
左右に均等に体重が分散していることになります。

 ただし、本日その練習を行ったところ、実際には
左足(非麻痺側) 32-37キロ
右足(麻痺側)   17-22キロ
 という具合でした。

 次に、本人に、下の体重計の針を見せながら、体重の半分を針が指すように、
体重移動をしてもらいます。 これがなかなかうまくいきませんが、何とか慣れてもらいます。

 下を見てうまくいくようになれば、今度は前方を見て下をみないようにしてもらいます。
リセットするには、一度座って、前を見て立ってもらえれば十分です。

 このようにして、Oさんに対しては、最近の体重増加、そして、良い方の足に普段からかなりの
体重がかかっており、そのために膝の関節への負担が増えていること、このあたりを説明しました。

 Oさんはまだ53歳と若く、また、歩行機会も多いため、
現時点で早めに立位での重心コントロールをしていかないと、将来的に膝の変形性関節症にも
発展する危険があります。 右足の感覚が弱いため、なおさら意識する必要があります。
また、女性であること、出産経験があることも、関節軟骨のすり減りなどのリスクを高めるため、
そのあたりも我々としては意識し、予防策を練る必要があります。

 膝のサポーターにより、多少の疼痛軽減の効果はあるかと思いますが、感覚が弱いために、
つけてみても、あまりピンとこない感じでもあります。

 このようなケースは、多くのセラピストが経験し、対応に苦慮することでもあります。

 今後、Oさんの正確な膝の状況をレントゲンなどで評価し、対策を考えていく必要があるかと思います。

 重心コントロールに関しては、最近は、ゲーム機のWii などで、重心の移動の練習が行えます。
 デジタルの体重計も悪くありませんが、省エネ機能がついていて、途中で数字が消えてしまったり、
 数字という記号よりは、針という目で見たアナログのものの方が、指示がはいりやすいようです。

 銭湯にある昔ながらの体重計もいいですね。
yjimage3.jpg


間接嚥下訓練について

こんばんは。

 本日は、嚥下機能の低下した利用者さんに対して、
リハビリスタッフとして取り組めるマッサージや運動に関して述べたいと思います。
介護保険上でのデイケアや訪問リハビリでの関わりとなると、どうしても
STさん(言語聴覚士)や訪問歯科の介入の機会はかなり減ってしまいます。

 STさんを抱えている訪問リハビリは少ないですし、訪問歯科も、メインが嚥下訓練ではなく、
義歯や虫歯の治療の延長で、行ってくれる場合もあります。
よって、主な嚥下訓練の提供者は、ナース・家族・そしてST以外のリハビリセラピストとなる場合があります。

 さて、嚥下訓練と呼ばれるものには、大雑把に、
直接食べ物・飲み物にて嚥下の練習をする 直接訓練 と
そういったものを介しない、間接的に嚥下機能の維持・回復へアプローチする 間接訓練 があります。

そもそも、嚥下というのは食べ物を 食べる という意識をもって目で見て、口に運んで、実際に口に
それを入れてから、その食べ物が食道を通過するまでの プロセス(以下)を指します。
なので、 嚥下障害 は むせ ではなく、 そのプロセスのどこか一部にでも問題があれば
嚥下障害 として判断する、というのがセラピストとしての解釈です。

誤嚥 というのは 下図のプロセスのうち、4 咽頭期 から 5 食道期の間のプロセスがうまくいかず、
気道に食べ物が入ってしまうことを指します。 よって、 むせ = 誤嚥 でもないです。
むせは、 むせているその状態をさすのです。 いろいろ面倒ですが。。。
000270_01.jpg

 では、間接訓練に関して、われわれセラピストがアプローチしやすいもの、かつ、
短時間にて効果が出しやすいものに関して述べていきます。

 まずは、筋のマッサージやストレッチに関してです。
嚥下に関わる筋は様々ありますが、われわれセラピストがアプローチする練習としては、

 ①頚部・肩甲帯・体幹などのストレッチ
   まずは首を左右・上下に動かし、ぐるりと回旋してもらいます。
   肩甲帯も、上肢を動かしたり、肩甲骨を動かしたりして、ほぐしていきます。
   体幹に関しても、臥位や坐位など、その人に合わせた姿勢でストレッチをしていきます。
   他動的であったり、アシストしながらの自動運動であったり、自動運動であったりさまざまです。

 ②甲状軟骨周囲のマッサージ・舌骨周囲のマッサージ・胸鎖乳突筋のマッサージ
   甲状軟骨は、舌骨下筋群(正確には甲状舌骨筋)の動きに関係します。
 いわゆるのど仏周囲を上下に軽くマッサージします。
   また、舌骨周囲も軽くマッサージします。koujyouzekkotukinside-7.png
   利用者さんに、空嚥下といって、空気または唾液をごっくんしてもらう練習のとき、
  この甲状軟骨が一度上にぐいっとあがります。
   これをわれわれが感じ取るのですが、だいたい、30秒に2回以上ごっくんできることが
  嚥下の調子を判断するバロメーターとなります。

   胸鎖乳突筋のマッサージは、顔を左に回してもらって右の顎から鎖骨にかけて筋張る筋を
  ほぐしていきます。これもこわばっている人はかなり手ごわい固さなんです。

 ③Pushing Exercise 
   押し運動とも呼ばれます。声がかすれている(気息性嗄声)、声が異常に小さい、
  発声できる時間が異常に短いなどの所見は声門閉鎖機能の不全を疑わせます。
  声帯閉鎖は嚥下時の気道への誤嚥予防のみならず、
  強い咳を出すためにも必要な機能です。
  椅子や机を押す(または引く)と同時に「アー」、「エイ」など大きな声を出してもらいます。壁でも。
  相手がいれば、相手と手を組んで、こちらが引っ張りながら大きな声を出すのもよいです。

 ④Shaker Exercise(頭部挙上訓練)
    いわゆる腹筋運動に近い感じです。枕をはずして、背臥位をとり、あごをひいて
   足元を見る感じです。これにより、喉頭挙上筋群の強化ができます。

 ⑤息こらえ運動・ブローイング
    一度鼻から息を吸い込み、できればごっくんと空嚥下させます。
    その後、口からなるべく長く息を吐き出します。
    ストローなどを渡し、ぶくぶくと水を入れたコップの中で呼気をしてもらうのもよいです。
    それらのことが難しい場合は、ただ単に口をすぼめて息を長ーくはいてもらうだけでも良いです。

 ⑥その他
   下の図は、K応大学病院で行っている訓練の一例のようです。
    000270_02.jpg

このように、間接的な練習は多岐にわたります。
 
 ただ、基本的には理学療法や作業療法としては、しっかりとその人にあった姿勢をとってもらうこと、
ベッド坐位か、リクライニングか、椅子の坐位かなどの決定も大事です。
そして、食事の姿勢をよりよくするために、体幹や頚部のアライメントを調整していくことを考えます。

 実際の現場では、嚥下訓練をするような利用者さんは、意識レベルや認知機能の低下がみられる場合が
多いため、コミュニケーションがしっかりとれることで効果を生むような直接訓練自体、かなり行いにくい状況
です。
 よって、間接的な訓練で、少しでも本人の状態が変化するよう、遠回しな援助をしていくことも大切だと
考えています。 直接訓練に関しては、あくまで主役はSTさんや歯医者さんです。

がんの登録制度

こんにちは。

 本日は、厚生科学審議会のがん登録部会の話を、かなり遅ればせながら述べたいと思います。
最後にこの部会が開かれたのは、確か10月16日になるかと思います。

 実現するかどうかはさておき、日本においても、
2016年1月より、全国がん登録制度が発足するようです。

がんが死因の断トツの一位(30%以上 これは二位の心疾患の2倍の率にあたります)であることから
鑑みると当たり前のことです。
 ただ、このような病気は、一時的なものとはいえないため、経過を追っていかなければならないという
声もあり、また、海外諸国では、すでにがんの登録制度は法制度化されており、義務化もされている
ようです。そしてそれにより9割程度のがんの現状が把握できているようなので、
日本はこの面ではかなり遅れています。

 日本では、 ① 地域がん登録 と 
国内の400あまりの拠点病院の取り組んでいる 
         ② 院内がん登録
があるようです。②の方が詳細な項目に関して情報をとっているようですが、項目数も統一されておらず、
日本全国におけるがんの分析とまではとてもいかないようです。

 よって、現在、全国がん登録 の項目を 66の項目にまとめる形での調整が進んでいるようです。

 おおまかにいうと、

 < 基本情報 > 病院名 ・ 患者の氏名 ・ 性別 ・ 年齢 などなど  7 項目
 < 診断情報 > 来院経緯 ・ 発見経緯  など               9 項目
 < 腫瘍情報 > 原発部位 ・ 治療前のステージ ・ 術後ステージ ・ 診断根拠 17項目

 < 初回治療情報 > 外科的治療、鏡視下治療、内視鏡的治療、
                放射線療法、化学療法、内分泌治療の有無や内容 29項目
 < 追跡情報 > 生存最終確認日 ・ 死亡日 ・ 予後調査結果 など  4 項目

 ということです。 
 これらの項目の中には、告知をされたかどうか、主治医はだれか、どこからの照会か、などの項目のほか、
本人の個人情報もかなり載っているわけですので、やはり法制度、管理の仕方なども
大切になってきます。

 来年より、 マイナンバー制度 が実施されます。
これにより、我々は番号を一人ずつ割り振られます。 自分の給料や年金・税金など、全てがあからさまに
なるわけです。
その中で、健康保険証の番号などに関しては、 日本医師会や、日本歯科医師会、日本薬剤師会の
三師会は反対しているようで、 医療などの分野に関しては、 医療等IDを マイナンバーとは別に設ける
ように声をあげているようです。

 マイナンバーの中に、ゆくゆくは全ての医療情報、がんも含め全ての医療的な既往も刻まれるのでしょうか。

 私はシステムエンジニアとしても仕事をしていたため、システム構築の危険性・セキュリティの問題などは
かなり難しい問題だということが、具体的に感じられます。
 できれば、一つにまとめる、という形ではなく、分散してまとめる方が良いのかと思います。

 がんに関しては、今後の統計はもちろんのこと、過去に関してはどうしていくのか、現在進行形のものは
どうしていくのか、これらも問題もあるかと思います。
 非常に繊細な問題でもあるので、個人情報の扱いは是非とも詳細な吟味が必要かと思います。

 医療情報などの少ない情報から、ストーカーなどがその人の自宅に辿り着ける、
病院で見かけた老人の住所を割り出しておれおれ詐欺を行う
などといった民事の問題にも発展しかねないと思います。

 次回のがん登録部会は12月のようです。

 


食 ~ 長寿遺伝子と血管老化予防~

こんばんは。

 以前、マイプレートという、米国農務省の推進している食事ガイドラインの話を載せましたが、
食材や日々の食事に関しては、何かと利用者さんとのお話にも出てきます。

 特に、女性の方は、日々料理をしてきたこともあり、その土地ならではの食材や調理法に関しても
いろいろお話してくださいます。
 ただし、私は普段あまり調理をしないため、わかること、わからないことがあります。
そういったわけで、私も時々食べることに関して勉強をしますが、
本日は、
①長寿遺伝子について 
②血管の老化予防 
について述べたいと思います。

