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理学療法士になりました                    ~リハビリ 日々是好日~
リハビリスタッフとして仕事をしながら、日々思うこと、記憶に残ったことを記録していきます。

プロフィール

どら吉

Author:どら吉
年齢   : 39歳
性別   : 男性
略歴   : 大学  ドイツ文学科を専攻
     : その後 金融機関に就職
           システムエンジニア
     : 退職後 専門学校に入学
           理学療法学科を専攻
     : その後 病院・診療所に勤務
     : 現在  診療所にて
           通所リハビリ業務
           訪問リハビリ業務



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糖尿病 ~ 傷に注意 ~

こんばんは。

 本日は、66歳の男性利用者さんKさんについて、50歳頃より糖尿病を患い、現在では
平均的な血糖値は160ml/dl台程度で、デイケアにてお昼にインシュリンの自己注射をしています。
また、Kさんは、右足の小指が化膿したことで、その指を一度切除し、残った部分を再度くっつける
手術をしています。

 さて、この利用者さんは、週に2回程度デイケアを利用しており、2回のうちに1回、入浴をします。
Kさんは、糖尿病の利用者さんによく見られる症状のひとつ、感覚障害があります。
特に、手指や足部でのしびれ感も常にあります。

 このような方は、知らない間に皮膚に擦過傷や打撲などの傷がある場合があるため、
デイケアにおいては、入浴時に全身の状態を観察してもらうことが大切になります。

 今回、Kさんは、主に右足や右手のしびれや筋力の低下、歩行時の足の引っかかり
が主な訴えであったため、こちらとしては左足の状態を確認することが遅れてしまいました。
といっても、まだ2回目のご利用の方であり、入浴も1回目であったため、仕方ないことではあるのですが。

 さて、Kさんは、入浴時に左足部に糖尿病性潰瘍のような傷が3箇所見付かりました。いずれも
足背の部分です。あと、足指のほうにも、潰瘍のような傷がありました。
この潰瘍に関しては、Kさんは以前より主治医に問い合わせており、’このフジツボみたいなのは
どうすればいいんだ’と質問していたようです。
主治医は、その都度対応するしかないという方法をとっており、時折傷口の膿をとっていたようです。

 私が今回失敗したのは、このKさんの皮膚がそれほど弱いとは考えず、本人と屋外を歩行練習したことです。
入浴後、30分以上足を乾かしてから、靴を履かせて歩行を行ったのですが、どうやら皮膚が入浴により
すこしふやけていたようで、その後の歩行により、左の足背に圧力がかかったようです。
つまり、右の足が不安定なために左足に力が入り、靴の中でほんの少し足が前方へずれることで、
その摩擦が足背に影響し、傷を深くしてしまったようです。

 もちろん、靴下やインソールにて、足部の状態を保護する形で歩いたのですが、結果としては、
普段からある潰瘍に加えて、足背に小さな傷を作ってしまいました。

 糖尿病の方の皮膚は、人によってはかなりもろく、ちょっとした摩擦や圧迫によって、今回のKさんの
ように傷をつくったり、潰瘍のような繰り返しの傷となりやすいようです。
 特に入浴後は皮膚が弱くなるため、その後の運動には注意が必要となります。
同じ糖尿病でも、個人差がかなり大きいのがなかなかやっかいなところです。
歩行中に本人に、疲労や痛みについて聞いても、特に痛みも感じない、疲れはよくわからない、
という反応でした。やはり感覚障害というのは、痛みに対する反応も低下させているのです。

 今回は、デイケアでの入浴での観察の大切さと同時に、入浴後の皮膚の状態の観察の大切さ、
運動時の傷や圧迫の繰り返しによる潰瘍のリスクに関して、失敗を交えた体験談をお話しました。

 その後、小さな傷ではありましたが、処置をし、ケアマネさんに説明をし、家族に主治医に受診を
してもらうよう依頼をしました。
 デイケアでの運動量の確保と同時に、入浴後の運動に関しても考えていく必要があることを痛感
しました。
 糖尿病の方は、一度傷をつくると、治癒するのに時間を要することも特徴としてあるため、なるべく
傷や床ずれを作らないことは非常に重要なことだと思います。
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成年後見制度について

こんばんは。

 本日は、少し法律的な話も絡んできますが、成年後見制度について述べたいと思います。

 先日、私が訪問リハビリを実施している方の妻より、夫が一人で買っていた、国債の満期がきていて、
それを換金しようとしたのだが、本人でないとできないと言われた。
 また、その後、夫の所有する株式についても、所有していたことは知っていたが、証券会社からの
問い合わせがあった時に、もう夫には管理能力がないので、現時点で売却しようとしたところ、
証券会社からも、後見人でないと処理できません、と断られた、とのことでした。

 私の担当している利用者さんは、正常圧水頭症の方でしたが、
現在はアルツハイマー型認知症の診断もあり、本人はほぼ寝たきりの状態になっており、
言語の表出は困難な方です。 コミュニケーションといえば、こちらが何か問いかけると、
うんうんとうなずく反応をするくらいです。

 退院の際に胃ろうを造設しており、一度肺炎で入院をすることはありましたが、73歳のこのFさんの
状態は、現在のところ安定しています。

 Fさんの家庭は、Fさんとその妻、娘と孫の家族構成なのですが、奥様の方は精神的なむらがあるため
に心療内科に通っています。

 私がリハビリを行っている間、その奥様は基本的にはじっとリハビリの様子をみながらお話しをするのですが、
今回、このような話が出ました。

 さて、成年後見制度は、大きく分けて、任意後見制度と法定後見制度の2種類あります。

 任意後見制度というのは、自分が元気なうちに、自分が何かの病気などで、将来、判断能力がなくなった
場合に備えて、予め自分の財産や生活などに関する事務的な管理について、自分の代理人をきちんと
公正証書に残して定めておく、というものです。

 ただ、一般の家庭ではこのような制度を知らない家庭も多く、また、管理する財産などあまり若いうちから
気にすることもないため、用意周到にこの制度を利用する人はあまりいないのではと思います。

 法定後見制度というのは、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人(または保佐人・補助人)が
本人の代理に法的な契約を行うことができるようになるための仕組みです。

 より正確には、
   < 認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,
      不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや
      施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,
      自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。
      また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,
      悪徳商法の被害にあうおそれもあります。
      このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です >
 という感じです。
 
 今回のFさんのケースでは、本人が意志の表出もできず、認知面の低下があるために、
奥様が証券や国債、そしてFさん名義の自宅に関して、今後自分では処理できないことに困ったという
ケースです。

 現在は、このような事案に関しては、契約者本人の自署がないと、たとえ配偶者であっても受け付けて
くれないようです。
 よって、Fさんの奥様は、成年後見人としての申し立てを行う必要があります。
この後見人の資格は、配偶者や四親等内の親族、検察官や行政書士、場合によっては会社などにも
指定できるようです。

 一人暮らしで親族のいないような独居老人などの後見人は、福祉事務所となる場合もあります。
生活保護を受けている身寄りのない方も、このようなケースが多いように思います。

 さて、この後見人制度は、住所のある土地の家庭裁判所に申し立てを行い、Fさんの場合であれば
医師の意見書・診断書などと共に、申立人である奥様に対しての審査が行われます。
長い場合は4ヶ月ほどかかるとのことなので、なかなか大変です。

 奥様は、そのような制度を知らなかったこともあり、途方にくれていましたが、この制度について
説明したところ、非常に安心したようで、早速裁判所に行ったようでした。

 このようなケースは、認知症が増えて財産管理の問題が生じている全ての家庭にもあてはまるかと
思います。我々セラピストとしても、適切な助言をする必要があるかと思います。
また、自分たちの家庭を振り返っても、早めに 任意成年後見人 を指定することも考える必要が
あるのかもしれません。

 なお、成年後見人がいる本人であっても、選挙での投票を行うことはできるようです。

頸髄損傷 と 手すり

こんばんは。

 本日は、82歳男性、中心性頚髄損傷(不全麻痺)の利用者Dさんについて述べたいと思います。

そもそも、頸髄損傷の受傷原因は、交通事故45%、高所からの転落30%、転倒15%、スポーツ外傷5%
と、一般に言われています。ただ、高所からの転落と言っても、
カラオケボックスのソファーに乗って歌っていて、足を滑らせて首を打ったような人であっても、
打ちどころによっては頸髄損傷になってしますのです。

 上記の方は、大工さんのお仕事をしていて、15年以上前に一度脳梗塞による右半身の運動麻痺を
生じますが、なんとか歩行できるまで回復し、その後、自宅での転倒により頸髄損傷を起こしてしまいました。

 頚髄というのは、首のあたりを通る脊髄が損傷することです。脳から出ているこの脊髄は、腰椎のあたりまで
伸びていますが、脳に近いところで損傷すればするほど、そこから先に影響が生じるため、症状としては
重くなるケースが多いのです。

 Dさんの場合は、半年リハビリを受ける予定の回復期病棟での生活に耐えられず、3ヶ月にて退院してきて
しまったため、訪問リハビリという形で、自宅でのリハビリとして携わるようになりました。

 このDさんの脊髄損傷は、中心性脊髄損傷という種類で言われるものです。
脊髄
 少し見にくいですが、脊髄を輪切りにした時の横断面の図です。このうち、黄色い部分は知覚神経の通り道
なのですが、外側から、足 → 腰 → 手 → 首 という感じになります。
中心性の脊髄損傷は、この中心に近い側が強く揺さぶられて、結果として 手の感覚障害が強く出ます。
また、水色の部分は運動神経ですが、これも同様です。
 外側からの(つまり、骨折など、骨によるもの)衝撃に対しては、足などに影響が出る場合が多く、
中心からの衝撃(骨折はなくとも、中心が揺すぶられ、循環障害などが生じる)に対しては、手や頸部の影響が
多いのです。

 ただし、実際にはきれいに症状が出るものではなく、左右両側に、左右差を生じる形で、また、上肢にも下肢にも
体幹にも、いろいろな形で症状がでます。運動の不全麻痺や、知覚の障害です。

 さて、Dさんの場合は、右>左の運動麻痺、そして、両上肢のしびれ感、手指のこわばり、頸部のこわばりが
主な症状です。
 本人も、
’ 他人の手みたいだ。ずっとしびれていて、何を触っても、触った感じがしない。目で見てようやく分かる。’
 と述べています。

 Dさんは、なんとか介助で起き上がることができ、歩行器でも何とか歩行ができますが、右の足は下垂してしまい、
引きずりながら、何とか足を進めることができる程度です。

 頸髄損傷のもう一つやっかいな点は、排泄障害です。 腹部への力が入りにくく、また、尿意便意も
感じにくいため、気がついた時には出てしまったり、立ち上がりや着座など、腹部に圧力がかかると、それが
引き金になって、出てしまうのです。

 現在Dさんは、排尿はしびんにてベッドにて行い、排便は自宅トイレまで何とか妻の監視のもと歩いて行って
行っています。
 ただ、しびんをセットする前に排尿してしまいベッドを濡らしてしまったり、尿量が異常に多いことがあったりする
うえ、排便に関しても、ようやく終わったと思って、立ち上がって歩き始めた際に一気に出てしまうような場面が
あるようです。

 奥様は、その介助に関してかなり参ってしまっており、一刻も早くポータブルトイレでの排泄を希望しています。
一方で、本人は、非常に頑固な面があり、大便くらいはトイレでしたい、できるから、と言い張ります。

 リハビリの介入としては、基本的にはそこは決めてもらいたいところですが、実際には介護者の方の意見に
そう形のほうが、現状には適していると考えています。実際、現在の時点で、奥様はかなり腰痛を生じています。
これは介助の方法の問題だけでなく、歩行時に転倒をして、ベッドまで引きずっていくことも増えているという
ことからも生じています。
 よって、今後、ポータブルトイレを導入することになりました。本人はしぶしぶですが、まずはお試しで、という
形で何とか説得していく方向にしました。