では、①長寿遺伝子に関して、まずは述べたいと思います。
マサチューセッツ工科大学の教授が発見したこの長寿遺伝子は、< Sir2遺伝子 >と呼ばれます。
これは、細胞内の老化プロセスや代謝、細胞の老化をコントロールしています。

この教授は、この遺伝子を活性化させた場合、人間の寿命は10年は延びると述べています。
では、この遺伝子を活性化させるためには、何がスイッチとなるのでしょうか。
それは、< 摂取カロリー > だとのことです。
日本には、腹八分目という言葉がありますが、この教授の実験では腹6-7分目とし、これを
継続的に行うことが大切だということです。
一度満腹まで食べると、スイッチがオフになるとのことでした。
スイッチをオンにする食事の工夫としては、野菜や果物の < 皮 >を摂取するとよいらしいです。

 たとえば、ぶどうの皮の部分、これは赤ワインに含まれるレスベトロールという成分が有効だとのこと。
また、ピーナッツの渋皮や玉ねぎの皮にもその成分が高いようです。

 また、我々セラピストにとってはうれしい話ですが、< AMPK > という長寿遺伝子は、
運動で筋肉が収縮するとスイッチがオンになります。

 このような長寿遺伝子は、我々誰もが持っている遺伝子であるようです。

そして、カロリー制限に関しては、途中でやめることさえしなければ、いつ始めても、そのスイッチを
オンにできるということらしいです。 腹6分目というのは、なかなか難しい話ではありますが。

②血管の老化を予防する食材について
 これは、よくみなさんご存知のように、DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)が豊富な青魚が大切です。
世界的には、1日28gの青魚が心臓病のリスクを半減することが知られています。

 ほかに、赤ワインのポリフェノール成分も心臓病のリスクを減らします。(上述したレスベトロールです)
また、納豆は大豆以上の栄養成分を持っており、ナットウキナーゼという酵素により血栓が予防される
ということです。また、朝食べることで、血糖値の上昇も防げるすぐれものです。
 
 また、玉ねぎとにんにくは、古代から血栓に対する薬として使われてきました。
にんにくのアホエンという成分は加熱しても壊れません。
玉ねぎの硫化アリルという涙が出る成分に関しては、生で食べたほうが良いようです。

 シソも、青シソ>赤シソ の栄養価ではありますが、βカロテンの含有量は野菜トップクラスで、
抗酸化作用も強く動脈硬化予防にはもってこいです。
また、オメガ3不飽和脂肪酸であるリノレン酸も含まれるため、体内に入ると青魚と同様のDHAや
EPAに変わるとのことです。

 また、リンゴにも多数のポリフェノールがあり、中性脂肪を減らし、
がん細胞を殺す働きのあるプロシアニジンが含まれます。
リンゴの場合は、皮の直下に含まれているため、皮ごと食べることが必要です。

 食物繊維は水に溶けない不溶性と、水に溶ける水溶性の2種類があります。
不溶性は、腸の中で水分を吸ってふくらみ、腸の壁を刺激することで便秘を防ぎます。
水溶性は水に溶けるとネバーっとするので、胃の中にとどまり、糖分やコレステロールの吸収を
遅らせます。
 不溶性は、ゴボウや豆類に含まれる成分であり、
 水溶性は、リンゴやかんきつ類、こんにゃくやワカメなどの海藻に含まれます。

 最後に、ギリシャのクレタ島の長寿(心臓病やがん死亡が世界でも最も少ない地域の一つ)に関しては、
オリーブオイルがあげられます。
 血液の固まろうとする傾向に歯止めをかけ、コレステロールが血管の壁に溜まるのを予防するとのことで、
とくにシクロアルテノールという成分がかなり有効な成分とのことでした。
日野原先生が一日の食事としてスプーン一杯飲んでいるのでも有名かと思います。
生活習慣病という言葉もこの先生が広めたらしいですね。
 
厚生労働省は生活習慣病の予防のため、 野菜 350g  果物 200g を1日にとるのが望ましい
としています。
実際には、我々は 野菜 290g 果物 115g しかとれていないようです。

リンゴ1個 230g-250g  バナナ1本 100g くらいらしいです。果物が特に足りていないようですね。

動機付け

こんばんは。

 本日は、在宅で生活する利用者さんのモチベーションに関して述べたいと思います。

私の訪問している利用者さんで中心性頚髄損傷による四肢麻痺、特に右上下肢にひどくしびれと
麻痺が出ている方、82歳の男性Dさんです。
この方はもともと大工の棟梁をやっていたのですが、家の建築現場にて脚立から転落し、
その結果頸部を打ち、現在のような症状が出たようです。
それが72歳の出来事であったので、それからかれこれ10年経つでしょうか。
一時は杖を使用して何とか屋外歩行できるレベルまで回復したのですが、半年前に屋外にて
転倒し、一気に症状が悪化してしまい、現在は自宅の中を歩行器を用いてやっと移動できる
状況です。視力も低下しており、ベッドで寝ている時間は徐々に増えています。
トイレまでの移動の最中によく転ぶこともあり、歩行器を握る両手のしびれ、感覚障害もひどく、
握る力も強くないため、身体のバランスも崩しやすいようです。

 この利用者さんは、週に3回、40分の訪問リハビリを受けているのですが、
本人はリハビリに対する意欲はほとんどないようです。
本人から私の聞いた言葉で、印象に残っているのは、

 ’もう何をやっても変わんねえよ、無駄だよ’
 ’あんたには俺の感覚のことなんかわかるわけないよ’
 ’年取ったら、だれでも用なしなんだよ。俺みたいなのが出て行く幕はないよ’
 ’何もやりたいことなんかないよ。見えなくなったら終わりだよ。’

まぁ、このような言葉を投げかけられているセラピストはゴマンといるかと思います。
こういう利用者さんの言葉は、一つ一つをこちらもあまりに考えすぎてはこちらも精神的に
少しつらいのですが、まずは、このような言葉を放つ利用者さんに対して、
生活上、リハビリ上、何かしら動機付けができないか、と考えます。

 心理学的には、動機付けは、ざくっと切り分けて、内発的動機づけと外発的動機付けがあります。

内発的動機づけは、ご褒美を得るためでも、何か刑罰を避けるためでもなく、自分の内的な
満足感を得ようとするためのものです。
よって、何かの目的のためでなく、その行動そのものを目的とした行動であると言えます。

 基本的には、① 有能感    : その活動を通して、自分にも何かできるという気持ち
         ② 自己決定感 : 自分で何かを決めて行えることで楽しい
         ③ 対人交流  : 仲間との交流が楽しい
という部分が元になります。

 これは、幼児期などに特にみられるものであり、知的好奇心や、課題の解決などに対して、
純粋な自発性を発揮することができます。
このような動機付けは、なかなか高齢者に対しては誘導できませんが、本人が自発的に何かを
得ようとすると、かなりの強みになります。
 よって、我々も、まずは利用者さんの内発的な動機付けを誘導できないか、本人の環境の中で
考えていきます。ただし、これはなかなか困難ですし、
利用者さんとの付き合いも少し長くないと、なかなか本人の自発性にまでは絡めません。

 一方で、外発的動機付けは、義務・賞罰・強制などによってもたらされる動機付けで、
何らかの目的を達成するための活動となります。
 ただ、これがリハビリのモチベーションにまで到達するには、本人以外の家族の存在、例えば
孫の結婚式に参加したい、孫と一緒に食事に行きたい、などの面が大きいようです。
あとは、 ’ 周りに迷惑を掛けたくない ’という日本人に特有の、生きざまです。

 運動そのものを目的とすることは、リハビリを行う利用者にとってはほぼありません。
それよりも、その結果として、移動距離が伸びる、転ばなくなる、1人でトイレに行けるなどの
行動の変容が動機付けとなりえます。
 そしてさらに、外出する。社会的な活動に参加するというような目的にまで達すると、
かなり強い動機付けが行えますし、我々セラピストとしても、目標を定めやすいのです。

 一方で、上記のDさんのように、妻と自分だけが家族の全てで、親族との付き合いはなく、
本人の身体は脊髄損傷という回復不可能な状態であり、目も悪くなり、本人は無力感が強い、
このような方に対して、目標を定めること、それに対してモチベーションを上げていくことは、かなりの
難関です。まぁ、本人の性格も大いに影響するので、そこはこちらからはいかんともしがたいのです。

 現状より悪くならないよう、現状を維持することが大切で、維持することすらなかなか難しい、という
状況は、現実としてよくあります。それに対して、我々セラピストは、一つ一つ、小さな目標をあげて、
本人の生活を見守ることが大切になります。

 Dさんに対しては、トイレ動作は奥様の手を借りずに行いましょう。そのために、排尿はしびんを
使って、1人でベッドから起き上がって、座って、ズボンを下ろして、しびんをセットして用を足し、
ズボンを上げて、またベッドに横になる。これを1人でやりましょう。
排便の場合は、奥様が見守る中、なるべく自分で歩行器でトイレに行きましょう。
そこで同じように座って、ズボンを下ろして、、の動作を行いましょう。
という話をしています。
 本人にとっては、それが動機づけとはいかないようです。
Dさんは、現状は諦観が強いですが、まずは自分の状況を受容し、
そこから何かしら自分の生きがいに結びつけるものを自分で獲得していくことも大切になります。
そのために、我々は、耳を傾け、本人の話を聞いていくばかりです。

 実際には、ネガティブ思考な利用者さんからトゲのある言葉を投げかけられた場合は、
こちらもネガティブになりますし、仕事に対してのモチベーションも落ちます。
まぁ、経験上、一日訪問リハビリを行っていると、2割前向き、4割後ろ向き、残りは平穏な感じ、という感じで
しょうか。

 高齢化したり、症状が重症化するほど、動機付けの難しさが身にしみています。
 こちらにも辛抱強くコミュニケーションを続けていく根気・動悸付けが必要かと思います。 


リウマチと頚椎

こんばんは。

 本日は、関節リウマチの利用者さんに関して述べたいと思います。

 現在、関節リウマチに関しては、メトトレキサートなどの抗リウマチ薬などの発展や、
早期発見できる特定検査が進んでいるため、以前よりも早めの対応がなされるようになっており、
関節破壊などの重症化は以前ほどではないようです。

 ただ、発症してからの年月が長い方の場合は、どうしても炎症期に関節破壊が進んでしまう方も
いらっしゃいます。既に変形してしまった骨は元には戻せないため、現在の高齢者の中で、
長く関節リウマチを患っている方には、かなりの重症例が見られます。
 
 現在は、膝や股関節の関節だけでなく、手指の小さな関節に対しても、骨置換術が可能となっており、
変形した手指も手術によってある程度の関節運動を取り戻すこともできるようになっています。