 ベッドにポータブルトイレを導入するにあたり、今後課題となるのは、立位をフリーハンドで行えず、
また、ズボンの上げ下げをなるべく安全な形で行う、ということです。
 ベストポジションバーベストポジションバー2
 上のようなタイプの手すりを、ベストポジションバーと呼んでいますが、天井と床を突っ張る形で、本人の手がかりを
つくり、これに身体を寄せたり、捕まったりして動作を行ってもらう、とまず私は考えました。
 このバーには、オプションで、突っ張り棒の真ん中辺りに、手すりのような形で取っ掛かりをセットすることも
可能です。サークル型、U型、H型の跳ね上げセットなど、いろいろな種類があります。
ただ、問題は、このDさんの家は一軒家であり、ベッドのある居間は、天井が高く、和風な造りであるため、
天井にしっかりとバーが突っ張れるかどうか、強度はどうか、という点です。
 このような手すりを使う方は、立ち上がる時や歩行の際に、バーを引っ張ることが多いので、万が一にも
突っ張る張力が不十分だったり、途中でぐらついてしまったりしては転倒の元となります。
 
 Dさんの自宅は、本人が自ら作り、天井も2M40cmほどあるため、高さの問題も生じる可能性があります。
ただ、現在レンタルできるこのバーは、だいたい、有効の長さが2Mから2M90cmくらいはカバーできるようです。
たちあっぷたちあっぷ2
 ベストポジションバーがだめなら、上図のような、たちあっぷ手すりと呼ばれる手すりを用いて動作を試みるというのも
考えています。この手すりは、土台がかなりしっかりしているため、よほど重たい利用者でなければ、
多少引っ張っても動いたりはしません。

 脊髄損傷においては、両上肢のしびれや機能低下が加味されるため、ベッドに備えてあるスウィング式の
手すりだけでは、うまく動作を行えない場合も多いのです。

 このようにはっきりしない書き方を私がしているのは、今後、Dさんへの実際のアプローチを行う予定である
からです。
 
 なるべく一人で安全にポータブルトイレへ移乗をし、できれば一人でズボンの上げ下げを行い、
奥様の介助量、ストレスを軽減することができれば、と現在のところ考えていますが、、結果やいかに。

 排泄の問題というのは、本人や家族にとっては、本当に大きな問題の一つだと、つくづく思います。
また、常にしびれと闘っている頸髄損傷の方のメンタル面のつらさは、推してはかるべしです。
肘をたまにどこかにぶつけてジンジンする感じ、あればずっと続いているようだ、とDさんはおっしゃっています。

 

 

ホリスティック医療?

こんばんは。

 本日は、ホリスティック医療 という考え方に関して、最近よく耳にすることがあるので、それに関して
述べたいと思います。

 私が最近読んだ本で、 ピンピンコロリ (青志社 帯津良一 著) というのがあります。
この帯津医師というのはまさに 日本ホリスティック医学協会の会長というのは後から知りました。
この方は、自ら作った帯津三敬病院という病院にて、ホリスティック医療の実践を行っている方でした。

 ホリスティックとは、もとはギリシャ語だそうですが、 英語の Whole という言葉から想像がつくように、
意味としては、全体 ・ 関連 ・ つながり ・ バランス などの言葉を包括しているようです。

 よって、ホリスティック医療とは、人間をまるごと対象とすることで、西洋医学が生老病死のうち、病にのみ
焦点があたっていることに対し、その全てを対象にするというのがモットーだということです。

 よって、特にがん患者のターミナルケア・緩和ケアに対しては、特に力を入れて取り組んでいるようです。

 患者さんの治療に対しては、 からだ(身体) ・ 心 ・ 命(霊性) の側面からアプローチしているという点で、
西洋医学の身体のみへのアプローチとは違うという形をとっています。

 具体的には、西洋医学に加えて、中国医学(東洋医学)などの代替医療も組み入れて、心や 命に対しても
アプローチしているようです。

健康とはどういう状態か? というのは、われわれセラピストも、学生の時にまず第一に習います。
そして、真っ先に忘れていってしまいます(少なくとも私は忘れていましたが)

 現在のWHO(世界保健機関)による、 健康の定義は、設立時(1948年)以降、
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and
not merely the absence of disease or infirmity.
(健康とは、完全に、身体、精神、及び社会的によい(安寧な)状態であることを意味し、
 単に病気でないとか、虚弱でないということではない。)

 というものですが、この定義について、1999年に、 精神、という文言の後に、
スピリチュアル(霊的)という文言を加える、という議論がされたということです。
ホリスティック医療で重視している いのち(命) に対する関わりにとっては、非常な追い風だったようです。

 ただ、多くの国が賛成する中、なんと日本と韓国だけがこのWHOの提案に反対し、
その文言は現在に至って、まだ導入が見送られているようです。

 緩和ケアというと、がん患者などで治療法がなくなった方が、痛みや苦しみを抑えながら最後の日を
待つというスタイルが以前は主流だったようですが、現在は、このスタイルが変わってきているようです。

 西洋医学の中枢の一つである 国立がんセンター では、緩和ケアの中に 代替医療 を取り込んで、
患者さんの希望をつないでいます。 多くは、鍼治療を導入しているようです。ただ、まだまだこのような
取り組みをしている病院は少ないようです。

 著者の病院では、
気功 ・ ホメオパシー ・ びわの葉のお灸 ・ アロマテラピー などを積極的に取り入れて、
ターミナルの患者さんに対しても、何かできることがある、という気持ちを持たせる取り組みをしているようです。

 代替医療により、生をあきらめる という心理的な方向性を、 これでいつでも死ねるぞ、という前向きな、
死を受け入れる姿勢へと導くことができるというのです。

 代替医療の一つ、< 気功 >は、中国の伝統的な養生法の一つですが、
この気功という手技の中で、呼吸を整える、ということは非常に大きな要素です。
特に呼気。 吐くことにより、体内の不要なエネルギーを捨て去り、吸う息で虚空のエネルギーをこちらに
いただく、ということなのですが、
この、呼吸を整え、気持ちを整えることを、大きな意味での < 気功 >と捉えています。

 よって、呼吸法・柔術・太極拳・ヨガ・座禅など2000種類以上あるこのような方法は、大きな意味で
気功といえるとのことです。ヨガなどは、代替医療というよりは、一般的にも趣味活動として、
現代の若い女性を中心に大きく広がっています。これも気功、というと何となく変な感じはしますが。。

 私の利用者さんの一人で、脊髄小脳変性症という難病の方は、介護保険のリハビリの他にも、
中国出身の気功の先生のもとに通い、自分が行う気功の他に、
気功師が施術する外気功というものも行っています。

 なんとなく怪しい、いかがわしい、というのが、以前の私の印象でしたが、
その代替医療によって、本人の精神がいかに安定しているか、ということを考えると、
難病の方にとってのこのような行動は、非常に意味のあるものなんだろう、と今では妙に納得しています。
気功の効果そのものに関しては、自分でその気功師から施術されるまではピンとこないかとは思いますが。

 また、ホリスティックなアプローチとしては、音楽療法なども有名です。
実際、私の所属するデイケアにおいても、音楽療法士による音楽療法を実施しています。

 メロディは感覚系や中枢神経に、ハーモニーは感情や呼吸器・循環器に、リズムは意志・代謝に作用する
と考えられています。

 また、デイケアやデイサービスにて行われる 絵画を描くという絵画療法も、色や絵により精神・こころ・
身体が調和するという効果を狙っているというわけです。

 漢方薬によるアプローチも、ある意味ホリスティックなアプローチと言えるようです。
西洋医学の薬のように、治療に使うものではなく、西洋医学と併用することで、一歩ずつ前進していくのが
漢方の役割という見方です。
 例えば、冷えに悩むがん患者さんに勧めることで、冷えをなくし、精神的にもフォローしていくという
役割があります。

 その他、鍼治療などいろいろと代替医療にはあるようです。

このような面をいろいろと試行錯誤し、実践してくれるような緩和ケアの施設があることは、
これから2人に1人ががんになり、2人に1人はがんで亡くなるこの時代において、
特に日本においては非常にありがたいことかと思います。

 ただ、医療の中心にいる医師がこのようなスピリチュアルな面に関してはあまり関心がない場合が多いため、
日本ではがん難民という言葉が生じてしまうのだと考えます。

 私の個人的な意見としては、仕事上、がんによるターミナル期の患者さんが、
自宅で最期を迎える場合であっても何かしらホリスティックな関わりが
地域の医師や看護師・リハビリスタッフなどで行えればより良いかと思います。
病院でないと確保できない心理療法士によるカウンセリングなども、
ゆくゆくは介護保険分野においても広がるとよいのでは、と思います。

 個人病院だからできるんだよ、というふうに考えてしまうと、
上述のような形で緩和ケアと関わっている医療チームをますます孤立させてしまう気がします。
 現実は予算的にも、マンパワー的にも非常に厳しいと思いますが、
国家の戦略として、病院でなく、自宅にて最期を看取る形をこれから増やしていく方針であれば、
地域の緩和ケアの形も、上記のようなユニークな取組も含め、
これから多様な選択肢が出てくればよいのでは、とつくづく考えます。
 

 

福祉用具貸与の給付規制? ~電動ベッド~

こんにちは。

 電動ベッドというのは、メーカーによっても様々ですが、身体機能の低下のある利用者さんが、
安全な睡眠活動や、夜間の寝起き、立ち上がり、移動を行うために必要なものであり、
日中の利用者の’ 居場所 ’としても重要なものです。

 もちろん人によりますが、現在の80代以上の方などは、基本的には和式の生活スタイルのほうが
馴染んでいる方が多いと感じますし、なるべくならベッドでなく、布団で寝たいと思っている方のほうが
多いようです。
 60代くらいだと、そこまで寝場所に関しては希望が強い感じではないようです。
 おそらく、われわれ現役世代は、和式の生活スタイルの方が違和感があるような人もかなりいるでしょう。

 さて、電動ベッドに関しては、介護保険上において、
1割の負担においてレンタルが可能です。価格は、600円~1500円程度とむらがありますが、おおよそ
1000円程度と考えられます。
 基本的には、ベッドだけでなく、手すりやマットなどもセットにして考えていきます。
 専門用語として、電動ベッドを特殊寝台、その付属品を 特殊寝台付属品と呼びます。
ebed.jpg
 この電動ベッドは、
 ① 高さを変えることができる
 ② 背中を上げることができる
 ③ 足を持ち上げることができる

 という機能を持つものが多く、その動きを分節的に行えるものを 3モーター と言ったりします。
2モーターですと、②をおこなっている間に、足の部分も上がってきたり、
②のみおこなえて、③ができなかったりします。
1モーターですと、高さのみ調整がききます。

 この電動ベッド、その利用者さんの身体機能に合わせて、様々な使い方がありますが、それは
別の機会に述べたいと思います。

 電動ベッドのような福祉用具に関しては、利用者が1割の値段にてレンタルする場合は、
’給付規制’ なるものがかかります。
 
 これは単純なもので、
’軽度者 (要支援 1  2  要介護 1 ) に対しては、介護保険でのレンタルはだめ、ということです。
 ちなみに、そうなると、レンタル料は約10倍になるわけです。

 これでは困るということで、この給付規制の法律は、1年後にすぐに訂正され、例外給付という形での
レンタルが認められています。
 ただし、この例外給付を受けるには、

 ① 医師の意見(意見書)
 ② ケアマネジメントで必要性が議論されていることの記載が必要
 ③ 市町村が認可している

ことが必要です。

 これにより、要介護度が低い方でも、レンタルが可能です。
例えば、薬によって、身体の on-off が生じるパーキンソン病や、
朝のうちだけかなり調子が悪くなる 重度の関節リウマチ、
末期のがんの方で、認定の時と比べて急に身体機能が低下をしている方、
嚥下機能低下で、逆流性食道炎を生じやすい方、
ベッドの背もたれの角度によって、呼吸機能が改善される方、

 などなどの方が、この例外給付を受けることができます。
ただし、これは、永久的なものではなく、その都度の更新となり、手続きも
家族やケアマネージャーからすると
面倒なようです。