 さて、今回は、その関節リウマチの利用者さんの頚椎に関してです。

関節リウマチの利用者さんは、表面的には、四肢の各関節、また、手指の関節(第一関節を除きます)の
腫脹や変形などはよく知られています。
これは、表面的にも炎症期には赤くなっていたり、熱感があったり、特に朝の時間にこわばりが強かったり、
と、観察している方でもわかりやすいのです。

 炎症期には、骨と骨を結ぶ関節の滑膜にて炎症反応が起こっているわけですが、
頚椎も、実はこの滑膜によって覆われていますので、目には見えませんが、頚椎にも炎症が起こっている
と判断しなくてはなりません。

 頚椎は7つの骨からできていますが、第一頚椎の環椎と第二頚椎の軸椎は、特別な形をしています。
軸椎の歯突起という部分を軸にして、首は左右に回旋するのです。
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この頚椎は、脊柱の中でもかなり可動性が高いため、大きな動きができる反面、骨のずれや
脊髄への圧迫も強くなる傾向があります。

 第一頚椎と第二頚椎のなす環軸関節といのは、かなりの動きを伴うため、そこに炎症が起こって骨の変形や
摩耗が起こると、関節の亜脱臼が起こりやすくもなり、それによる神経症状が強くでる場合があります。
また、椎骨動脈という脳への血管も絡んでくるので、脳への血流障害も怖いのです。

 よって、関節リウマチの方の首には、頚椎カラーが巻かれているような場合もあるのです。多くは、
症状が出てからの対応となるため、対症療法となりやすいですが、そのようなカラーを巻いていない
方であっても、注意は必要です。
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さて、では、関節リウマチの方に対しての指導で我々が注意するべきことは何なのか、
それはやはり、頸部への負荷を軽減する姿勢の指導です。

 それはやはり、前かがみの姿勢の解消です。
女性の割合が多いこともあるのですが、台所へ立つ場合、多くの方は前かがみとなり、
頭の重さを首で支える際にかなりの負荷がかかります。
また、食事の際も、手の動きが悪くなった方などは、首を前につきだして食べようとするため、
頚椎の前方への負荷が強まります。
顔を洗うという動作も、前方へ首を突き出すため、頚椎への負荷は強くなります。

 このような姿勢をとる場合に、カラーをつけたり、首を前に突き出さない姿勢を身体に覚えてもらう
ことは必要です。
 首の筋力も大事ですが、首を回してつけるのではなく、頭を手で固定して、等尺性収縮による
筋力強化を行ってもらいます。つまり、首は動かさない形での筋トレです。
 枕も、あまり高いものは使わないように指導します。

あまりひどくなってしまうと、上図のように、頸髄損傷の方がつけるようなハローベストなどを
装着する場合もあるようです。ほとんど見ることはないですが。

 いずれにしても、自覚症状がない時点であっても、ソフトカラーを装着するなどして前かがみの
姿勢を予防していく必要があるかと思います。

 また、全介助の方などで、移乗動作の際に、介助者の肩や腕が、関節リウマチの方の
首を持ち上げるような圧迫を与えないように注意することも必要です。
首を大きく後ろへそらすことで、軸椎の軸の部分が脳を圧迫しすぎると、脳の障害、突然死なども
引き起こすことにもなりかねません。

 首の表面ではわからない頚椎、ここにも着目していく必要があります。





短下肢装具

こんばんは。

 本日は、短下肢装具に関して一言述べたいと思います。

 私の利用者さんで、30歳代にて脳卒中を発症し、左片麻痺を呈している男性Nさんがいます。
表在感覚や運動覚は重度の鈍麻があります。
 つまり、左上下肢に関しては、私がかなり強く触れないと、触っている感じがわからず、
また、膝を動かしても、どの程度膝が曲げられているか、足首がどのようになっているか、
自分では目で確認しない限りわからないのです。

 ただ、このNさんは、その感覚のない状態で、左足首に短下肢装具を装着して、
屋外を歩きます。
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住んでいるところも、マンションの4階部分で、エレベーターがない古いマンションに暮らしており、
手すりもない階段を、T字杖と短下肢装具にて歩いて昇降します。

 私がNさんと訪問リハビリにてお付き合いして5年以上になりますが、この方は、その間、
約1年毎に短下肢装具を作りなおしています。
 
 Nさんは、病院から退院した直後は、上図のような装具ではなく、yjimage_20141116201502ea2.jpg
このような シューホンタイプと呼ばれる短下肢装具でした。
 このような装具は、以前からオーソドックスなタイプとしてよく義肢装具士さんが作っていたようですが、
リハビリのセラピストとして歩行練習や立ち上がり、階段昇降などを行う場合は、
歩行の修正がしにくく、また、プラスチックの固定が弱いと、
歩行時に足に体重が乗ってくると膝がロックしてしまい、人によっては反張膝となる場合があります。
つまり、膝が伸びきってしまい、膝の上下の骨がガチっとはまる感じとなり、
立ったり歩いている本人は筋力を使わずに身体を支えられるので楽な場合もあるようですが、
これはセラピストとしては勧められない状態です。

 特に、Nさんのように、運動覚がない方の場合は、知らずと安定性を得ようと、膝をロッキングさせて
歩いてしまいますが、これは本来の人の正常な歩行とは外れてしまいます。
歩行の分析に関しては、そのうち述べたいと思いますが、簡単に説明すると、
歩行の立脚期においては、麻痺している左の脚でも、身体をしっかりと支える練習をしていかなければ
いけません。その助けとなるのが、上図の黒い装具です。

 このタイプの短下肢装具は、足継手付きの短下肢装具で、専門的にはオクラホマタイプです。
踵の上の部分にゴムでできたバンパと呼ばれるクッションがあり、ここの厚みにより、
少しだけ足関節が背屈する形となるため、立位や歩行場面での膝のロッキングを防ぎます。

 また、足関節が曲がるということは、立ち上がりや、階段昇降時に膝が曲がった際に、
足関節も自然と曲がる形(背屈する)をとり、より自然な形で動作ができます。
従来のシューホンタイプでは、そういった動作の際に、足関節が固定されるために、
動きが制限され、その結果、股関節をぶん回した歩行となったり、
立ち上がり時には重心が十分に前方に乗らず、立ち上がり直後に後方へ重心が残るような
形になります。

 私が病院の勤務時代からお付き合いしている義肢装具士さんの話によると、
昔の装具士は従来型の短下肢装具を作る人もいるが、現在ではほとんど上図の足継手付きを
作ることの方が多い。シューホンタイプは作製後の修正もしにくく、動きも固いものとなるため、
基本的には私はシューホンタイプはもう作りません。
 と述べていました。

 このNさんは、以前はシューホンタイプの装具を使い、
感覚の弱い左下肢を股関節を中心にぶん回しながら歩いていました。
それが、オクラホマタイプに切り替えたことにより、そのぶん回し歩行が改善し、足がまっすぐに
前に出るような歩き方になりました。
 感覚が弱い人は、歩き方を修正するのはなかなか困難です。
そのため、短下肢装具がうまく合うこと、そしてもちろん本人の練習によって、歩行状態が良くなります。

 専門的には 努力的な歩行 という表現をしたりしますが、力が入って無理矢理に歩行しているような
方は脳卒中の方には多くいます。
そのような人に、その人により合った装具を提案するのも、我々セラピストの役割の一つです。

 特に、一度自宅に戻ってから装具を作製するのはなかなか困難なため、病院の時点で、なるべく
良いセラピスト、良い義肢装具士と巡り合い、未来を予測した応用が可能な装具を作ってもらえればと
思います。
 東京ですら、高田馬場と多摩の2箇所にしか、装具の再作製を行う際の判定センターがないのが
現状です。

マイプレート

こんばんは。

 本日は、以前、10月13日のブログにて
、食事療法にて紹介したこの図、デザイナーフーズピラミッド
が、引退したことを述べます。
piramid.png
とは言っても、そう最近のことではなく、2011年6月のことになります。
ピラミッドの引退の後は、 マイプレートと呼ばれる栄養ガイドラインです。

 これは、オバマ大統領婦人が発表したことでも有名になりました。
マイプレート
 1枚の皿に、4つの色分けを行ったデザインです。
皿の半分に野菜と果物、半分に穀物とタンパク質が描かれています。

以前のピラミッドが、一般向けとしては分かりにくいという批判を受けたこともあり、今回の改訂が
なされたようです。

 この背景には、アメリカの肥満人口が全人口の26.7%に達し、アメリカの子供の2/3が
肥満という現状を受けて、という現実があったようです。
2010年の資料においても、下図のように、アメリカでの肥満率(BMI 30以上)はかなり多いのが
わかります。日本は、BMIが25以上を肥満としていますので、アメリカなどとはかなり基準が違います。
2220.gif

 さて、このマイプレートというのは、その図のような形で食事を取りましょうという、
わかりやすいものです。以前のピラミッドでは、何をどれだけ摂ればいいのだという批判が強かったようです。
それに対してこのマイプレートでは、このプレートの分量で、それぞれのものを食べればよいのです。

 このサイトに行くと、自分の性別や年齢から、どの程度のカロリーを摂取する必要があるかもわかります。
皆さんもサイトに行き、 Calories > How many can I have ? というコーナーにいけばわかりますが、
だいたい、31歳から50歳の男性で1日 2400カロリー 女性で 1800カロリー が必要カロリー数となります。

 また、このサイトにおいては、10の栄養バランスポイントに関しても解説してあります。

本日は、簡単にこの10の項目を説明します。(大いに簡潔に意訳します)

 ①必要カロリーを把握する
     まずは、1日に必要となる自分のカロリーに関して把握します
 ②食事を楽しむ  少なめに食べる
     ながら食べをやめ、食事を楽しみます。食事を、味を楽しみ、満腹感を感じましょう。
     だらだらと食べるのはやめましょう
 ③お皿に大盛りはだめ
     小さめのお皿・茶碗・コップを使いましょう
 ④摂取すべき食品を知ろう
     積極的に野菜・果物・穀物・低脂肪乳製品 を食べましょう
 ⑤食事の半分を野菜と果実に
     カラフルな野菜(トマト・さつまいも・ブロッコリー)を加えましょう
 ⑥乳製品は低脂肪(1%以下)か無脂肪にしましょう
     低脂肪の牛乳を病院でもすすめていきましょう
 ⑦主食の半分は全粒穀物
     精製された 白米 白パン は控え、雑穀パンや玄米を使用しましょう
     病院でも白米や白パンを出すと、クレームが出ます。
 ⑧食べる頻度を減らす食材をしろう
     ケーキ・クッキー・アイスクリーム・ピザ・ソーセージ・ベーコン・ジュースは日常食べない
 ⑨食材より食塩の量を考える
     なるべく低塩・減塩・無塩となっている食品を手に入れよう
 ⑩清涼飲料水の代わりに水を飲む

このプレートの色や大きさをなるべく守る食べ方が重要だとのことです。
主食の半分は全粒穀物を使用するという点は、特に日本のように白米を食べる習慣のある国では
なかなか取り込みにくいことも考えられます。

 米農務省での発表会に出席したミシェル夫人は「マイ・プレート」の利点を以下のように説明します。

「適切な量を食べ、食事の半分は野菜と果物として、脂肪分の少ないタンパク源と穀物、
低脂肪の飲み物という食生活を続けるだけで健康になれる。実に簡単なことです」

 日本の場合も、一皿の半分を野菜と果物で、という点に関しては、上記の白米を食べ過ぎないという
こと以上に難しいことなのでは、と考えます。





向精神薬の副作用

こんばんは。

 本日は、膵がんの利用者さん96歳の男性、Sさんに関してです。
この方は、膵がんではありますが、今年の1月あたりまでは毎月2度、銀座にある床屋さんに
電車に乗っていき、きちんとヘアースタイルを決めて帰ってくるのを生きがいとしていた、
きっちりとした方だったようです。96歳で、杖なしで歩き、電車に乗り銀座に行き、散髪して帰る。
なかなかの御仁です。

 それが、8月あたりに突然せん妄や幻覚症状が発生し、また食欲不振も伴い、入院という
運びになりました。膵がんが発覚したのはその際のようですが、本人に対しては告知はせず、
経過を追う形となっています。

 ( < BSC > の方針といいます。  ベスト サポーティブ ケア 
  がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹することをいいます。
効果的な治療が残されていない場合などに、あるいは患者さん自らの希望に応じて、
積極的ながんの治療は行わず、がんによる身体的な苦痛や治療の副作用を軽減したり、
QOL(生活の質)を高めたりすることを目的にした医療行為に徹することを指します)

緩和ケアと同じような意味で使う場合も多いようです。

主治医からは、膵がんの影響による食思不振からの低栄養による認知症の亢進、それによる
精神の不安定と診断されたようです。

 出された薬が、統合失調症の方に出される強力精神安定剤であるリスパダールという薬
であったようです。

 私は以前疑問に思ったのですが、コウセイシンヤク とタイプすると、抗精神薬・向精神薬
の2種類出てきます。
 この2つの文言には違いがあります。 
向精神薬というのは、精神に作用する薬の総称です。 この内訳の中に、抗精神薬があります。
つまり向精神薬とは、
 睡眠薬・抗精神薬・抗うつ薬・抗てんかん薬・抗パーキンソン薬・抗躁薬・精神安定薬などなど
 のものの総称です。

 さて、本来Sさんは、このリスパダールを夕食後に飲み、就寝していたようですが、
本日、デイケアの初回利用の朝、なかなか起きられなかったために、娘さんが起こしたところ、
せん妄状態が強かったようです。娘さんいわく、夢の続きを見ているようで、大声を出したり
暴れたりしていた、とのことでした。そこで娘さんは無理矢理に食事をさせて、薬を
頓服のように飲ませてしまったようです。

 その情報を娘さんよりこちらが聞いていればよかったのですが、娘さんはその薬の副作用
をあまり考えずに、何の連絡もこちらには入れなかったようです。

 リスパダールは、
①イライラしたり、落ち着かなくなって気分が高まってしまった場合
②気分が沈滞してしてしまい、物事に対して何も興味がなくなってしまった場合
この相反する状態をそれぞれ回復します。
統合失調症は、このような双極性の気分障害をともなうこともあるのですが、この薬はどちらにも
対応できるとのことです。従来の抗精神薬よりも、ふるえやこわばりといった副作用が軽減されている
ためよく用いられるとのことですが、この副作用としては、

 強度の筋硬直・嚥下障害・無動・不随意運動(ふるえ)・筋肉痛・脱力・けいれん・
 肝機能障害・不整脈・脳血管障害・倦怠感・傾眠・低血糖

などが上げられています。

 デイケアを利用する初日は、まず我々セラピストがその利用者さんを評価し、自主トレメニューを決め、
本人のトイレ動作や入浴動作に関してデイケアのフロアスタッフに伝達するという作業を行ないます。

 本日、私が来所後、本人の評価を行うまでは、Sさんは身体機能としては平穏でしたが、
その後しばらくして、平行棒内歩行中に突然歩行が止まり、体がけいれんを起こし、その場に
崩れ落ちる寸前まで行きました。歩行は近位監視で、と私も指示はしていたので、
そばにいるスタッフが慌てて抱きとめたのですが、その後本人はブルブル震えて立ち尽くすだけでした。
直ちに椅子に座ってもらい、バイタルを確認しましたが、脈も血圧も酸素濃度も全く問題はありません。
 本人は、何事も無かったかのように、ただし、ボーっとはしていました。

 その後、トイレに誘導した際にも、歩行中に突然立ち尽くし、プルプルとけいれんすることがありました。

これはおかしいとのことで、看護師に自宅の娘さんに電話してもらい、服薬が普段と違うことが判明しました。
娘さんは、朝、どうしても初回なので遅れるわけにはいかないという意識と、
この強い薬を頓服程度に考えていたようです。

 本日はこのような薬の副作用のリスクに関して、改めてヒヤリとした経験を述べさせて頂きました。
デイケア開始初日のあたふたさが、何となく伝わればと思います。

向精神薬全般に言えることですが、その服薬のタイミング次第で、本人の調子がかなり変化するのです。

 本日行なった身体機能の評価は、次回またやり直すことにし、
本日は何とか無事に過ごして頂き、帰宅していただいた次第です。 
娘さんは、もう二度と朝には飲ませませんとは言っていましたが、、、。


ペットの効用

こんばんは。

本日は現在私が訪問している利用者さんより、ペットを飼いたいと相談を受けたことの
お話です。
ベッド、ベッドとこの2日間、ブログが進行してきたので、本日は、ペットと趣向を変えていきます。
(ちょうど季節的にはまる表現をしてしまいました。悪しからず)

その利用者さんは76歳の肝臓がんの女性Kさん、現在は夫と息子との三人暮らしの方です。

Kさんは犬が大好きで若い頃に飼っていたので、病症が落ち着いた現在は、私としては
犬を飼うこと自体は問題はなさそうに思ったのですが、
どうやら殺処分されるような犬を一匹救いたいという希望があるようです。

 私自身はどこで、どのようにして、そのような犬の里親になれるのか、分からないので、
同じくがんとの闘病生活を経て、がんを克服し、経過を見ながら社会復帰を果たし、
その後、わんちゃんの里親にもなって毎日犬との散歩を日課にしている友人にいろいろと尋ねたところ、
里親を募集している公的な団体や民間の団体があるようです。

 また、保護犬カフェという喫茶店まで現在はあり、その場でもしその犬を気に入った場合は、
里親として交渉できるようです。

 現在、犬を病院の中に飼っており、その犬を各病室に連れていき、患者と触れ合うことを、癒やし効果等を
視野に入れて実践している病院が実際に存在します。
 
 そういう犬は、セラピー犬、という表現で呼ばれることが多いようです。

また、アメリカ心臓病協会において発表された犬の癒やし効果の具体的な数値で示した研究では、
心不全にて入院中の患者のうち、

①ボランティアが連れてきた犬と触れ合う
②ボランティアだけの訪問をうける
③ベッドで安静にする

の3パターンで比較したところ、①は不安の強さが訪問前よりも24%軽減
②は10%軽減 ③は変化なし、という結果になったようです。

これは、以前の阪神・淡路大震災においても、アニマルセラピーというのは震災後の被災者の心を
癒やすことが明らかになっています。
ペット というのは、人に飼われている という意味のほかに、<ストローク(なでる さする)>
の意味合いがあります。

 人が犬をなでる さする ということで、 母親的なもの、 母性的な安心感・ぬくもりをペットは
与えてくれる、という面で、ペットはこのストレス社会・高齢社会に対して非常に有効であると
言えます。
 また、犬のもつ雑菌が、人間の免疫力を高めるという説もあるようです。

 実際に、私がシステムエンジニアとして就職活動をしていた際も、ある外資系の企業では、
会社内のフロアに犬を放っており、その犬と触れ合いながら仕事をすることができることを知りました。

 さて、このKさんは、70歳をこえているため、単純には公的な里親施設での譲渡は困難なようです。
犬も長生きしますので。そして、Kさんの息子さんは、統合失調症の診断を受けているため、
息子さんがいるからといって、許可されるのも困難であるようです。
なかなかすんなり里親にはなれなさそうです。
 
 民間の団体において、里親の応募資格の中には、
①生計を立てる仕事を持っている家族がいること
②高齢者だけの世帯の場合は、後見人または保証人、引き続き終生飼育の責任を持てる人がいること。
③乳児のいる家庭はだめ
④転居が近い場合は、転居後に改めて申請する
などなど、条件があるようです。

 私の友人のように、毎日犬と散歩ができるような環境や身体機能がKさんにはないため、なかなか
今回のKさんの要望は困難かもしれませんが、Kさんとしては、民間団体との交渉を続けていく
気持ちがあるようです。

 一方、我々セラピストの側でも、訪問リハビリ先に犬がいると、なかなか賑やかなリハビリとなります。
訪問リハビリのセラピストの中には、犬や猫の苦手な人、その毛のアレルギー体質のものもいます。
よって、訪問リハビリの仕事をするセラピストを採用する際には、動物アレルギーなどに関しては、
改めて問われることもあります。
 
 私も、ある脊髄損傷の利用者さんの家にて、利用者さんが歩行練習中に、家にすむ犬にまとわりつかれて、
その利用者さんが足元を気にして転びそうになったり、
注意障害のひどい脳卒中の利用者さんが、犬の吠える声に注意を奪われて、訪問中まったく集中できずに
リハビリを終了してしまったというような経験もあります。

 犬や猫などペットのもつ癒やし効果は、ある意味、代替医療としての側面もあるかと思います。
ただ、リハビリ中にカプっと足を噛まれた経験のある私としては、わんわん賑やかに啼かれながらの
リハビリは、ちょっと苦手ではあります(^_^;)


 


ベッドと手すり

こんにちは。

 本日は、最近注目されているベッド(特殊寝台)と、ベッドの周りの移乗動作に関する
手すり(特殊寝台付属品)に関して、思うところを述べます。

 まずは、最近はやり?の、以下の電動ベッドです。
rakuriamotion2.jpg
rakuriamotion.jpg
普通の電動ベッドですと、頭部をベッドアップしていくと、利用者の姿勢は徐々に長座位となってしまい、
股関節がどんどんと屈曲されて、大腿部の後面の筋肉がストレッチされ、60度もアップすると、
利用者さんの姿勢はかなり窮屈になってしまいます。
よって、食事中などを除いて、長い間座位を保つことは困難になります。
特に、寝たきりの方は、あまり急にギャッジアップを行うと、血圧の変化やめまいなども生じやすく、
また、下肢の筋の柔軟性も低下している場合が多いのです。

 一方、このベッドでは、頭部がギャッジアップされると足部が下がり、比較的自然な座位姿勢がとれます。
ベッドの水平面が、図のように斜めになるというのは、ある意味画期的なことだともいえます。
よって、適応となるのは、普段ベッド端座位をとるには体幹の支持性が低く、座位がしっかりと
とれないような利用者さんに対してです。
 注意点としては、あまりギャッッジアップしてしまうと、体幹の筋力低下があるため、前方や側方に
倒れる可能性があるということです。
 基本的に、このベッドを用いるような方は、どなたかの監視下でギャッジアップは行うことが原則です。