 さて、よーうやく本題です。

 この例外給付のうち、 今後問題となるのは、 上記の ③市町村の認可 という点です。

今後の改定により、ひょっとすると、このような例外給付に制限がかかる可能性が強まっています。
聞いた話では、実際の動作 ( 起き上がり 寝返り 立ち上がり )が出来る人は、
それまでレンタルできていた方も、レンタルできなくなるということが生じる可能性があります。

 そしてそれは、③の通り、 住んでいる市町村により 対応が異なるようです。
自分の勤務する場所は、 人口も多く、高齢者も多く、税収は少ない、生活保護者は多い、
いわゆるなかなか厳しい状況にあるようです。

 よって、今後、介護保険での1割負担の対象は、福祉用具の分野でもいろいろと制限がかかる
見込みです。

 電動ベッドに関して言えば、確かに、コンセントすら抜いてしまって、あまり動作に影響のない人が
安いからといって借りている場合も、たまーにはみかけますが、原則としては、これからの在宅での
生活のあり方が、福祉用具の面からも厳しくなると言わざるをえません。

 われわれ現役世代が高齢者となった時、、、どうなっていることでしょうか。
考えてもせんないことですが(笑)
   

  

訪問指導 ~ 段差の昇降 ~

こんばんは。

 先日、ブログに訪問リハビリから通所リハビリへの移行の際に、自宅の玄関や、自宅の段差での
公道への出入り動作、車への乗り込み動作に関して記述した際、どのようにして、
階段を昇降するのか、という意見がありました。

 それに関しては、ケースバイケースというのがセラピストとしての回答にはなるのですが、
今回のケースに関して説明したいと思います。
 今回は、段差は4段、降段時に向かって右側に手すりがあると仮定します。
階段

 この段差を、片方の膝から下の下肢を切断した方は、どのようにして家族の介助で降りたのか、ということです。
この場合、その方の身体機能、とくに上肢の機能にもよりますが、
まずは、私が提案したのは、

① 椅子を使って、一段一段おりる方法です。
    今回、段差の蹴上げ(高さ)は20cm程度、 踏み面(足をおく場所の幅)は40cm程度ありました。
  よって、
  isu2.jpg
  のような椅子は、その踏み面にセットできます。 よって、
  一番上の段までは、車椅子にて移動する。

 → 車椅子から足を降ろし、2番めの段差の踏み面に足を下ろす
 → 手すりを持ち、介助にてしっかりと立ってもらう (片足でたつ)
 → 2段めの階段の踏み面に上記の椅子を置き、腰を下ろす
 → 椅子にて臀部をぐるりと回し、3段目の踏み面に足をおろす
 → 手すりを持ち、介助にてしっかりと立ってもらう (片足でたつ)
 → 3段目の階段の踏み面に上記の椅子を置き、腰を下ろす ・・・・

 これを下の段まで行ってもらい、4段目まできたら、車椅子へ移乗、または、
車への乗り込みを行うわけです。

 昇る場合は、少し注意が必要です。下の段から腰掛けるので、蹴上げの長さと椅子の
高さが、あまりに高いと、利用者さんのお尻が乗りません。要注意です。

 また、
② 歩行器を用いて、1段ずつ降りる方法です。
  一番上の段までは、車椅子にて移動する

 →2段めの踏み面の上に 歩行器を 普段のようには使わず、反対に180度まわして、
  コの字にて置き、最上段で立ち上がった際、後ろ向きにて段差を降りるように身体を回す。

 →後ろ手に両手で歩行器を握り、介助にて一歩うしろに下がり、下の段に足をつける。
  この時、介助者はズボンを持つなり、介助用ベルトをしてそのベルトを持つなりして、
  ともに足を一段下に下げる。松葉杖を利用して片足で歩けるような方は、このような
  歩行器での昇降は問題なく行えます。切断の方は、その人の上肢の力次第です。
  
   * 後ろ向きの場合のほうが、視覚的にも恐怖心をあおらない。また、一段下がる際に前から
     でなく後ろ向きなのは、足を一段下ろす場合に、介助者は段差の下で、転落を予防すれば
     よく、また、後ろ歩きの場合は、膝を伸展して下の段に足を踏み出すので、膝折れのリスクが
     生じにくい、という利点もあります。 視覚的な恐怖心は、かなり動きに変化をもたらします。

 →これを下の段まで繰り返す。


③ 介助者が、本人の腋窩~片腕を、片側から介助 (もう一方は、本人は手すりを把持)し、
  臀部を介助し、一段を一緒に降りる方法。
  肩を貸す、という表現が、わかりやすい形かと思います。こうなると、かなり介助量は増えます。

④ 1段め ・ 3段目の階段の段差を解消する。

  ブロックや雑誌などで車椅子の車輪が乗り、かつ、一度水平になるようにセッティングできるような
 階段であれば、スロープを用いずとも、車椅子にて2回ほど段差を解消すれば、4段分の段差を
 昇降できます。 車椅子の前後の長さが長すぎる場合は、
  フットレストを外すなどして工夫しますが、これが可能だと、月々レンタル代金が500円から
 1000円近くするスロープよりは、無料で段差が解消できます。
  ただし、蹴上げ(段差の高さ)によっては、車椅子を持ち上げる利用者の力が必要となります。

 段差の解消に関しては、利用者さんの身体機能を十分に考慮した上で、検討します。
 手すりさえあれば、前向きにて段差を昇段できるひとや、
 横歩きにて段差を昇降できるような方が一番こちらとしては気楽ですが、今回は片足の断端の
 調子が悪く、なんらかの介助は必要となるケースです。

 利用者さんの娘さんが、担いででも降ろしますよ、というのを聞いたからといって、
 ではそうしてください、というわけにはいきません。
 我々は、常に家にあるものを用いて、なるべくお金をかけず、介助量をかけず、その利用者の
 動きを最大限に活用する形で、援助していくことが大切となります。

 椅子を使って昇り降りを行う方法や、歩行器を普段と違う方法を用いて上肢のプッシュアップにて
 昇降を行う方法は、実際に臨床の場で用いることがよくあります。

 特に、お金は十分あるので、という家庭ではなく、スロープ一つレンタルすることにも苦悩する家庭に
 対するアドバイスは、我々にとって本領を発揮するケースでもあります。
 

 

訪問リハビリ→通所リハビリの連携

こんばんは。
 
 本日は、訪問リハビリテーションから通所リハビリテーションへの流れに関してお話します。

 今回の利用者さんは、糖尿病から右膝下の下腿を切断し、義足を作成した利用者さんYさん(男性)に関してです。
Yさんは、1月に切断を行い、入院中に仮義足を作成、その半年後、7月の退院時に本義足を作成して
退院して自宅にてリハビリを開始した方です。

 退院後は、ケアマネージャーさんと相談し、Yさんは訪問リハビリを利用することになりました。
自宅にて、断端部(切断した右足の部分)の管理や、義足を装着して歩行練習を行うことを、
訪問リハビリの利用にて開始しました。

 訪問リハビリでは、断端部のチェックを行いながら、断端部へ適度に圧をかけるため弾性包帯
の装着を指導します。なるべく自分で弾性包帯を巻き、断端部へ適度な圧迫を行うようにして、
断端部を固くします。これを、断端の成熟、という言い方をします。
 
 義足の装着しての立位・歩行練習を行うことで、自宅内でのADLの改善や介助量の軽減をはかります。

このようにして、自宅での動きが改善されてくると、今度は利用者さんとしては、外に出ていろいろな人と
交わりたい、という希望が出てきました。 一方で、家族としては、Yさんが外出することで、より身体機能が
改善して欲しい、そして、その時間が自分の時間となり、有効に活用できる。というふうになります。

 この時点で、ケアマネージャーを通して、訪問リハビリから徐々にデイケア(通所リハビリ)に移行していきたい
という意図があることが、デイケアに伝わります。
 自分の勤務先では、訪問リハビリの部門と、デイケアの部門があるため、訪問リハビリのセラピストが、
デイケアにその利用者さんを移行する流れを作りやすいといえます。

 訪問リハビリのみの事業所であっても、利用者さんから外に出たいという希望が出てきた場合には、
徐々にデイケアの利用、またはデイサービスの利用を検討していくことになります。

 市区町村の方針によっては、訪問リハビリと、デイケアやデイサービスの併用が難しいと言われるエリアも
あるため、デイケアやデイサービスの利用を開始することは、訪問リハビリからの卒業を意味することになります。

 現在は、この移行に関しては、グレーゾーンとなっており、訪問リハビリとデイケアの併用を利用者が行って
いた場合でも、期間を決めてリハビリを行えば、訪問リハビリの方も継続できる場合が多いようです。

 この移行期は非常に大切です。この移行期に、訪問リハビリのセラピストとして行うべきことのうち、重要な
ことは、まず、自宅の玄関からデイケア利用時の車への乗り込みまでの、動線や動作の確認です。

 訪問リハビリからデイケアの利用をスムーズにするために、デイケアのスタッフが迎えにきたことを想定して、
その場合にその利用者さんを、自宅からどのような方法で外にだすのか、これをしっかりとシュミレーションする
必要があります。
 これをおろそかにすると、デイケアの送迎時のスタッフは、ヘルパーの資格しか持たない非力な女性が来る
場合もあるため、その利用者が転倒したり、うまく家族が介助できなかったり、というリスクが生じてしまいます。

 よって、我々セラピストは、家族が介助することができる環境であれば、家族の介助量はこのくらい、
家の出入り(特に玄関框部から公道)に支障はないか、ということを真剣に検討し、デイケアを利用する前に
何回か、その出入り動作を確認する必要があります。
 
 今回、この義足を利用するYさんは、自宅の玄関から、公道までに、玄関から門までの5mの距離、
門から公道までの4段の階段(降段方向に向かって左側に手すりあり)がありました。

 この家族に対して、デイケア側からすれば、義足をつけた状態で、歩行が出来る場合の介助法の確認
(晴れた日はこうしましょう。雨の日はこうしましょう。という約束事)
 また、断端部に傷があるなど、義足を装着できない場合にどのようにしてデイケアに連れて行くか、
という点の確認が必要でした。

 今回は、利用者本人にとっても運が悪いことに、初回のデイケア利用時の2日前に断端部に水疱ができ、
その水疱が破けてしまい、義足を装着して、荷重することが困難となりました。
 義足さえ装着できれば、この利用者さんは、4段程度の段差であれば、横歩きにて、昇降ができるのです。

 ただ、義足が装着できない場合は、介助量が一気にあがります。 家族の方は、(娘さんは)
’かついででも降ろしますよ’と気楽に言っていたようですが、今回、訪問セラピストは、
そうですか、とそのまま帰ってきてしまい、 介助の仕方を示唆したり、 車椅子での送迎方法などを考慮
することなしに、そのままデイケアに移行しようとしました。

 それにより、かついで、とは言ったもののどうすればよいかわからない娘と、どの程度の介助を行って
その段差を昇降すればよいのか判然としないデイケアのスタッフ、そして、決めきれなかった訪問リハビリの
セラピストの3者の間で、どうすればよいのか、という点で混乱が生じました。

 我々セラピストは、かつぐから、という言葉を聞いた時点で、その介助方法自体が妥当かどうか、
また、介助するとしたらどのような介助方法がよいのか、を検討していかなければいけません。
かつぎますか、ああそうですか、という形で引き下がるわけにはいかないものです。

 今回は、自分の事業所にて問題となった恥部をさらけ出すような書き方になってしまいましたが、
やはり、プロとしては、いろいろなケースを提案していくことが必要となります。

 自宅から、家族が介助することで本人がなるべく安全に外にでることができる形を、我々訪問セラピストは
考えていく必要があります。 これは、デイケアの利用の時だけではなく、家族と外に気軽に出かけることが
できるかどうか、という点にもつながりますし、地震や火災などの緊急時に、ある程度安全な形で
屋外に避難する場合にどのようにすればよいか、を家族に考えてもらう上でも大切になると思います。

 前述したように、義足の方の場合は、片足となるため、段差を越える場合は、いろいろと工夫が必要です。
その人に上肢や体幹のちからがどの程度あり、どの程度の補助具が使え、どの程度のマンパワーが介助に
入れるか、このような視点で、考える必要があります。
 また、さらに言えば、その人が断端に傷ができるなどして、義足をつけることができなくなった場合の対処という
のも、課題となるわけです。

 反省も含め、また、訪問リハビリからの卒業のために必要な観点も含め、今回の記事を書いた次第です。

がんの痛みに関して

こんばんは。

 本日は、昨日のテーマを受け、がんの痛みの緩和に関して述べたいと思います。

現在、自分が読んでいる、 「自分を生ききる ~ 日本のがん治療と死生観 ~ 」
著者: 中川恵一・養老孟司 小学館

 を参考に記述していきたいと思います。

 現在、二人に一人の割合でがんにかかる時代になっています。がんとは、結局は、普段行っている
細胞分裂がうまくいかずに間違った分裂をしてしまうということですから、
日本のように、長生きの国では必然的に、増えていきます。つまり、高齢化するほど、高齢者ほど、
正しいと思った細胞分裂が、間違ってしまうという結果になってしまうのです。
 ある意味、長生き病、みたいなものだからです。

 がんで死ぬということ自体は、その亡くなるまで数ヶ月から数年の猶予期間があるという点で、
著者は否定的ではなく、かえって理想的だと述べています。
 その一方で、がんは末期の緩和医療という面に関しては、日本はかなり他の国に遅れをとっているようです。
がんによる痛みはかなり強いため、人生を豊かに送り、最後をむかえるためには、
がんの痛みに耐えている時間はもったいないと著者は述べています。
 
 日本は、現在もそうですが、放射線治療の後進国でもあります。 
これは、以前、日本人は特に 胃がん が多かった歴史があったため、 がん への対処 = 手術 が
主要であった時代があったためです。
 それが徐々に変化があり、現在ではようやく放射線治療が普及してきています。
この本では、日本では、26万人の医師のうち、放射線治療医はわずか450名程度しかおらず、かなり
足りない状態である、とのことでした。

 がんと診断された時に、セカンドオピニオンとして最も的確なアドバイスがもらえるのも、この放射線治療医だ
とも述べられています。

 そして、日本は、放射線治療の後進国であるとともに、緩和医療にも遅れをとっていると言われています。

緩和医療の最も大切な役割は、がんの痛みを和らげることですが、 その主流は、 モルヒネ などの薬を、
薬として飲む方法です。

 モルヒネという名前から我々が想像するのは、 麻薬 というイメージから、
「麻薬を使うと中毒になる」
「寿命が短くなる ・ 死を早める」
「だんだん効かなくなる」

 などということですが、 これらは すべて 迷信 です。

 口から入れる分には、非常に安全だ、というのが結論です。

 モルヒネの使用料は、日本は、他の国に対して非常に低いということが、以下の図からよくわかります。
モルヒネ消費量
 つまり、アメリカ・カナダ・オーストラリアから、かなり少ないことがわかります。

ある意味、日本のがん患者さんは、他の国と比較すると、かなりの痛みに耐えながら生きているのです。

 実際には、モルヒネなどにより、痛みのない患者さんのほうが、結果的に長生きをしています。
豊かな余生は、痛みのない中でこそ、有意義だという考え方に、私も賛成です。

 がんの痛みに関しては、WHOが、がんの疼痛管理プログラムを作っているのですが、
現状では、医師であっても、このプログラムの存在を知らない医師が6割、 知らない看護師は8割も
いるようですので、驚きです。

 日本は、昔から、我慢は美徳、という感覚があるのではないでしょうか、これは、なんともない人にとっては
よいのでしょうが、実際に痛みに耐えているがん患者にとっては、大変なことです。
 
whoラダー
 上の図では、痛みの強さを3段階にわけ、痛みに応じて鎮痛剤を投与するプログラムを指しています。 

痛みの伝達回路の中で、 オピオイド受容体 に作用するのが、モルヒネです。
痛みの伝達をする神経を鈍くする役割を、このモルヒネが担っているのです。

 モルヒネは、痛みに対してだけでなく、呼吸困難感をも改善することが、現在科学的に証明されています。

 代表的な薬品名としては、

 強オピオイド鎮痛薬
 モルヒネ
 オキシコドン
 フェンタニル

 などがあります。
 フェンタニルは、オピオイド鎮痛薬の中で、唯一貼り薬があります。1枚で72時間作用し、吐き気などの
 副作用も出にくいようです。

 うちの医師は、この麻薬を終末期の患者には気持ちよく貼ってあげ、自宅での看取りに一役買っているようです。

 死ぬことは誰であっても免れはしませんが、その際、なるべくなら痛みのない、安らかな時間を、と
思うのは、誰しも同じだと考えます。 
 日本の緩和ケアや放射線治療の形が、もっともっと整ってくることは、非常に大切なことだと感じます。



免荷装具 ~ がんによる痛み ~

こんばんは。

 本日は、肺がんの利用者さん、Tさん75歳男性に関するお話です。

 Tさんは、肺がんの診断を受けて、余命3ヶ月と言われていたにも関わらず、その後半年間以上
デイケアに通い続け、その後、通えなくなって1ヶ月後に亡くなった方です。

 この方は、大腿骨に骨メタがありました。(骨メタとは、我々医療業界にて、骨転移を指す言葉です。
正確には、転移を意味する metastasis を略したものです。)

 肺がんは、骨転移をしやすいがんの一つです。肺は、肺動脈・肺静脈が行き渡るところですので、
がん細胞はここで血流にのり、身体の至る所に運ばれる可能性があります。
Tさんの場合は、右足の脛骨(下腿の骨)に転移が生じていました。

 転移する場合は、がん細胞は、骨を壊す細胞(破骨細胞)を活発にします。
転移した骨は、骨膜からやられていきます。 
 本来、骨は、破骨細胞(こわす方)と骨芽細胞(つくる方)が、うまく機能しあって、成り立っています。
1年に2-3割の骨が、このリモデリングという仕組みによって入れ替わっています。

 ただ、がんの転移により、破骨細胞が過剰になると、 医療用語では、 骨融解 (つまり、溶けるといいます)
という状態となります。

 Tさんの痛みが強いため、レントゲンを撮ったところ、本来は白く写って欲しい脛骨が、骨幹部(中央)にて
黒く写っていました。 
 最初は歩行器にて、何とか歩いていましたが、さすがに病的骨折が怖くなり、私の方で、医師に、
免荷装具の作成を提案しました。

 このTさん、デイケアにて、もはや個別訓練としてのリハビリを受けに来ているというよりは、
慣れ親しんだデイケアにて、本人の大好きな趣味である 将棋 をやりにきていたのです。

 何としてでも将棋をさしたい、そのためにデイケアに通い続けたい、という希望が強かったため、
こちらとしても、何としてでも家から外に出してあげたいと思うようになりました。

 玄関の外にさえ出られれば、あとは車椅子にて移動できるのですが、このTさんの家は、賃貸であるので
住宅改修は大家が嫌がり、狭い玄関の割に、高い上がり框を昇段する必要がありました。玄関に手すりを
というこちらの希望は、融通の利かない大家が反対し、だめでした。

 そこで、歩行器と免荷装具、あとは底床の椅子を用いた上がり框の昇降を行うことで、この課題を解決することに
しました。免荷装具は、部屋の中での移動でも活用できると考えました。
abumi3.jpgabumi.jpg
この あぶみ式の免荷装具は、膝にある膝蓋腱という部分にて身体を支えることで、
足底は地面と接地しないため、足底に荷重をかけず、脛骨への負担を減らすというもので、
Tさんに対しては、写真でいう左側のタイプを作成しました。

 余命宣告をされた がんの方 と述べましたが、表向き、Tさんには告知はされていなかったため、
Tさんには、病的骨折という説明はせずに、下肢の痛みが収まるまで、負担を減らしましょうと、
直接的な説明は行えませんでしたが、本人は、将棋をさしにこちらに来られることが、第一でした。

 時間がない環境の中、義肢装具士に作成してもらったこの装具でしたが、なかなか適合がうまくいかず、
調整中にTさんは膝の痛みや、荷重時痛が生じてしまったりと、いろいろ困難がありましたが、
これは短期間で作成しないとならない義肢装具士さんにとっても、かなり重たい宿題だったかもしれません。
私としては、Tさんの装具を評価し、適合がうまくいっていないことを装具士に伝え、修正してもらうしかありません。

 正直なところ、Tさんは大工さんで、同じく肺がんで亡くなった私の祖父を想い出すような雰囲気の方でしたので、
(私の祖父も大工さんでした)
何とか本人の思うように外に出してあげたいという私情も若干あったかもしれません。
 
 結果として、亡くなる1月前まで、本人は外に出ることができました。 
免荷装具により、Tさんの痛みは軽減できましたが、さすがになくすまでにはいきませんでした。
また、告知していなかったため、今度は左足が痛くなってきた、となった際に、
本人が、転んでもないし、骨折じゃないんだからレントゲンなんか撮らなくていいよ、と言ったところを、
レントゲンをとるようにもっていくこともなかなか至難でした。 
医者が、こういう時にうまく説得してくれるとよいのですが、なかなか今回は難しかったようです。

 骨メタによる痛み、これはかなり強いと効きます。肺がんと前立腺がんは、特に下肢や骨盤への転移が
多く、また、多くは溶骨性となるため、転移部への影響が強いがんと言えます。
今回は免荷装具の作成を行いましたが、骨メタへの対応は、人それぞれかと考えます。

 がんによる痛みに関しては、改めてまた記述したいと考えます。




一人暮らしのお供 ~安否確認~

こんばんは。

 本日は、一人暮らしの高齢者の安否確認サービスに関して、述べたいと思います。

私の訪問する利用者さんのうち、最近の世相を反映してか、結婚しておらず、一生シングルで過ごして
いる方も少しずつ増えてきているようです。

 本日話を聞いたMさん(女性83歳)は、18歳の時に、ポリオを発症したことで、本人の人生の選択肢の中に、
配偶者を得るということを失くしてしまったとのことでした。
 そうはいっても、ポリオにより、足関節の固定術を受けたことによる歩行時の不安定さ以外は、その当時は
特に他の症状もなく、フリーハンドにて歩行できている状態でした。

 現在では、右半身の運動麻痺の症状が強くなってしまい、両手にロフストランド杖を使用しての歩行となり、
自宅の周囲15分程度を歩行するのがやっとの状態ですが、現役当時は都内の満員電車に乗って通勤ができて
いたくらいです。

 ただ、結果として、83歳となった今も、独身を通しており、仙台に住む甥が、キーパーソンとなっています。
東京都と宮城では、かなりの距離があるため、Mさんは、電話回線を用いた安否確認システムを導入しています。

 このシステムは、Mさんに関して言えば、24時間、Mさんが自宅内の居間と台所を結ぶ通路を通らなかった
場合に、固定電話の回線が自動的に登録してある仙台の甥の家に連絡をするというものです。
そのセンサーは、Mさんの寝室とトイレの動線の途中にあたる位置にもあるため、
そこを24時間通過しないということは、何かが生じている、という判断につながるわけです。
anpi4.jpg

 本人は、これで、何かで自分が倒れても、24時間以内には誰かに通じている安心感があるとのことでした。

 一人暮らしのお年寄りの家で少し気になる点で、電話の位置が高い位置にあるという点です。
私が訪問リハビリを行う際、一人暮らしの高齢者の家にて、電話機の位置が高い場合は、万が一の転倒や、
卒倒の際に、何とか這って電話機の前に辿りつけたとしても、この位置では手が届きませんよ、
と必ず注意をします。

 それだけ、高齢者が倒れた際の、早期発見、早期搬送というのは難しいわけです。
以前、私が病院に勤務している際に、自宅の玄関に入った途端に脳出血で倒れた方は、その冷たい玄関の
土間のところで三日間、横たわり、顔や身体に褥瘡を沢山作っていた方がいました。何とも痛ましい事件でした。

 その話を聞いてから、私としては、一人暮らしの高齢者の万が一の場合に備えた提案をしています。

パソコンや携帯電話(スマートフォン)などのサービスで、一人暮らしをモニターするシステムは、現在では
徐々に広まってきています。電源さえ常に入れておけば、常にモニターから遠隔地にいる家族が自宅の中の
様子をチェックできる、ということが、できるようになってきています。