さて、では次に手すりです。
swingarm.jpg
このようなベッド柵をスウィングアーム式の手すりと表現しますが、この手すりは起き上がり・立ち上がり。・
移乗動作時に非常に有効なタイプです。
夜間、寝ている間は、ベッドからの転落を防ぐために、きちんとベッドを囲う一方で、車椅子やポータブルトイレ
への移乗時には、その手すりを開くことで、より安全な動作を促せます。

その手すりの形も、最近は様々な形態が可能となっています。
たちアップ
まずは、上記の手すりです。ベッド柵のスウィング式の手すりよりも、ベッド横に設置して移動も可能なこのような
手すりは、利用者さんが両上肢で引っ張りながら身体を起こしたり、移乗時に足でステップを踏みながら
徐々に姿勢を変えたり(方向転換したり)する場合に理想的なものです。
図のような手すりをベッドの側に置くだけで、起き上がり、座位保持、立ち上がり、移乗動作の補助となります。
このタイプの手すりは、セラピストはよく注文するかと思います。
tesuriW.jpg
アクセスポート
上図のような、少し拡張タイプの手すりは、その人の立ち上がり後の移動や、移乗時のスペースの使い方
を考慮したものです。長身の方やリーチの長い方、移乗時に、ある程度のステップを踏める方、
ベッド柵のスウィング手すりでは、動作が不安定な方などは、
スペースさえ確保できれば、図のような形の設定も可能です。移乗時の転落リスクを減らすために、
手がかりとなる手すりの高さや形態は、いろいろと選択肢があるほうが良い場合も多いのです。
図のようなタイプのセッティングを考える場合は、多くの場合、全介助の方は除かれます。
tukamaru.jpg
上図のような、ベッドに固定して、そこから上肢をうまく絡ませたり、引っ張ったりして立ち上がるような
タイプの手すりもあります。
こういった手すりは、脊髄損傷の利用者や、立ち上がり時にかなり上肢に依存する方には有効と考えます。
高さや、手すりの形状は工夫次第です。
transfer_03.jpg
最後に、脊髄損傷などで、車椅子をベッドにそのままつけ、ベッドと車椅子の間を移動する方に対しては、
ベッドと車椅子の間のスペースを無くし、転落リスクを軽減するために、図のような
隙間を解消する仕掛けを使う場合があります。

 このように、ベッド周囲の福祉用具や、ベッドの動きそのものも、徐々にいろいろと試行錯誤されています。
以前のように、動作そのものを変えるだけでなく、福祉用具自体の進化によっても、利用者にとっての
使いやすさ、安全性の向上がはかられています。

 我々セラピストは、徒手的な部分や、技術的な部分にのみ目をやり、そのスキルをセラピスト独自のものだと
過信しやすい環境にいます。
ただ、このように、利用者にとって、より安全で、より介助量の少ない、より万人に対応できる形を探るためには、
福祉用具の進化、バリエーションについても注目していく必要があります。


ベッドでのポジショニングについて

こんにちは。

 本日は、訪問リハビリの際に、ベッドの臥床時間の長い利用者さんに対して特に対応することが
多い、ポジショニングに関してです。

 ポジションニングというのは、体位変換という言葉とはどちらかと言うと対をなす言葉です。
体位変換というのは、姿勢を他動的に変換することをさし、一方でポジショニングとは、
体位を一定時間保持することにより、その利用者さんにメリットがある場合に行います。

 このポジショニングは、呼吸管理を必要とする患者さんの姿勢に関して説明されてきた言葉から
徐々に裾野を広げ、現在では、呼吸器との絡み以外でも多く使われています。

 呼吸器との絡みでは、ベッドアップ60度でのポジショニングが、気道クリアランスの保持には
必要です。
座位や立位から水平背臥位になった場合、横隔膜は4cmほど挙上してしまい、
それにより、息をはいたあと、肺に残る空気(専門的には機能的残気量とも言います)は
15-20%ほど減少するといわれます。
この肺に残る残気量が、肺でのガス交換に大きく関与しています。
よって、背臥位だけの姿勢で長く過ごすことで、呼吸時の酸素の吸入量は減少し、
結果として血流量の低下、それによる廃用症候群も促進してしまうのです。
よって、ある程度のベッドアップや、側臥位でのポジショニングなどが必要となります。

人工呼吸器レベルで重篤な人になると、場合によっては、腹臥位になったほうが、
肺への換気を促し、気道の分泌物貯留を軽減する場合もあるのです。
(専門的には下側肺障害の予防・治療といいます)

まぁ、難しい話はおいておいて、基本的には、我々セラピストとしては、
利用者さんにとって気道残留物の低下・排痰の促進、そして褥瘡の予防などを目的に、
ポジショニングを考えます。

ただし、下肢や上肢、体幹が動かせる利用者さんにとっては、ある程度の時間以上の
ポジショニングは、帰って苦痛の時間になるため、そのあたりの配慮も必要です。
もちろん、自分で寝返りや体動ができない利用者さんに対しては、非常に重要な対応です。

ナーセントパット
現在、介護保険下においては、体位を保つためのグッズは、1点200円程度にてレンタル可能です。
ナーセントパットや、U字のビーズクッションなどがレンタル可能です。U字のビーズクッションは、
背臥位だけでなく、写真のように、上肢を支えて体幹を保持するため、または、
脳卒中の麻痺側の上肢を支持するために使用するケースもあります。
zaiポジションzaiポジション1
最近では、大きな抱きまくらなども、登場してきており、体位の調整だけでなく、
それにつかまらせて介護者がその利用者をベッド上で引き上げ移動させるなどといった使い方
もされるようになってきています。
だきまくら
さて、
側臥位においては、下図のように、耳・肩・肋骨・腸骨・大転子・膝・踵骨の圧迫により、
長い時間その姿勢でいることでの褥瘡のリスクが有ります。
一方で、背臥位に比べると、肺のコンプライアンス(呼吸の機能と考えます)が良好ともいえ、
利用者の頸部や後頭部への圧迫を軽減できます。
側臥位
背臥位
どちらの姿勢がより良い、というのはありません。この背臥位と側臥位の中間にあたる、
半側臥位という姿勢を我々は指導することが多いのです。
上図のナーセントパットを入れることで、30度ほどの傾斜を骨盤帯や肩甲帯に対して確保できます。

いずれにしても、その人に同じ姿勢を強いるわけでなく、圧を一定時間以上集中させることがないような
姿勢の一つとして、それぞれの姿勢をとらせることが理想です。
病院では1時間半から2時間に一度は体位を変更します。
ポジショニングという言葉自体は、静的な意味ですが、実際の現場や家庭では、その姿勢を時々
変化させることが必要となります。 
 家族やヘルパーへのポジショニング指導も、我々セラピストの役割となります。

 褥瘡になってしまった人に対するポジショニングに関しては、またいずれ述べたいと思います。

蛇のみち

こんばんは。

本日の利用者は腰椎圧迫骨折と認知症のMさん、92歳のお話しです。

彼女は若い頃、米沢に暮らしており、家計を助けるために地元の米・野菜や特産品を
仙台に売りに行っていたようです。

仙台は山脈を二つ越えた場所にあり、直線距離では近いのだそうです。
ただ、、地図を見て確認すると、結構あります。蔵王を挟んで直線で75kmあります。
当時は山脈を迂回して福島県経由にて仙台まで行くと、距離も長くなり、
汽車賃がかなり高いこともあり、貧しかったMさんの一家では、山を越えるルートを選択していたようです。

私は、何の気なしに、冬は東北は雪で埋まるから、夏の間しか仙台には行けないのですね、
と聞いたところ、いやいや、冬の山のほうが、雪がつもるのでかえって谷や川・草木を雪が埋めてくれて
楽になるんだ。という返答でした。kanjiki.jpg
この写真は、かんじき の絵です。これをはいて、二山ならぬ、二山脈を越えたとのことでした。

夏にも当然徒歩で越えたらしいのですが、その場合は、草を分け、藪を抜け、という作業の他に、
マムシ・アオダイショウ・シマヘビなどのヘビ類に対して神経を使わなければならないとのことでした。

私には上にあげたヘビ類の違いはよく分からないのですが、マムシは重宝されたようで、噛まれると大変
だけれども、二股の枝にて首のところをガツッと固定すると、あとは勝手にクルクルと巻き付いてくるので、
それで捕獲することができるようです。
マムシは、薬になるので、そうやって捕まえたようです。食べても美味しいとのことでした。
アオダイショウは酷評されていました。美味しくもないし薬にもならない、とのことでした。

見分け方は、どうやらマムシは丸っぽい模様が複数あるようで、シマヘビは横向きの黒い線が入っており、
単色は基本はアオダイショウ、とのことです。

Mさんは現在、身長150センチ、体重30キロ前半台の痩せた方ですが、
身体を壊す前は、60キロほど体重があり、80歳の時に富士山を登ったとおっしゃっていました。
それだけの脚力を、若い時に培ったといえるでしょう。

腰の調子がよい場合は、Mさんとは屋外を10分ほど散歩をしますが、その際に、道端の
雑草としか思えないものを見つけては、それの食べ方、アクの抜き方、場合によっては、
その茎や葉を使った遊び方などを教えてくれます。 
幼いころ、その場にあった草木を使って楽しく遊んでいたとのことでした。

一度葉っぱを指でちぎったものを、再度くっつけて、どこつーいだ?と楽しそうに笑うMさんは、
お散歩の時はとても楽しそうです。

上記の話を聞き出すのに、繰り返したり脱線したりしますので、だいたい半年以上はかかっていますが。




認知症について ~国際会議を受けて~

こんばんは。

先日、2日間にわたり、世界的な課題となっている認知症について、国際会議が六本木で開かれています。

主要7カ国を中心に、予防とケアがテーマのようです。

 認知症という呼び名は、その前は 痴呆 という言葉でした。
それから 認知症 という呼称となって、もう10年になります。 

 DementiaやDemenz と病院では直接言う場合も多いですが、それまでは、この訳として痴呆という言葉が
明治末期より一般的に使われたとのことです。
 この痴呆という言葉の問題点として、①侮蔑感を感じさせる ②痴呆の実態を正確に表していない
という指摘があったことから変更があったとのことです。

 この認知症の診断は、どのようにして行うのでしょうか。
リハビリの世界では、改訂 長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)を用いることが多いのですが、
実際には、
 < 生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、
   日常生活・社会生活を営めない状態 >
をさし、

 アメリカ精神医学会によるDSM-Ⅳを診断基準にすることも多いようです。

いずれにしても、加齢による単なる物忘れではなく、 ’ 病気 ’ という認識が必要です。
上記の慢性的、というのは、だいたい6ヶ月程度とされています。
例えば、ごはんを食べた内容を一部忘れてしまうのが加齢によるものだとすると、
ごはんを食べた事自体を忘れてしまうのが認知症というわけです。