 上記の、固定電話回線を使ってのセンサーのサービスは、初期費用として5万円~7万円程度かかるようですが、
ドアの開閉による確認、通路の通過による確認などから選べます。

 その他、映像、ガスの使用、電気の使用、などによる確認の他、実際に、電話をその家にかけてもらい、
安否確認を直に確認するようなサービスも現在は広がっています。
 電気会社やガス会社、ネット関連や、携帯電話関連、その他民間業者など、いろいろな業者が参入しています。

 ネットなどを利用する場合は、その利用者さんの家に、ADSL回線やひかり回線が必要になる場合もあり、
現在の高齢者は、やはりそういったIT関連には弱く、なかなか導入していません。

 よって、Mさんのように、固定電話を利用したサービスが、現在でもまだまだ必要となっているようです。

孤独死だけでなく、利用者さんが転倒をした際や、脳卒中が発生した際に、早期に周囲が対応できる仕組みが、
都心を中心により必要となってくる時代となっています。

利用者さんの急変について

こんばんは。 

 昨日、デイケアを利用しているSさん75歳、多発性脳梗塞の男性が、昼食後、普段通り持ってきたラジカセに
カセットテープを入れて、演歌の曲を流そうとしました。
 この方は、演歌を聞くのが好きで、このデイケアの古参です。10年以上も前から、デイケアを利用し続けています。
音楽療法士で歌手でもある歌手のTさんが大好きで、その人のCDは欠かさず購入しています。

 そのSさん、最近は歩行レベルが低下し、シルバーカーでの歩行も、デイケア利用時以外は行わず、
また、歩行時の血中酸素濃度(SPO2)の価も80台にまで低下するなど、バイタル面でも注意が必要
となってきました。

 今回、Sさんは、昼食後、カセットテープをラジカセに入れようとしてカセットテープを床に落としました。
その音に近くのスタッフが気が付きましたが、その時にはSさんは意識が消失していたようです。
何度か声掛けをし、かなりの大きな声でSさんの名前を呼びましたが、まったく返事がない様子でした。
そこで周りのスタッフもSさんの周りに集まっていき、それぞれに声掛けをしたり、身体をゆすったりしました。

 それでも反応がないため、介護スタッフはそのSさんの真っ青な顔に慌ててしまい、おどおどしていたようです。
その時私が呼ばれたのですが、私が普段お昼に待機している場所は、カラオケルームとなっている場所で、
防音設備もあるため、あまりその呼びかけが聞こえませんでした。
 
 呼ばれた後すぐにSさんの状態を確認したところ、普通型の車椅子がそばにあり、
そこに移そうとスタッフは考えていたようです。

 ただ、Sさんが意識を消失してからしばらく時間がたっていたことを考え、
私は看護師に連絡をし、その後、介護スタッフの助けをかりて、
そのSさんの座っている椅子ごと、近くのベッドまで運びました。

 多くの介護スタッフがSさんを囲んでしまっていたため、他のテーブルで認知症の方が立ち上がっていたり、
脳卒中の方で感情失禁のある方が、その様子をみて動揺してしまい泣きだしている始末でした。
 
 各テーブルの周りには普段はスタッフが一人はついているのですが、
今回、皆がSさんの側に集まってきてしまっていたので、
私としては、全体の安全が大切だと判断し、各テーブルに一人ずつスタッフを戻るように指示しました。

 嘔吐のための容器や、オムツシート、体位交換用の枕や毛布を用意してもらうようにし、
椅子ごと近くのベッドの側までSさんを運んだ次第です。

 その後、周りの利用者を動揺させないために、周りの目隠しを最大限に実施
(実際には、シーツなどで目隠しをするくらいですが) するようにしてもらいました。

 さてSさんに対しては、後方より私が介助し、臀部と下肢をスタッフに手伝ってもらいベッドに移譲し、
嘔吐物が気道を塞いだり、舌が気道を塞がないように頸部を横に向け、体全体も半側臥位の横向きに
しました。血圧低下が見られたため、下肢は挙上しました。

 その時点で、若干Sさんに反応が見られており、対光反射もあったため、声掛けを続け、バイタルを再確認しました。
ポジションをしっかりととった後、看護師がようやく来たため、状況を説明し、心電図を診療所から運んできて、
心電図をとってもらうことにしました。 その後、Sさんは意識を取り戻しました。

 さて、こういった急な意識の消失は、入浴後や食後などに、脱水や、脳の虚血により起こることは時折あります。
ただし、そういった場合に利用者さんを硬い椅子に座らせっぱなしではよくありません。
また、リクライニング車椅子ならともかく、普通型の車椅子に移譲させることはあまり意味が無いといえます。
 とりあえずは、デイケアにてよくある椅子は肘置きがあり、安定感のある、ある意味 重たい椅子ですので、
それをなんとかマンパワーで最寄りのベッドに運ぶ必要があります。
isu.jpg
 そこからの移乗介助に関しては、基本的には前方からのアプローチは禁忌です。利用者さんの嘔吐を
招き、二次的な感染リスクもありますし、体幹を前傾させると、より腹圧が高まって脳の虚血を促進して
しまったり、または前方へ頭から転落してしまう危険もあります。

 よって、このような場合は、マンパワーがある場合は、基本的には後方より腋窩へ両手を入れて、
胸をしっかりと利用者さんの身体に密着させ、下肢はもう一人の介助者にしっかりと持ってもらい、
ベッド(またはストレッチャー)に移譲させることが大切です。
介助

 意識が消失している人の臀部はかなり重く、肘置きのある椅子の高さ分臀部を持ち上げるのは大変ですので
持ち上げる前に、利用者の臀部を少し前方へ押し出すことも大切です。

 どんなに緊急な場合であっても、デイケアのような施設の場合は、セラピストは冷静に指示を出す必要が
あります。その利用者の疾患をしっかりと把握し、また意識レベルが低下した場面をしっかりと理解して、
適切な対応を行うことが必要です。 
 また、他の利用者への影響を最大限に少なくするためにも、そこから少しでも離す工夫も必要です。

 どんな年配者であれ、やはりその場でけいれん発作や意識消失があった場合は、動揺するものです。
よって、そのような場面に出くわした場合は、周りの利用者への配慮と、その処置が落ち着いたあとの
フォローアップが必要となります。

 ただ、今回もそうでしたが、前もっていろいろと介助のパターンを練習していても、なかなか緊急時の対応は
難しい場合があります。 臨床経験や緊急時の経験がないと、意識消失した利用者さんへの対応はマニュアル
通りにはいかないのも現実です。

 気をつけなくてはいけないのは、床に転倒したような利用者さんの場合は、すぐにベッドに運んではいけません。
その場でのポジショニングや、骨折の有無の確認、気道の確保などが必要です。

 一方で、今回のように椅子に座ったまま意識を消失した場合は、そのままの座位姿勢を取らせ続けることは
よくありません。
 
 後日談としては、Sさんは脳虚血と心不全の両方を併発していたようです。よって、この場合は、ベッド臥床は
正解でした。

 上記のような介助の方法にて気をつけなくてはいけないのは、利用者の頭部側にて介助する人が、
腋窩に回した自分の手をあまり思い切って横に開いて持ち上げようとすると、高齢で骨のもろい
利用者さんの上腕骨を折ってしまったり、また、両肩を脱臼させてしまったりする危険もあります。
また、二人介助以上にておこなうため、声掛けをせずに勝手にもちあげると、他の介助者が
重たい臀部を落としてしまい、介助者と本人ともにベッドの下へ転落する危険もあります。

 脳卒中の片麻痺のある利用者さんをベッドに移す場合は、普段の移乗動作と同じように、
非麻痺側をベッドの方につけて、そちらをしっかりと持って持ち上げ、移す、ということが必要です。

 また、ベッドの高さが変えられる場合は、ベッドをなるべく椅子と同じ高さにし、水平移動に近い形で
移乗できるよう、判断する必要があります。

 このような指示を、基本的に我々セラピストは的確に行う必要があります。デイケアは医師や看護師が
そばにいる可能性がある分、セラピストは気を抜きがちですが、緊急時の対応はいつでもシュミレーション
しておく必要があるかと思います。
 まぁ、めったに起こってもらっては困りますし、どうしようもない時は、救急車となりますが。。


歩行器について

こんばんは。

 本日は、以前9月23日のブログにて 歩行補助具と素材 をテーマに取り上げた歩行器に
ついて、補足していきたいと思います。

 歩行器というのは、形から推測できるように、杖とは異なり、両手を用いて利用するため、
基本的に以下の点には留意が必要です。
①スペースをとります (動線の確認や、利用するエリア(玄関・トイレ・廊下など)をあらかじめ想定します)
②ある程度両上肢・下肢の機能が必要です (重い片麻痺の方では利用は難しいです。ある程度の握力も)
③歩行器をコントロールするだけの認知機能・視力が必要です (操作を覚えないと転倒のもとです)

歩行器にはいくつか種類がありますが、基本的には
 ①固定型歩行器
 ②交互式歩行器
 ③キャスター付き歩行器 (前輪型歩行器)
 ④キャスター付き歩行器 (四輪型歩行器   サークルとも呼びますが、前腕をのせるタイプも含む) 
 ⑤歩行車(シルバーカー)
①ー②hokouki4.jpghokouki5.jpg
③-④hokouki1_20141017124104cf4.jpghokouki3.jpgサークル
⑤   hokouki2_20141017124106b8c.jpg
① 固定型歩行器
   両手の支持が歩行器の四点に伝わり、さらに両足底の支持も加わるので、歩行器の中で
 立位姿勢ではもっとも安定しています。
   ただ、両手で2-3kgある歩行器を持ち上げるための上肢の筋力、グリップの力が必要ですし、
 持ち上げた時に、一時的に両足底だけの立位になります。この時に膝折れしないだけの
 下肢の支持性と体幹の筋力も必要となります。
 腰背部痛を誘発しやすい人は、その持ち上げえる際のポジションの指導も必要となります。
 体幹の力がないと、持ち上げた後にまっすぐに歩行器を移動できないことがあります。
   また、歩行器を前に出したのち、足を降り出す際に、あまりに両足を前に出してしまうと、
 両足がそろった後、一気に後方重心になり、そのまま後方に転倒するリスクもあります。
   リハビリでは、歩行器の前1/3の位置に横にひもやテープをかけて、それよりも前に
 足を出さないようにしましょう、という指導をすることもあります。
 下図の足跡でいう、最後のポジションが前すぎると、後ろにひっくり返ります。
 hokouki6.jpg
  この歩行器に関しては、平地の屋内移動で、ある程度スペースが確保できれば、
 両手の支持ができる方で、立位保持がある程度可能な方、体幹の前後のバランスがある程度
 とれる方であれば、適応と考えます。
  よって、脳卒中の片麻痺の方でも、ある程度の上肢機能があり、下肢が降り出せる場合に用いる
 こともあります。また、切断で下肢が義足の方や、下肢の骨折後の方にも使用します。
 がんや廃用症候群などで、体力・筋力の衰えの著しい方にも、ある程度の期間は有効です。
  写真にもありますが、立ち上がりの際に、一段低くなったグリップをもって立ち上がれるような
 歩行器もあります。固定型や交互式であれば、立ち上がりの際に歩行器が動くことがないため、
 手すりの代わりにもなってくれます。
  固定式であれば、簡単な段差であれば、そのまままたいで使えますし、歩行器を180度回して
 後ろに回し、グリップをプッシュアップして玄関の上り框を上がる方もいます。