 認知症の種類としては、

 ①変性性認知症  ~ 脳の神経細胞の異常が原因  アルツハイマー型認知症など
 ②脳血管性認知症 ~ 脳の血管の異常が原因     脳梗塞など
 ③その他       ~                    頭部外傷 脳腫瘍 脳炎 など

 となります。
 このうち、①のアルツハイマー型認知症は、6割を占めると言われます。

 中核症状としては、厚生労働省の定義によると、

 ①記憶障害 
 ②見当識障害      ~ 時間 ・ 季節感 ・ 人間関係(親族) について分からない
 ③理解・判断力の障害 ~ 考えるスピードがおそい ・ 2つ以上のことの処理できない ・ 混乱しやすい
 ④実行機能障害     ~ 計画を立てる・遂行する ことができない
 ⑤感情表現の変化   ~ その場の雰囲気・状況が読めない

 とあります。

 さて、現在、全世界には4435万人の認知症のひとがいて、今後、2050年には1億3546万人と
3倍に膨らむとのことです。

 アメリカ : 500万人
 日本   : 462万人  (日本に関しては、予備分を含めると、65歳以上は4人に1人が該当します)
 ドイツ  : 150万人
 フランス : 100万人
 イタリア : 100万人
 イギリス : 80万人
 カナダ  : 75万人

 というのが、現在のG7の認知症の数ですが、その対応は各国により違うようです。
 イギリスでは女性の認知症は男性の2倍とのことです。
 フランスでは、認知症の人に対して、うつ病との誤診が多く、診断に時間がかかるなど
 事情はいろいろです。

 いずれにしても、6割をしめるアルツハイマー型認知症に関しては、各国の取り組みも様々なようです。

 さて、認知症に関連したことばで、< 徘徊 > という言葉があります。

 現在、日本では、この徘徊という響きが、何もわからない人 というような響きを伴う可能性が高いため、
お散歩・単独外出・お出かけ などの言葉が候補のようですが、、、うーん。今ひとつピンときませんね。

いずれにしても、早期対策が改善に役に立つとも言われているのがこの認知症です。その対策の一つに
運動があるのはいうまでもありません。

 

 


 

セラピストの腰痛

こんばんは。

 本日は、リハビリのセラピストにかぎらず、医療職・介護職全般にも言えることですが、
仕事上の腰痛のリスクに関してです。

 我々セラピストは、介護職や患者・利用者、場合によってはナースに対しても、
どのように介助したら介助量を減らせるか、患者・利用者自身のちからを引き出せるか、を
考え、指導する立場です。

 ただし、そういう我々であっても、その患者・利用者さんにとっての最良の、というのは言いすぎですが、
より良い介助の方法を考えるのは、試行錯誤が必要です。
その過程で、こちらもかなりのリスクを負います。

 例えば、重度介助でないと寝返り・起き上がり・ベッドの端座位・ベッドと車椅子の移乗動作が
行えない患者・利用者さんがいるとします。
 その人をこちらは手探りで、起き上がらせたり、座位をとらせますが、その方法はいろいろと
あります。前方から相手の肩や足を抱えて全介助のように起こす場合もあれば、その中の一部を
介助し、骨盤や下肢を誘導して上肢での起き上がりを本人に一部行ってもらったり、
頸部や肩甲帯をこちらで誘導して、下肢をベッドから下ろすという行為を行ってもらったり、
または、後方より介助をしてこちらで頭部や肩や骨盤を誘導し、相手にも一部協力してもらったり、、
という具合です。

 もちろん、日によってもその患者・利用者さんの身体機能は違うと思いますが、それに加え、その人の
筋力や耐久性などを評価するためにも、いろいろな形でこちらもリハビリを行います。
 全介助レベルの人などは、ベッドに端座位を取らせるためにこちらも柔らかいエアマットに座って、
後ろから・側方から本人の身体を支えながら一緒に座位をとることもあります。
 そういった場合に相手の座位バランスが崩れたり、お尻がマットから落ちそうになったり、急に本人が
前方に突っ伏していったり、または、後方へプッシュしたり、と、本人の急な身体の動きに対しても
対応しなければなりません。そういう急な動きに対しては、こちらも油断していなくても、急な動きに対して
急な対応を強いられます。 こういった瞬間に、知らずにこちらも腰痛などを生じてしまうことがあります。

 本人をベッドから転落させたりするわけにはいかないので、急に身体が崩れるような場合は、こちらも
さっと手を出します。そういうことを繰り返して、本人の動作を評価しながら、訓練していくのですが、
やはり、こちらも人間です。油断もあれば、過信もあれば、評価の間違いもあります。そして、どれだけ
何かのときの準備をしていても、それをこえる動きを相手が行ったり、することもあります。

 こういう経験は、セラピストは誰しもがもっています。そして、軽いものから重いものまで、セラピストも
腰痛や筋肉痛を経験するわけです。経験則というのは、やはり存在するもので、徐々にどの程度の介助
で相手がどのように反応する、というのはわかってきますが、
全介助レベルの人に関しては、その時その時がかなりの緊張感を強いられます。ちょっとした気の緩みや
緩んでいなくとも、相手の瞬間的な脱力などで、こちらはグッと相手を支えることを強いられます。

 起き上がり・横たわり・座位・立ち上がり・立位、そして移乗、全てにおいてです。

ですので、セラピストであっても、身体に負荷がかかって当たり前の世界ですし、我々はそのようなリスクの
中で、リハビリを行っていることを、分かっていただければと思います。

 介護職の人の中には、そして、一部のリハビリセラピストの中には、力任せのパワー型の介助を行う場合も
ありますが、その場合は、相手が全介助レベルならともかく、相手の本来の動きも封じてしまい、動作の際の
自力の部分を奪ってしまうこともあることを考えないといけません。
 できれば、か弱い奥様が同じようにやっても行える、くらいの介助方法がベストです。
それが無理であっても、なるべく自分が楽をできる介助方法を、こちらはいろいろ探っているのです。

 腰痛は、そういった試行錯誤の過程において生じることがあり、また、利用者・患者本人にとって少し
難しい動作の訓練中にも生じやすいのです。

 腰痛はあくまで一例ですが、完全にそのリスクは取り去ることはできず、その中で一生懸命に仕事を
しているセラピストがいることを分かっていただければと思います。

 プロなんだから、ちゃんとやれ、という大人げない人も、中にはいますが、相手も自分も
にんげんだもの、ということを分かってもらえると幸いです。

 これから冬になるので、患者・利用者さんだけでなく、我々セラピストも若干身体が硬くなります。
いろいろと怪我のリスクも高くなりますので、生活上・仕事上共に、より注意が必要な時期だと言えます。

おてんば娘の上京 ~Iさんのお話~

こんばんは。

 本日は、左手橈骨骨折と腰部圧迫骨折、認知症の利用者Iさん(女性)、94歳のお話です。

 彼女は、鹿児島の生まれで、本当かどうかは定かではありませんが、小泉前首相のいとこだとのことです。
当時、Iさんの実家は、薬屋とよろず屋を兼ねていて、つまり提灯や下駄から薬まで何でも扱っていた
商人の家だったようです。
 
 Iさんの時代は、女性はある程度の学を積むことで、より優秀な人のもとへお嫁にいけるという感覚が
地域に根強かったこともあり、Iさんは県下で唯一の全寮制の女学校に通ったとのことです。
強い守衛さんがおり、外出してお菓子を買いに行くなどという行為も厳しく罰せられたようで、
女学生の間では、この守衛さんの目をごまかして、なんとか学校の寮を抜け出して、
友人の分も含めてお菓子を買いにいくというのが、楽しみでもあり、冒険でもあったようです。

 Iさんは、女学校を出た後、両親が自分をさっさと結婚させようとしていることを察して、
両親に対して、
修学旅行で東京で見てこなかった場所にどうしても行きたいから、すぐ帰るから旅費をくださいと
言って、その費用を工面してもらい、上京したようです。
本人曰く、女学生のころから今に至るまで、私はおてんば娘、ということです。
鹿児島の実家にて、お裁縫を学んで、お茶を習って、などはまっぴらごめんだと考えていたようで、
なんとか鹿児島から出たい一心であったようです。

 さてIさんは、先に東京の早稲田出身の実業家に嫁いだ姉を尋ねていき、そこにそのまましばらく
居候させてほしいと頼み込み、その後(戦後)マッカーサーが所属していたGHQの本部
になることになる、その当時の第一生命本社の採用試験を受けたようです。
 姉の夫は、田舎出身の女学生あがりが、第一生命の試験に通るはずはない、とバカにしていたようです
が、本人いわく優秀であったIさんは、その前評判をくつがえし、見事に保険会社へと就職します。
当時、文書課と経理課の2つより選択できたらしいのですが、Iさんは文書課に勤務したそうです。
 当時は、タイプすらない時代であったので、生命保険などの書類はすべて手書きにて行っていたようで、
仕事は毎日かなりの残業を強いられたようです。

 Iさんは、一人で事業を行うためには何をしたらいいか、ということをそのころから考え始めた
ようです。1年働いた間に、簿記などの勉強をかなり身につけたとのことでした。
 1年ほど経ったころ、Iさんは冬のボーナスの後に仕事を辞め、事業について考えていたとのことですが、
しびれを切らして怒った両親より、父危篤という手紙があり、仕方なく鹿児島に戻ったようです。

 そこであれやこれやとお見合いやらをさせられ、結婚とあいなったとのことでした。

ところが、そのお相手というのが、その後、日本の公安として、スパイとして日本国内外を飛び回る
軍人であったため、Iさんの人生はまたしても変化が訪れます。

 戦争が激しくなるにつれ、疎開の意味も含めて、鹿児島から居を木曽に移し、そこでの生活を
していたようですが、夫は年に1度か2度、ふらりと帰ってきた以外はどこへ行くとも何をするとも言わずに
すぐいなくなったそうです。一方で、夫とそれほど年の変わらない弟の面倒を見ることになったようで、
自宅内の離れに住む弟に食事の世話などをしていたようです。
 年に1,2度しか会わないはずの夫との間には2,3年のうちに2人の兄弟を授かったようです。

 さて、戦後、夫はそのままB級戦犯として国際裁判にかけられ、巣鴨の拘置所に送られたようです。
その当時は終身刑と言われれば、もう二度と出てはこれないだろう、というくらいにIさんは思っていた
ようでした。結果としては16年後に出られたようですが、、、。
 その後Iさんは、2人の子供を連れて上京し、仕事を探したようです。

 四谷にある現在のホテルニューオータニにて面接をうけ、本人いわく、おまんまたき の職を手に入れた
ようです。
 面接の際、君は鹿児島の女学校の出か、いいよ帰って、と面接官に素気無く断られたらしいのですが、
Iさんは、’私はご飯も炊けます、料理も作れます、簿記もできます、何の不足がありますか?’
と詰め寄ったとのことです。
そして、たまたまそこに居合わせた、時の農林大臣、副島千八(そえじませんぱち)がそのやりとりを
聞き、面白そうな人物だと思われたようで、かれの鶴の一声で採用が決まったとのことでした。

 子供を二人抱えて、ニューオータニのまかない婦として、住み込みで生活できたため、住居費や食費を
払うことなく生活できたのがよかった、としみじみと述べています。

 そして、そこでしばらく生活をしたのち、留置所にいる夫より、これからは建築の時代だということで、
いろいろと教唆を得たようです。
 Iさんは以前暮らしていた木曽の田舎に引きこもり、そこで必死に建築や土木、などの勉強をしたようです。
そして、山から降りてから、Iさんの実業家としてのサクセスストーリーが始まります。

 当時の女性として、実業家として、社長として働くIさんの姿は、かなり聞いていて面白いのですが、
紙面の関係で(笑)本日はこれまでにしたいと思います。

お部屋のレイアウト変更 ~通所リハ訪問指導~

こんばんは。

 本日は、デイケアのリハビリセラピストが実施する 通所リハ訪問指導 について、
その内容の一部を紹介したいと思います。

 基本的に、この通所リハ訪問指導というのは、医師の指導の元、利用者さんの自宅を訪問して、
診察・運動機能評価・作業能力検査等を行い、通所リハビリテーション計画の見直しを行う際に
加算を取ることができるのです。

 ただし、訪問リハビリを受けている利用者さんの場合は、デイケアからの訪問指導は原則として受けられません。
基本的には、まず利用者さんがデイケアの利用を開始する際に、まずわれわれデイケアのセラピストが
利用者さん宅を訪れ、その利用者さんの身体機能面の評価だけでなく、
自宅のベッド・トイレ・風呂・玄関や階段などのレイアウトの記録・バリアの評価を行います。
その際に最も重要なポイントが、
 利用者さんが、いかにして自宅よりデイケアの送迎車に乗り込めるか、そこまでの動線を、利用者の
身体機能(特に移動能力)と共に評価し、できればシュミレーションをして、実際に利用者さんに
自宅から公道まで移動していただき、場合によってはそれをビデオに撮影して、
デイケアの送迎スタッフ(介護職)に説明します。

 また、その出入りに際してリスクがある場合は、スロープや車椅子、歩行補助具などの必要性の評価を
行い、普段の日、雨の日などにより、送迎の仕方に差が出るかどうかも考えます。
 特に、公道まで段差の多い家で、階段の段差(蹴上げ)の長さが一定でない場合は、単純にスロープ
による車椅子での送迎が困難な場合もあるのです。

 さて、以上が、一般的な デイケアによる訪問指導であるのですが、 これは、1度しかだめ、というわけでなく、
医師の指示があり、本人に必要性がある場合には、再度実施することがあります。
一番多いのが、利用者さんの身体機能が変化し、その利用者さんが、自宅での動作や移動が
従来のようにいかなくなった場合です。

 今回私が訪問した利用者さんは、脳梗塞による左片麻痺の運動麻痺を生じた方で、四点杖と短下肢装具
にて歩行が可能な方ですが、感覚障害がひどく、麻痺の側(左上下肢)は重度の表在感覚や運動覚の低下
がみられ、足に傷ができていても、本人はいつぶつけたのか、分からないというわけです。
そして、転倒もかなり頻回に起こしているというわけです。デイケアに通い始めた当初は、ひきこもりを数十年
している妻と共に暮らしており、お弁当をチンして食事をセットするなど、最低限のことは妻が行っていましたが
その妻がなくなり、一人暮らしとなりました。

 2階建ての一軒家に暮らしているのですが、現在2階には行っていないとのことです。
本人は以前、仕事としてルポライターをしていたので、パソコンは扱えるようです。そういったデバイスが
2階にあるため、今回、部屋を整理して、2階にある本人の生活にアクセントとなるようなパソコンや
本棚を、1階の居間にセットし直すことも行いました。

 一人暮らしの利用者さんの自宅のレイアウトを変更するにあたり、実際の介護の現場では、
ヘルパーが行う・ケアマネージャーが行う・福祉用具が行う・家族が自宅に来て行うなどなど、
いろいろなパターンがありそうに思えますが、その人の動線や機能を含めたレイアウト変更となると、
リハビリセラピストの出番となります。
 そして、いろいろ口頭での説明では限界もあるため、このような 通所リハ訪問指導 のタイミング
にて、自宅の家具を移動したりすることもあるのです。

 今回は、
① 本人の部屋の こたつ の撤去     (低いところにかがむことでの転倒リスクの回避) 
② 電動ベッド足元にある 棚 の移動   (起き上がり時に足をぶつけて、知らずと傷をつくっていた)
③ 2階から棚の移動・設置 パソコンのセット (歩行時に、ふらついた時などに支えにすることもできる
                             パソコンは、本人のQOLの向上に一役買う)
④ トイレの開き扉を外し、アコーディオンカーテンのセット
                          (外開きの扉のため、開閉時、方向転換時に転倒したことあり)
⑤ 2階に行きたい本人に、介助にて2階に移動してもら、いかに困難かを実感してもらう
                          (これは無理にする必要はないのですが、本人に、ある意味
                           現在の身体機能を再確認してもらいました)
⑥ 動線上にあるゴミ袋や床上の衣類などの置き場所を変更

 などを行いました。 訪問リハビリが介入している場合は、時間をかけてこのようなレイアウト変更は
落ち着いて出来ますが、訪問指導の場合、とっさの判断・機転が必要です。
 そして力仕事も加わります。 こういうことも、指導と名を借りて実際には行っているのです。

 結構これ、疲れますよ(笑)

食事の場面 ~ 誤嚥予防について ~

こんばんは。

 本日は、デイケアにおける食事場面の評価に関して、述べたいと思います。

 一般的には、誤嚥 = むせる という考え方が通用するかもしれませんが、これは医療や介護の分野
においては誤りとなります。
 むせるというのは、食塊が誤って気道に入ろうとしたところを、咽頭の反射、喉頭の反射が生じることで
我々周りにも本人の状態がわかることです。
 
 ただ、実際には、普通に食べているように見えても、食塊が食道に入らずに気道に入ってしまい、
知らずに肺炎を生じることも多いのです。表在化しないという意味で、不顕性肺炎という言い方もします。
これが意外と怖いです。 気がついた時には、肺をレントゲンで取るとかなりの炎症反応にて真っ白に
写ってしまうこともあります。

 さて、嚥下に関して問題がある人は、脳卒中や老化による口腔内の咀嚼筋の機能低下、
反射の低下、認知機能低下、などなど、様々な問題を抱えています。

 食事という人場面は、 セラピストとしては、 まず、 姿勢の評価 (食事する前にきちんとした姿勢を
しているか、そして、食事の最中もその姿勢を保つことができるか)
そして、
 ①食べ物を認識する
 ②食べ物を口の中へ運ぶ
 ③食べ物を咀嚼する
 ④食べ物を飲み込む
という点で評価します。 一般的には、④のみを問題としますが、リハビリセラピストとしては、①ー③の問題
の方を重視します。何故かと言うと、そこまでしかアプローチできないことも多いからです。

さて、①から④の流れの前に述べた、食事の姿勢に関して、本日は軽く述べます。
c082-p02-00d-column-09_img_02.gif
嚥下で問題が生じる人は、その方の疾患以外に、
その方のもともとの姿勢が問題となります。それが、その人のクセの場合もあれあ、
多くは、円背、つまり背中が曲がっている(前後にも左右にも)という要素が影響します。
c082-p02-00d-column-10_img_02.gif
食べるときは、なるべく重心の移動を少なくし、安定した基底面のもとで食事するのが理想です。
図のように、胸部から上位の動きのみにて姿勢をコントロールできるとよいのですが、
なかなかこのようにはいきません。

 円背の人は、胸部から上が前方に弯曲しているため、頸部を後屈して (首を後ろに反らせる形で)
座位姿勢を保とうとするのです。人工呼吸をするにはよいのですがね。。
 その結果、食塊を入れた時に気道に入りやすい姿勢となってしまうのです。
基本的には、顎は引いて、胸は張って、食べる、これです。
 
 脊柱に側弯がある人は、なるべく椅子の方に工夫をして、なるべく左右の歪みを是正する形をつくります。
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 また、図のように、テーブルと椅子の高さの調整も大切です。
下腿長や座高などの長さを測った後、
図の 尺差 というものを計算します。 つまり、座面 から テーブルの天板までの高さです。

 尺差 = 座高 x 1 / 3 ―  2cm(または3cm) で求めます。

 座高 = 身長 x 0.55  という計算もほぼ成り立つようです。

ただ、これは、利用者さんの円背や側弯の度合いにもよるため、実際には試行錯誤してみるのが
よいと思います。

 これでも誤嚥するかたは、徐々に、食事内容の変更(刻み食やとろみなど)
や、食事介助への方向になります。

 食事内容に関しては以前軽く述べたので、食事介助に関してですが、その際、
リハビリとしては、座位姿勢から背中を 30度倒す → 45度倒す → 60度倒す
という形で利用者さんをリクライニングしていきます。これにより誤嚥が防げることはエビデンスがあります。

 また、首を回旋させて、(例えば右にねじって) 食塊を入れて(例えば口腔内の左側に入れて)
飲み込みをさせるとうまくいくこともあるようです。 ここでいう、例えば、は、
脳卒中右片麻痺の人に対して、右を向かせて、左側の喉頭を用いて飲み込みを行う、ということです。
皆さんも、首を右に回して水を飲んだり、物を食べたりしてみてください。どちらがわを通って食塊が
食道を通過するか、わかると思います。

 まずは姿勢です。食事だけでなく、さまざまな場面で、姿勢を正しい形にもっていくことが、
本人にとってプラスとなります。

 基本的には、寝る時間 座る時間 立つ時間 この3つしか人はないのです。
皆さんは、どの時間が最も長いでしょうか。。。
 


 


介護職の離職について

こんばんは。

 私の所属する職場においても、リハビリのセラピストはともかく、介護職の離職率は、
かなり高いように思います。

 デイケアにおける正職員の比率に関しては、経営者でもある私の所属する診療所の医師は、
おおよそ7人に1人、という試算にて正職員を割り振っています。
定員は26名の職場なので、正職員として勤務している介護職は、4名という計算です。
私の所属するデイケアでは、正職員は5名おり、あとはパート職員にて成り立っています。

 一方で、デイケア担当のリハビリのスタッフは3名いますが、常勤は2名、パートは1名、
かくいう私はデイケアと訪問リハビリを二股かけております。
 1日に26名来たとして、基本的には2名のリハビリスタッフが、利用者さんに対応します。
1人あたり、13名に対して個別リハビリを行う計算になりますが、実際には、
1人あたり、午前6-7名、午後3-5名程度をようやくこなせる程度です。
これは、午後にはカラオケの時間や、おやつの時間、帰宅前になると、リハビリをやりたくないと
断るような人もいるなど、様々な理由があります。

 いずれにしても、基本的には全員に対して個別リハビリを実施するという意気込みで仕事は
するのですが、体調不良の方や拒否の方もいるため、実際にはセラピスト1人あたり10名~12名
程度の実績となります。