②交互式歩行器
   この歩行器は、持ち上げることなく、滑らせながら左右に交互に支持面を移動させることが
 できるので、常に本人の足底と四点が身体を支持してくれるため、非常に安定性の高いものです。
 また、スペースも、歩行器に比べると、四角だけでなく、斜めの平行四辺形の形に変化できるので、
 多少狭い場所にもうまくコントロールすれば移動できます。
hokouki7.jpg
 ただし、そのコントロールの手順を習得するためには、ある程度の習熟と、認知機能が求められます。
  また、斜めの支持面を作るため、体幹の左右の重心コントロールができる方でないと、左右への転倒
 リスクも生じます。また、軽度の脳卒中片麻痺の利用者さんであっても、バランスがマヒ側により崩れる
 危険があるため、慎重に練習をする必要があります。
  動線に段差がある場合には、引っ掛かる可能性もあるため、場合によって歩行器を持ち上げられる
 ような使い方ができればよいのですが、この交互式を使う方は、基本的に体幹や下肢筋力が弱く
 歩行器を持ち上げることが困難な方が多いため、何とか前に進んでいるような方が多いです。
  基本的には、両膝OA(変形性関節症)の方で、荷重時痛が強い方などは適応といえるでしょう。
 または、上肢の力が弱く、歩行器を持ち上げるだけの筋力がない方や、体幹の筋力の弱い方は
 適応となります。

  次に、③-④のキャスター付き歩行器の利用に関してです。
 歩行器を持ち上げるだけの上肢機能はないが、体幹の機能はあり、前方への歩行スピードを上げても
 上体が前のめりにならない方が基本的には適応となります。
 
  これは、車輪がついているという面からして、常に前方への推進力は得やすいかわりに、
 体重心の前後、左右へのコントロールがある程度可能な方でないと、容易に前につんのめってしまい、
 転倒してしまう可能性があるという理由からです。
  一方で、うまくコントロールさえできれば、平地に限り歩行スピードは上昇し、歩行器を持ち上げることも
 ないため、腰背部痛や体幹の左右バランスの不安定さからも開放されるのです。
  前輪付き歩行器に関しては、その前輪部分が、前方に固定されている車輪のタイプと、
 車輪が自在に動くタイプの2パターンに分けられます。
  いずれの場合も、歩行器の後脚にあまり上肢で重心をかけ過ぎると、つねにストッパーがは働いて
 しまい、あまり前方への推進力が得られないことになるため、グリップを軽く持てるとより機能性が
 高まります。

  四輪付き歩行器に関しても、その前輪や後輪が固定されて前方にしか進まないタイプと、
 車輪が自在に動くタイプがあります。

  これらの組み合わせを微妙に変えることで、利用者さんの身体機能に合わせて、歩行器の種類を
 自由に変更できます。車輪が自由に動かせるタイプの場合は、自由度はアップしますが、その分、
 方向転換時のバランス能力や、上肢の巧緻性や認知機能が必要となります。

  そして、いずれにしても、後方の2点は上から押し込むとブレーキとなるタイプがほとんどなため、
 立ち上がり時や立位保持をしようとした際は、グリップ後方に体重をかけると、
 ストッパーがきくというのも利点です。立ち上がり時などには、固定式や交互式の歩行器ほどでは
 ないにしろ、ある程度体重を乗せて立ち上がれるようにストッパーが効きます。
 先に述べたように、あまりにストッパーを効かせすぎると、スピードは出ません。

  私の経験上、前輪付き歩行器は、それまで固定式歩行器(ピックアップ)を用いていた方が、
 徐々に機能が向上し、歩行スピードを上げていくために変更するパターンが多いです。
 また、歩行器を使うことで腰背部痛が強まった場合に、それを軽減するために使用する場合も
 あります。

  四輪付き歩行器がコントロール可能となる場合は、同時にシルバーカーへの移行も検討します。
 シルバーカーとなると、今度は屋外歩行などが視野に入ってくるわけです。

  シルバーカーと一口に言っても、いろいろなパターンがあります。それはまたの機会に述べたいと思います。


 
   

御嶽山と浅間山と唐傘

こんばんは。

 本日は、腰部脊柱管狭窄症、87歳の女性の利用者さんWさんのお話です。

先日の御嶽山の噴火の話をしていたところ、Wさんは、小学生に上がる前だという時期、都内に
住んでいた頃に経験した、浅間山の噴火についてお話してくださいました。

 その後私が調べてみたところ、確かに浅間山は、1947年(昭和22年)8月に噴火し、
その噴煙の高さは12000mに達したとのことです。また、噴石により、11名が亡くなったとのことです。

さて、その戦後数年した時期に、Wさんが住む東京の江戸川区のあたりに、その火山灰が
ハラハラと舞ってきたようです。
無邪気なWさんや、周りに住む子どもたちは、砂が降ってくるのを感じ、興奮して舞い上がったとのことです。

当時、子どもたちは、家からからかさ(唐傘)を持ちだして、それを指して、降り積もる火山灰のサラサラとした
音を楽しんだとのことでした。
からかさは、竹の骨組みに、油紙を貼ったもので、つまり元は紙なので、灰が落ちてくると、いい音を
鳴らした、とその音が印象的だったそうです。
karakasa.jpg

 現在、富士山の活動もまた再開されており、予想では、富士山の噴火は確実に起こり、その火山灰で
Wさんの暮らす千葉県の表土が埋まってしまうとの予測が出ているとのことです。
Wさんは、噴火そのものへの心配よりも、そうなったらまた傘をさしたい、と希望されていました。
Wさん、身体機能としては、現在は自宅の外に出る機会はないかたです。
是非、外に出て傘をさしましょう、と私も答えてしまいました。

また、現在、御釜(蔵王連峰の中央部の標高の高いエリアにある火山湖で、五色沼ともよばれます)
の活動もさかんになっていることを受けて、
 このWさん、教員をしている若い頃、おかまおかま(御釜御釜)と、皆が騒いでいたので、非常に
興味がわき、一人でその御釜を見に行ったこともあったそうです。
若い頃から、火山活動やら噴火口やらに興味が強かったらしく、思い立ったらその場に向かったそうです。
阿蘇山や、桜島、大島なども火口の近くで靴が熱くなるところまで迫ったというのですから、
本人の言うとおりおてんばさんだったのでしょう。

 火山活動の活発化は歓迎すべきこととはいえませんが、これは自然のなすことです。
自然にはいかんとも対処しがたいですし、なんとかなるなどと人が思うものでもありません。
自然に対してはただただ、畏怖し、感嘆するのみです。
ただ、今回の御嶽山にて犠牲になった方々に対しては、深く追悼の意を表したく思います。

こり と トリガーポイント

こんばんは。

 本日は、慢性的な痛み、慢性痛について述べたいと思います。
病院に勤務していた頃にくらべて、地域にて勤務していると、我々セラピストは、利用者さんの
肩がこる、頭痛がする、肩が痛い、首がこる、肩が硬い、腕が上がらない、などといった訴えをよく聞きます。
その中でも、こる、痛い、という表現はよく聞かれます。

 こりや痛みの評価は、主観的なものでもあるため、セラピストとしても評価するのに経験と技術が必要
となる場合があります。

 例えば、無理な姿勢をしばらくとっていて、肩の筋肉に負担がかかり、血行不良を起こして筋肉が硬くなった、
というのであれば、普通の肩こりになるため、その部分を揉んだり、温めたりすることで、血流が回復し、
症状は改善します。

 一方で、筋肉の異常が慢性的に起こってくると、その神経から送られるシグナルを
脳が異常と察して、痛いと感じます。
 その中で、さらに無理な姿勢が続くと、神経の異常な興奮は収まらなくなり、その結果
普段肩がこっている場所とは 別な場所 に、こりを作ります。
痛みを回避するような姿勢も、その仕組を助長します。
別の場所のしこり、これがトリガーポイントと呼ばれるもので、慢性痛の正体です。

 つまり、 ① 筋肉が強く緊張して固くこわばる
       ② 筋肉や筋肉を包む筋膜に無理な負担がかかる             → 痛みを感じる(こり)
       ③ さらに筋肉の中の血管を圧迫して筋肉の中の血行が悪くなる
       ④ 血行が悪くなると筋肉が酸素不足となり、疲労物質や発痛物質が増える → トリガーポイント1
         (専門的には、筋筋膜性疼痛症候群MPSが発生と表現します)
       ⑤ それに対し、防御する姿勢をとったり、痛みの出る動作を回避したりします
       ⑥ 新たな筋肉に大きな負担をかける。 弱くて硬くなった筋肉が更に痛みを出す → トリガーポイント2
       ⑦ 新たな筋肉の損傷・・・

 トリガーポイントのやっかいなことは、 脳の錯覚で痛んだ場所に筋肉収縮(筋硬結ともいいます)が
起こり、新しいトリガーポイントを生むという連鎖が起こることです。
このことを、関連痛という表現をすることもあります。

 肩が痛い、頭がいたい、 → ただの肩こり、頭痛、だと思って、肩を揉む、頭をほぐす、だけでは効きません。
これは、関連痛のたぐいです。

 実際に痛んでいるのは、トリガーポイントです。
脳の錯覚もあるため、このトリガーポイントを探して、実際に痛みを出しているポイントをほぐすことが
治療につながります。慢性的な痛みは、脳にとどまり錯覚を起こさせるため、
こちらが、 頑固な肩こり・頭痛 と考えているものは、実は脳の錯覚で、実際の痛みは別の箇所から出ている
ということになります。

 トリガーポイント2     トリガーポイント頸部

例えば、上の図は、頭痛の人の原因を表した図です。
つまり、 頭痛 と思っている → 頭痛自体は、 いわゆる関連痛  (脳の錯覚)

→ 実際には左図では 赤い点の場所、 右図では、 x印の場所 がトリガーポイントとなっています。
よって、頭痛に対しては、頸部へのアプローチをすることが大切になります。

また、場合によっては、トリガーポイントから生まれたトリガーポイントがある場合は、今度は
頸部ではなく、肩の周囲をほぐしてあげることで、頭痛が収まる場合があります。

 このように、我々セラピストは、表面的な痛みを、これはどのような種類の痛みか、を判断する必要が
あります。
 利用者さんの訴えだけを鵜呑みにせず、いろいろな視点から疑ってかかることも必要となります。

頭痛の原因が上記の仕組みだけならばまだわかりやすいですが、
頭痛と一言に言っても、その種類もいくつかあります。
関連痛(緊張性頭痛ともいいます)なのか、片頭痛なのかでも違いがあります。
関連痛であれば、上記のように、薬は必要ないわけです。
いずれにしても、きちんとした評価が必要です。

疼痛の評価については、また後日述べたいと思います。
 


食事療法について

こんにちは

 本日は、リハビリの本職の話からは少し外れますが、
以前の肝性脳症の利用者さんのお話の際に先延ばしにした、
フードファディズムやマクロビオティックに関して述べたいと思います。

 フードファディズムとは、様々な媒体(マスメディア)や食品・健康食品産業などから、
毎日、大量に報道されている食べ物やサプリメントに関する健康・栄養情報を
過大に評価したり、過信することをいいます。
ダイエットに関しても、それが商売として成り立つからでしょうか、かなりいろいろな手法が言われており、
運動療法など行わなくても、健康的な身体や体重を維持できるとの勘違いが、
実際のリハビリの場においてすら、時々見られます。

 先日は、脳卒中の利用者さんで、胃ろうでの栄養摂取からようやく1日に1回の食事分、
経口摂取が可能となった方が、却って体重が増えてしまい、そのことを気に病んだ利用者さんが、
どこからか仕入れた情報にて、コメは食べず、食事前にきゅうりをまるまる一本すりおろして、
それを食べてから食事を開始する、という食事療法をしていることが判明しました。
結果的には、体重は増加しています。
 
その他、がんの利用者さんの中にも、少し極端に思えるような食事療法を行っているかたがいらっしゃいます。

 健康に気を使いすぎて、健康のためなら死んでもいいと言っているような方も、実際に目の辺りにすることもあります。
いずれにしても、健康、という定義自体、曖昧なものだと思います。

 フードファディズムの研究家の寿命を追った本がありますが、
お茶をまるごと食べる食事を実践した研究家は40代でなくなり、
アガリクスを試し続けたかた、大豆食品にこだわったかた、これらの方々も60代で癌でなくなるなどしているようです。

 ビタミン剤などについても、多くの効用、謳い文句があるようですが、
実際には動物実験レベルでの検証しかされていないものが多いようです。
ビタミンは、親水性(水溶性)と親油性(脂溶性)の2種類ありますが、後者を摂り過ぎると、
しびれなどの知覚症状が出たりします。
親水性なんだから、尿に溶けて排泄されるから大丈夫、とは一概に言えないようです。

 ビタミンCなどは、非常に有名なビタミンですが、美容や老化防止がうたわれているこのビタミンも、
摂り過ぎると腸が活発になりすぎて下痢を引き起こしたり、肝機能に負担がかかったり、
最近では尿路結石の一因にもなっているようです。

 βカロテンなどは、アンチエイジングや抗酸化作用、動脈硬化予防などがうたわれているものが多いようですが、
実際にはこれも動物実験レベルの検証のみであるようで、
摂り過ぎると却って細胞の酸化をすすめて老化や病気につながる危険もあるようです。
例えば、喫煙者の肺がんに対してのβカロテンを用いた治験では、
摂取した人のほうが却って肺がんの発生率が向上したこともあったようです。

 先日のブログに書いたように、大豆食品ばかりを食べて、
肉や魚などの動物性タンパク質をほとんど取らないことで却って低栄養状態になる危険を示唆された
肝がんのかたも、やはり極端に走っていたことを警戒されたのだと考えます。

 次に、マクロビオティックについてです。
言葉の意味としては、マクロ(長い・大きい)+ビオ(生命・生きる)+ティック(理論)(生命・生きる)+ティック(理論)です。

 これは、そもそもが第二次世界大戦よりまえに、食文化を研究している日本の学者が
唱えた食事療法の一種ですが、具体的な方法というよりは、思想的な側面も強いようです。

 つまり、食品を 陰 と 陽 、中庸 の3つに分類したり、
自分たちの居住地の自然環境に適合している主産物を主食に、副産物を副食にすることで
心身もまた環境に調和するという思想を掲げて食品を捉えるため、
科学的な裏付けがされたもの、という面があまりないようなのです。
 
 ただ、この食事療法に関しては、それを信じ、現在も継続している人たちもいるようです。
実際に、そこでよしとされる食事は、野菜が中心で、おかずはほどほどにし、半分は玄米や米などの穀物から栄養をとる、肉類や、大型の魚や、卵、乳製品は控える、という感じです。
乳製品は、牛の飲むものであるから人な飲まない、というのも理由の一つだそうです。
まぁ、パッとみると、それほど悪い食事ではなさそうですが、やはり、栄養が足りていなかった、
かなり昔の時代の思想なので、現在の食生活に合わせていく面も必要かと思います。

 以前は、アメリカでは日本よりもがん患者さんの死亡数が増えていたこともあって、
1980年頃よりかなり食品に対する研究がさかんになり、
1990年にはデザイナーフーズ・ピラミッドなるものを、国立がん研究所にて発表しています。
piramid.png
たしかに、頂点にたつニンニクや大豆などは、昔から我々にとっては馴染みのある食材かと思いますし、
がん予防にかぎらず、生活習慣病の予防にもなるのかと思います。

それからもはや25年近く経過しますが、実際に、このピラミッドの追加や変更は微々たるものですので、
食品に対するがん予防や免疫力向上の捉え方は、このピラミッドをある程度信頼してもよいのでは、と感じます。
  
 その成果もあり、全てのがんの年齢調整死亡率では、2000年を超えた頃から、
アメリカはなんと日本よりも死亡率が低いのです。
どうしてもジャンクフードを食べている印象を持ってしまっていますが、そんなことはないようです。

 いずれにしても、現在は、科学的にNK(ナチュラルキラー)細胞の測定や、遺伝子診断が可能となった時代です。
個人レベルにおいても、病気に対してより的確な対応が可能となっています。
一部のセレブが、乳がんのリスク回避のために若くして乳房切除・再建術を行ったケースもあります。

 経済的な問題や環境もあると思いますが、われわれは個々人がよしとするレベルを
選択できるようになっています。
 
先に出てきた、 中庸 という言葉は、私の好きな言葉の一つですが、
何事も、ほどほどのところをよしとすること、これが生きやすさにも通じることかと思います。
欲を数えればきりがないわけですから。

最近話題のユーグレナ入りの食品、ミドリムシ、この辺りはどうなんでしょうか。

言葉のマジック ~ がん の由来 ~ 

こんばんは。

 本日は、以前、乳がんにて乳房切除術後の利用者さんとお話をしていた時に、日本語の響き、
その響きからくる印象に関して、思うところがあったので、少し述べたいと思います。

 その利用者さんは、40代前半に乳がんが見つかり、ステージⅢということもあって、右乳房を全摘した
方でした。
 
 その利用者さんは、がんという言葉の響きそのものに対して、非常に違和感をもっていました。そのことが
私の感覚ともフィットしたため、そのことに関して記そうと思いました。

 それは、何をおいても、日本語においての 〈 がん 〉の響きです。

そもそも、この < がん >は、江戸時代の医学書に < 乳岩 > という言葉が見られるように、
乳がんの しこり をそのまま象形的に表現した、 < 岩 > の漢語音が起源となるとのことです。

がんという病気は、今の世の中でこそ、胃がん・肺がん・子宮がん・前立腺がん、などなど、体内の細胞の
異常な増殖、異常なしこりに関して表現されていますが、そのような検査機器もなく、そのような
病気が実証される以前では、とにかくも 乳がん ががんとしては主体でした。
他のがんも存在したのでしょうが、体内の状態がわかるようになったのは、ほんの百年程度前からでしか
ありません。

 乳がんに対する治療は、以前はなかったわけでして、その乳がんが、見た目に 岩のようなしこりが体表に出る。
そして、その岩の字は、 癌からやまいだれを差し引いた部分をあてたので、そこが起源となるようです。

 また、癌のことを、英語でキャンサー(cancer)といいますが、 そのキャンサー=カニ、 
カニとは、進行した乳がんの見た目が、カニの甲羅のように見えることから、
乳がん=キャンサーとなったとの説が有力だそうです。

 初めて がんを カニ と例えたのは、紀元前の古代ギリシャの医師、 ヒポクラテス が最初だとも言われます。

乳がんは、体表の状態にてわかるために、以前は 癌 = 乳がん を指すほどのだったようです。
ギリシャ時代より乳がんの外科的介入は行われていたのですが、乳房のがんの部分を取り去った後、たいまつで
焼く、というのが、最初のがんの治療法だそうです。

 癌という漢字もあまり良い印象はあたえませんし、また、ガンという言葉の響きが、
ガーン、という擬態語にも似ているため、とにかく、印象が悪くなってしまう、と利用者さんとは話をしました。

 例えば、 がん が < ぽにょ > という名称にて対応されていれば、

「私は乳ぽにょだっので、このぽにょを手術でとったんですよ。」
「私のぽにょが進行しています。」 「私のぽにょは今後どうなるのでしょうか」などなど、
なんとなく、、 <ぽにょ > の響きのほうが、印象としては優しい印象となり、また覚えやすい面もあるのです。

 日本でも、近年、差別用語に関しては、多くのマスコミがその問題に関して取り扱っていました。

 白痴 ・ 精神分裂病 ・ かたわ ・ 植物人間 ・ 精神薄弱者 ・ 気ちがい ・ 知恵おくれ ・ ボケ ・
 アル中 ・ らい病 ・ めくら ・ つんぼ ・ おし ・ どもり 

などなど、挙げていけばきりがありません。 

ただ、その言葉を、まったく意味のない言葉(ぽにょ)で言い換えるなど、少しでも工夫をするだけで、
医師や患者の対話も、なんとなく穏やかなものになるのではないか、と考えます。

「先生、私のポニョはどうでしょうか?」 「あなたのポニョは現在のところ落ち着いていますよ。」
「ポニョの進行を遅らすために、手術が必要です。」

などといった会話がなされれば、その響きからくる印象がまったく違うように思います。
乳がんの利用者さんも、がん という言葉は、 癌 と書かれるよりも がん のほうが優しい感じがするし、
がん という響きは ガーン という響きとも近いので、なるべくなら今からでも違う表現になってほしい、
と述べていました。

 たとえばの ポニョ 我ながら悪くないアイディアだなと、本日は思った次第です。

精神分裂病 ⇔ 統合失調症 では、響きとしても、意味合いとしても、
難しい印象を与えてしまうので、もう少し響きの優しい、簡略化された用語がないものか、
再考を希望するしだいです。

 

 

補高便座について

こんばんは。

 本日は、補高便座・ポータブルトイレについて述べます。

原則として、介護保険の要介護の認定を受けられた方であれば、毎年4月から3月の期間に
10万円(うち1割が自己負担)を上限に、介護保険適用対象品のご購入が出来ます。

入浴や排泄に関する福祉用具に関しては、レンタルというのは原則できませんが、上記の金額が
補助されることや、排泄や入浴というのは、毎日のことであるため、緊急性も高いため、
セラピストとしても、利用者さんやその家族に購入を勧める機会も多く発生します。

 ただ、10万円の限度内であっても、同じ種類の介護用品を同一年度内に複数買うことは、
認められていませんし、すべて償還払い(最初に商品代金を全額支払ってから、
保険金の申請後、9割が還付される方式)となる場合が多いです。
また、指定された業者でないと保険を用いて購入できない場合があるため、ケアマネージャーの確認が
必要となります。

 さて、その便座ですが、多くの家庭は洋式トイレを利用していますが、まだまだ和式トイレの家も
あります。その場合は、以下の様な、和式トイレにカポっとかぶせて、洋式トイレへ変身させる場合が
多いです。利用者さんの中には、どうしても和式でないと出るものが出ない、という方もいるのですが、
実際、大腿骨頚部骨折や、脳卒中などの方が和式トイレにてしゃがみ込みの姿勢を継続することは
困難です。
    かぶせる2      和式にかぶせる
これらは、1万2000円~5000円程度にて購入できる場合が多いようです。

次に、現行の洋式トイレの便座に、その利用者さんが使用する時に、上からはめ込むタイプの便座です。
これは、現行のトイレの高さが37cm~40cm程度の高さであることが多いと思われますが、
その高さからの立ち上がり動作では、筋力やバランスの問題、手すりの有無などの違いにより、
なかなかうまく、安全に立ち上がることができない場合、または、介助者の負担が強い場合
、そして、背の高い方(足の長い方)に用います。
実際、古い洋式トイレでは、便座までの高さがかなり低いものもあります。

一人暮らしなら、はめ込みっぱなしにもできますが、家族も利用する場合は、家族との相談が必要です。
これは、だいたいのものが1万円以下にて買えます。3cm程度のものから、10cmほどの補高まで
可能となります。
 補高便座1
難点は、前方も塞がれてしまうため、男性のペニスがうまく収まらなかったり、便座の穴自体が狭まるため、
排便がうまくいかない場合もあります。

 また、下図のような、シャワー便座対応のタイプもあります。これは1万円を超えてきます。
補高便座2


 次に、ポータブルトイレです。
これは、プラスチックタイプのものもあれば、家具調の重たい立派なものもありますが、基本的には、ベッド
から自宅のトイレまでの移動動作が困難であったり、動線途中にバリアがあったり、
自宅のトイレのスペースや設備そのものが利用者に不十分であったりする場合です。
ポータブルトイレも、現在はいろいろな機能があります。
高さの変更は、トイレの脚の部分を高くすることで、32cm程度から40cm程度までの変更もできます。
また、肘掛けの部分も外すことができたりして、移乗動作をスムーズに行うことができます。
多くの場合は、電動ベッドやベッド柵とうまく組み合わせることで、介助量をより少ない形で、
排泄動作が行えます。
  ポータブルトイレ   ポータブル家具調
 お値段的にも幅が出ますが、家具調だとシンプルなタイプで3-4万円はしますし、これに脱臭・暖房・シャワーなど
がついた場合は、10万円を超えるものとなります。

 我々セラピストは、大雑把な選択肢は指導できます。補高にしましょう、ポータブルにしましょう、という感じです。
ただ、料金もピンきりなため、これでないとだめ、とはいえません。

 よって、購入されたポータブルトイレ等にて対応することになります。
基本的には、和式から洋式トイレへの変更を除いて、補高便座やポータブルの使用は、それが一時的なもので
最終的には自宅のトイレを利用することが可能となれば一番良いのですが、
排泄動作はとにかく毎日のこと、さらに数時間に一度のことでもあるため、特に夜中の排泄も含めて、
利用者の動作が安全だと思えない限りは、なかなかポータブルを卒業、と言えないところです。