 さて、今回は離職率に関してです。
介護職に関しては、統計的には、2割程度、と他の職業と比較するとかなり高めと言えます。
これは、背景としては、介護職の給料はどこもそれほど変わらず低賃金であるということ、
そして、社会的な認識・地位が低いと一般的な認識があること、が言えます。

 それ以外にも、介護職の仕事は、感情労働としての側面もあります。
つまり、自己の感情管理により、他者の感情に働きかける仕事であるといえるものだからです。
これは、いわゆる家事労働と同じで、賃金を得るための労働と基本的にみなされてこなかった類の
仕事だということです。

 介護職に限らず、看護師や保育士など女性向きとされる職業は、高度な感情のコントロールが必要とされ、
感情労働が主な仕事となり、いわゆる女性向きな仕事、と言われますが、
これに対して世間の評価はあまり高くなく、報酬も伴わないのが現状です。
 平成24年から27年までは、 介護職に関して言えば、 介護職員処遇改善加算 なるものが算定される
ほどです。これは裏を返せば、今までかなり低賃金にて労働を強いられていたか、を表しています。





 さて、このような感情労働が女性が多い職場でまかり通るのは、女性ならば誰もが感情をうまく
コントロールできるという社会的な通念があるからのように思えます。
ただ、実際には、女性陣は、かなりのストレスをためながら仕事をしているわけです。
 職場では、女性が多い職場ならではの人間関係や、利用者やケアマネさん、セラピストなどとの関係性
からくるストレスなどが、かなりの問題となっています。
 ある調査では、介護職員の9割が、利用者との関わりの中で、ストレスを感じているとのことです。

 こうなってくると、介護職の方はストレスを溜めることが多く、最終的には 燃え尽き 症候群となって
しまうことも多いようです。

 保育士や看護師と違い、介護職には終わりがない場合が多いのです。よって、そういった職種以上の
感情のコントロール能力が必要となるわけです。

 給料に関してもそうですが、自分の感情や、自分の生活がままならないのに、人のために何かすることなど
なかなかできないものです。
自分の仕事に対するモチベーションの高揚、幸福感を仕事から得る、ためには、まだまだこれら介護職に
対しては、社会的な認識が低い状態です。
(もちろんリハビリセラピストに対しても、と言いたいのです)

 これから、看護師の不足だけでなく、介護職も100万人ほど不足すると脅される時代です。
社会全体が、これらの職種に対してもう一度、その存在価値を見なおしてみる必要があるのかと思います。
(もちろんリハビリセラピストに対しても、と言いたいのです)

 私の職場でも、2年も経てば、常勤のスタッフも、介護スタッフも、かなりの数が入れ替わっていることに
気が付き、なんだかぞっとします。
 介護職もそうですし、私の訪問看護ステーションに勤める友人の職場では、この1ヶ月の間に、看護師さん
が2名も辞めてしまうようです。
 
 それぞれが、どこに行っても給料も待遇も同じ、それならば人間関係の少しでもいいところにいこう、
というふうになりがちのようです。 もう少し、各職場、各地域にて定着できる職種であってほしいと、
私としては強く思います。 一から教育した介護職が、これからさあ職場に貢献、という矢先にやめてしまう、
こんなことは本当にしょっちゅうあるのです。


 

脳卒中 ~地域連携パス~

こんばんは。

 私が最近見た番組に、鳥越俊太郎さんが司会を務める’医療の現場’というBS朝日の番組
がありますが、そこで取り上げられていたのが、脳卒中のリハビリテーションに関してです。

 その番組を見ていて、ふと気がついたのが、地域連携パスという、患者さんが最初に入院した
病院(急性期) → リハビリ病院(回復期) → 自宅での生活 (生活期) へ橋渡しする
記録用紙のことです。

 現在私は、生活期にあたる地域での介護保険下での医療従事者としてリハビリに携わっています。
生活期、という表現は、最近のことで、以前は、維持期、という言葉を用いていました。
この維持という言葉に変わり、現在では、生活期、という表現を用います。

この背景には、維持期、というのは、以前は脳卒中を発症してから6ヶ月経つと、、もう心身機能は
それ以上は改善しないという意味で、なるべく現状を維持する、という意味合いから来たものです。
その表現が、現在では自宅への復帰後も、残された機能や身体機能はリハビリによって改善できるという
意味合いもこめて廃止され、 生活期 という自宅での生活を意味する表現に変更されています。

 さて、本題ですが、、、この地域連携パスというものが、一向に回ってきません。あまり見ません。
そういえば、ああいう記録用紙、以前は病院で書いたなー、でも、今、ほどんど見ないなー、
どこで誰が持ってんだろうなー  という感じです。

残念ながら、ケアマネージャーさんより回復期の病院からの資料が届くのは、
リハビリテーション経過報告書や看護サマリーといった書類のみで、
急性期での診断、そしてそこからの経時的な変化は、それらの情報ではなかなか読み取れない状態です。

報告書やサマリーの情報さえ、病院の方にこちらが退院前に依頼できないような場合には、
利用者さんは退院時に持って帰っていないケースも多いようです。
ケアマネージャーさんにきいても、貰っていません、という場合があります。

 実際は、脳卒中といっても、脳のどこに病変があり、梗塞巣がどのあたりにあり、また、出血部位や
出血した脳動脈がどのあたりか、というものが、非常に通所リハビリや訪問リハビリのセラピストには
わかりづらいのです。

 私も回復期の病院に勤務しているときは、CTの画像や、急性期病院からの病変部位の情報を元に、
また担当医からの情報を元に、かなり本人の症状の原因をイメージしながらリハビリに介入できました。
地域連携パスの用紙は病院ごとによりある程度異なりますが、リハビリ部門や看護師、医師や
ソーシャルワーカーがそれぞれ記載する箇所があります。
私も実際にその用紙に記入してきました。

 一方で、前述したように、現在、介護保険下のリハビリでは、脳梗塞 などの大雑把な情報のみで、
その利用者さんの梗塞部位がどの程度なのか、という点までわかるようなケースが少ないのです。

 特に、一度脳卒中を発症してからしばらく経過しており、その後、
その人が転倒して骨折をして入院し、退院してきたような場合は、
骨折に関する情報(これも、詳細は不明な場合があります。大腿骨頚部骨折とだけ記されていて、
どのような術式で、どこから侵入して、どの程度の可動域が可能か、など、詳細がわからないことが
多いのですが、、、)ならまだしも、
それ以前の脳卒中の情報が、かなり乏しいのが現状です。

 いずれにしても、生活期のリハビリのセラピストが悩むことの一つが、利用者さんの既往歴が非常に
様々であるにもかかわらず、それぞれの疾患に関しての情報が少なすぎることです。
せめて、一番最期の診断に関しては、ある程度密な情報がほしいと思いますが、なかなかこれが
難しいと思っています。

 医療分野でしっかりと地域連携パスを作成したのであれば、それを確実に介護につなげてほしいと
思います。
 
 今回の放送では、すばらしく連携がとれているように放送されていましたが、医療の分野が思うほど、
地域には情報が入ってきていないことを、一セラピストとしては強く訴え、改善できればと考えています。
現在はかなり情報の電子化も進んでいるので、安全な形で(これが一番難しいですが)
その情報を共有できるサーバーのようなものがあれば、様々な医療・介護の従事者が情報共有できるかと
思います。



リンパ浮腫研修について

おはようございます。

 2006年に がん対策基本法 が成立してから、8年ほど経過しています。

これは、がんの予防及び早期発見の推進や、がん医療に関して、専門的な知識や技能をもつ
医師や医療従事者の育成などを掲げており、5年ごとにがん対策基本計画が見直され、
現在は2期目、となります。

 がんのリハビリテーション研修のうち、リンパ浮腫研修に関しても、プログラムが組まれており、
それに伴い、リンパ浮腫に関する用語の統一もはかられています。
この分野に関しては、現在はまだ民間のマッサージ師などとの線引きがあいまいな点も含め、
まだまだ手探りでの施策だからというのもあります。

 たとえば、
 徒手リンパドレナージ・リンパ誘導マッサージ・マニュアルリンパドレナージ・MLD

 → 用手的リンパドレナージ  (MLDを訳す場合は今後このように訳すとしています)

 セルフマッサージ・セルフリンパドレナージ・セルフドレナージ(ドレナージュ)

 → セルフドレナージ

 バンデージ・弾性包帯

 → 弾性包帯

 リンパドレナージ・リンパマッサージ

 → リンパドレナージ

などなどです。
 
 リンパ浮腫の予防・治療に関しては、基本的には、リンパドレナージや弾性ストッキング・
スリーブなどの圧迫療法が予防に有効
  → エビデンスなし

 乳がんや子宮がんの術後に、リンパ浮腫の予防に必要だからという理由で
リンパドレナージや弾性ストッキング・スリーブを全ての患者に必ず指導する病院や施設があるが、
強制はすべきではない

 という見解も、確認されています。

 ただ、専門セラピストへの教育プログラムは、がんリハビリテーション研修委員会だけでなく、
民間の協会や施設も今まで請け負ってきており、統一されたプログラムはまだありません。

 委員会の指定した研修は、2日間の座学と90時間以上の実習や実技が
ある程度費用を抑えて受けられますが、
 民間の協会や施設が実施している研修では、45時間以上の座学・90時間以上の実習を
かなりの金額(40万以上と聞いたことがあります)をかけて履修します。
 
 ただ、いずれにしても、90時間以上の実習のうち、現地での実技というのは、現在すでに
病院で働いているセラピストならまだしも、地域にて介護保険分野で働いているセラピストや
看護師などにとっては、非常に困難です。
 実際に民間のリンパ浮腫療法士の資格を得たひとの話では、認定資格取得のためには、
座学と試験終了後の実習は、2年以内に5症例を、医師の指示の元に行う必要があるとのことで、
実習先を < 自分で探して > 行うように指導されるとのことです。
 これは現実的にはかなり困難です。地域医療でのリンパドレナージは、基本的には利用者さんの
診断は複数あり、シンプルながんでのリンパ浮腫のみを対応にすることはできません。
 がん術後の場合は、主診断は骨折や脳梗塞など、他のものであることが多いのです。

 こういった、せっかく座学をクリアしても、その後しっかりと実習を行えないセラピストや看護師を
フォローすることは、委員会では困難で、協力施設に丸投げしているのが現状です。
ただし、協力施設や協会であっても、セラピストと実習をつなぐ橋渡しがなかなかうまくいかず、
個々人にお任せしている場合も多いようです。
普段仕事をしている個々のセラピストがこの実習をこなすことがいかに困難か、
想像にかたくありません。

 このような人たちをうまく育成していく態勢が早く整い、
今後のがんに対する医療的な手技の研鑽を多くのセラピストが行うことができるようになってこそ、
より質の良い地域でのリハビリも推進されると思います。

 現在、地域で働いているセラピストには、病院で勤務するセラピストよりもそのような研鑽の場を
効率よく受ける機会に恵まれていないため、まさに喫緊の問題といえるでしょう。



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