 排泄動作に関しては、自宅トイレ使用⇔ポータブルトイレ使用⇔オムツ対応の間に様々なチャレンジが
必要となります。ポータブルに移った時点で、本人だけでなく、ヘルパーや家族の介助も介入することに
なるため、(少なくとも、中の排泄物を捨てることも介入の一つです)我々セラピストも共に考えていく
必要があります。


アスベスト と 呼吸リハビリ

こんばんは。

 本日は、9日に最高裁がアスベスト(石綿)による健康被害を国の責任と認めたことをうけて、
自分が以前受け持った利用者さんで、建築現場にて長らく働いていた男性、Iさん75歳について
思い起こしましたので記述したいと思います。

 この方は、COPD(慢性閉塞性肺疾患・慢性呼吸不全)、陳旧性肺結核の診断を受けていました。
都内にて数々の現場にて現場の鳶職や左官などを統括する棟梁でした。
この方は、喫煙もかなりしていたようですが、何と言っても現場にてあらゆふ粉塵を呼吸器に浴びて
しまったようで、還暦を超えた頃から徐々に動作時に息切れが生じてきて、
徐々に肺機能が低下してきた方です。
 奥様は、現場にてアスベストも含めたあらゆる粉塵を吸い込んだからだと、不安でいっぱいの顔をして
語ってくださいました。
 このように、当時のイケイケドンドンの高度成長期時代に建築現場で活躍した職人さんがたは、
多くの方々が、職業的に、肺へのダメージを蓄積された方が多かったのではないかと思います。

 アスベストにしても、1995年になってようやく国は防じんマスクの着用を義務化したくらいですから、
正直言って、 遅すぎ です。 それ以前の、1988年までに定めた、工場内の粉塵濃度の基準値も、
実際の被害を受ける価から考えると、不十分すぎる、という現実があります。

 さて、このIさんは、私が訪問リハビリとして関わったころには、すでに電動ベッドに在宅酸素療法(HOT)
を行っており、ほぼ24時間、酸素の吸入が必要な肺機能となっていました。
 私は、この方が亡くなるまでの1年半、自宅にてずっと関わってきましたが、最初は4L/分の酸素量が
最後には7L/分にまで上がっていました。

 リハビリの際には、酸素の量を増やしていかないと、運動時(労作時)に呼吸苦となる場合があり、
血中の酸素濃度(SPO2)も低下してしまいます。

 このSPO2というのは、我々セラピストが、利用者さんのバイタルをみるのに重要な指標の一つで、
健康な方は98-99%あり、喫煙者であっても、97%程度のはずです。
詳細に言えば、動脈に含まれる酸素(O2)の飽和度を、パルスオキシメーターという装置により
計測し(基本的には指先にて検知できます)、血中のヘモグロビンがどの程度酸素を運べているかを
チェックするものです。

 高齢者や、肺の疾患の方、心不全の方、などは、このSPO2の価は低下するのですが、おおよそ
95%前後あれば、まぁよしとします。

 Iさんの場合は、自宅内の3-5m程度の歩行、つまり、ベッドからトイレまでの移動において、
このSPO2が88%程度まで低下し、場合によっては、便座に着座した後、チアノーゼも確認されました。

 この価が、80台になってくると、人によっては意識レベルの低下が顕著になります。
普段健康な我々がいきなりそんな状態になった場合は、かなりの自覚症状がありますが、困ったことに、
常に酸素飽和度の低下にさらされている利用者さんには、90前後でも、特に自覚症状がない方も
多いのです。よって、我々にとって、指先にて判断できるパルスオキシメーターは、利用者の状態を
知るためのかなり重要アイテムです。

 このCOPDは、肺にとどまらず、全身症状もあらわれます。進行すると、体重の減少、食欲不振が
生じ、息切れも顕著となると、全身の筋力低下、筋肉量の低下が見られます。
全身のむくみや、頻尿なども見られ、精神面での抑うつ症状などにも広がります。
肺の機能低下により、肩呼吸のような状態となり、胸鎖乳突筋という頸部の筋肉がかなり筋張ってきます。
呼吸困難が増悪してくると、呼吸数や脈拍が増加し、痰の量も増えて、喘鳴(ぜーぜーの呼吸音)も
増えます。

 私としては、このIさんがベッドから起き上がり、座位が取れ、歩ける状態から、徐々に寝たきりになるまで
訪問リハビリとしての介入を行いました。
肺の機能は、回復するという形は難しいため、現状の機能を少しでも落とさず維持していくことが、
最大の成果というふうに考えます。
 実際には、このIさんの場合は、徐々に筋力も低下し、体重も低下し、ベッドから起き上がることもできなく
なりました。 介助して身体を起こすと、その直後にSPO2が低下し、本人もめまいやふらつきを訴えます。

 悲しいことに、この肺機能の低下は、脳がクリアな方、認知機能の低下のない方も多いため、
本人は身体の状態を良く把握しながら、徐々に徐々に機能低下していくことになります。
よって、本人もそうですし、家族も巻き込まれます。

 Iさんの場合は、奥様が非常に心配性なかたで、本人が気分が悪いと語ると、すぐに救急車を呼んで
しまうのです。結局、救急隊員が救急車に乗せた頃には状態が落ち着いていることがほとんどだったそうです。
Iさんは幸運にも、病院の主治医が理解ある方で、かつその病院が急性期の病院であったため、
救急車を呼んでも、その主治医の所属する病院に拒否されることはなかったようです。

 Iさんのように肺機能低下の利用者さんは、ビア樽状の胸郭となりやすく、胸郭も硬くなり、肺の広がりや
縮みがなくなってきます。よって、リハビリとしては、この胸郭のリラクセーションを行い、頸部や背部・胸部の
筋の緊張を落とします。
 また、痰が絡む場合は、出来る限り痰を出す手伝いをします。胸郭を圧迫したり、寝返りをうたせて
痰を転がしたりします。

 オムツとなってしまった後は、家族がなるべく介助量を減らすことができるように、なるべくベッド上での
動きが自立できるよう、下肢や体幹の筋力トレーニングも行います。

 このようなリハビリはガツガツとは行いません、というか、行えません。
本人のペースや呼吸の状態、全身状態に合わせて、無理なく進めていくことが大切です。
時には、本人や家族とお話をし、会話を行うことだけでも、精神面でも、心身面でも良いアプローチと
いえるかと思います。
 長い戦いの中で、我々の存在や何気ない会話が、非常に大切だったりするのです。
ですので、技術的な問題よりは、その人との関わりの中で、しっかりと診ていますよ、という意志の疎通が
非常に大事なのです。
 
 Iさんは、手先が非常に器用な方で、訪問リハビリを利用するまでは、デイサービスを利用し、
切り絵などを作成していました。これが非常に手の込んだもので、細かい作品が多かったと思います。
この方から生前に頂いた切り絵は、今でも大切に玄関に飾ってあります。

 アスベスト被害の勝訴に絡んで、当事者にかぎらず、その周囲を取り巻いていた家族や我々のような
リハビリスタッフも、何となく報われた気になります。

 

 
 

タンパク質 と 肝性脳症

こんにちは。

 本日の利用者は、肝臓癌・食道静脈瘤の利用者さん、79歳の女性Kさんです。
Kさんは既往に肝硬変もあり、現在、往診医の指導のもと自宅にて生活をしています。

 肝癌に対しては、ラジオ波治療(ラジオ波焼灼術)を行い、経過を観察しています。
ラジオ波とは、AMラジオなどの周波数に近い周波数約450キロヘルツの高周波のことで、
これを腫瘍に刺した電極に照射することにより、肝臓の癌細胞を死滅させるもので、
日本でも2000年頃より行われています。

 さてこのKさん、つい先日まで、食事については、玄米と、豆腐や納豆などの大豆食品を中心に、
植物性の食品を食べようと心掛けており、
米やダイズ食品にてタンパク質を摂っているので、肉や魚はなるべく食べないようにしていたようです。
今までの往診の先生もそのことは承知していて、特に何も言わなかったようです。

 ところが、先日往診医が腫瘍内科の医師に替わった途端に、食事についてチェックされ、
大豆の食事はあまり身体によくないということ、米は玄米でなく、普通の白米で低タンパク米にし、
肉や魚からタンパク質を摂るようにと言われたようで、
今度は低タンパクの米を買ってきて食べることになったようです。

 本人は、今までとの違いにかなり混乱しています。


 調べてみると、日本食品標準成分表によれば、栄養成分に関しては、
<玄米>には糖質(炭水化物)73.8%、タンパク質6.8%、脂質2.7%などなど
<白米>には糖質(炭水化物)77.1%、タンパク質6.1%、脂質0.9%などなど
とのことで、タンパク質の差はそれほどないようです。

 低タンパク米というのは、通販でもパックで売っていて、だいたい上記の
値で言うと タンパク質0.1-0.2% 程度のお米が売っているようです。

 米のタンパク質の含有量はほとんど意識したことがなかった私にとっては、驚きです。

医師からは、極端に植物性の食品ばかりを食べていると、肝性脳症になる、
と脅されたようですが、
その < 肝性脳症 >とは、肝機能の低下により、意識障害や精神障害が生じるものです。

 症状としては、躁鬱状態、昼夜逆転、見当識の低下、興奮状態の継続、または
 眠っていることが増えるなどがあり、過度になると、意識が消失してしまいます。

 これは、通常はアンモニアやメタンなど、腸内で発生した有毒なガスは、
肝臓で分解されて尿素として排泄されるのですが、この分解の機能が低下すると、
アンモニアが血液中に増加してしまいます。
アンモニアは毒性があり、これが血液にのって脳にいきつき、障害が起こるというものです。

 Kさんの血中のアンモニア値もやはり、基本的には高いのです。(80以上)

 アンモニアは、タンパク質が分解されてアミノ酸→そのアミノ酸が分解されると発生となります。

 よって、Kさんは、 < 良質な タンパク質 >をとろうと努力していました。
そして、やや極端に走り過ぎてしまったようです。

おそらく、医師の意図としては、
極端な形で、米やダイズからのタンパク質の摂取を控え、
肉や魚の動物性たんぱくをバランスよく摂るように、ということなのでしょう。
植物性よりも動物性のタンパク質を、という指摘もあったようですが、
これはおそらく、動物性タンパク質の排除することで生じる低栄養のリスクを回避する意図があるのかな、
と個人的には思われます。

 実際、欧米では、むやみに低タンパクの食事を続けないのが当たり前のようです。

 さて、このKさんですが、肝硬変の既往と、現状にて食道静脈瘤がありますが、
この肝硬変には、3つの合併症を伴うケースが多いようです。それは、以下の3つです。
1 腹水   2 食道静脈瘤  3 肝性脳症

1:肝機能の低下によりタンパク質がうまく分解されず、血液中のアルブミンの低下や浸透圧の変化が起こり、結果として腹水や浮腫みとなるということです。カエル腹になり、体重も増加します。
2:肝臓に流れている肝動脈と門脈という2大血管のうち、肝機能の低下により門脈に過大な負担がかかり、結果、新しい血管を求めて普段血流量の少ない食道や胃の血管に血が流れ込んでいき、静脈瘤となります。これが破裂すると、かなり危険です。
3:上記のとおりです。

 普段の食事と疾患との関連に関しては、リハビリ分野の人間には知識的に弱い部分です
ので、このような利用者さんとの話を機会に、生理学や病理学を思い起こすことも大切
なことと考えています。

 基本的には植物由来のものは何でも身体によいのだろう、と私などは考えがちですが、
あまりに偏った食へのこだわりは、今回のKさんのように、医師からは勧められないの
でしょう。

 いずれ、フードファディズムやデザイナーフーズピラミッドに関しては、また後に
述べたいと思います。


ホタルの光 窓の雪

こんばんは。

 本日は、 腰部脊柱管狭窄症の利用者さん、Wさん、86歳女性のお話です。

 この利用者さんは、先日の御嶽山の噴火後に、自衛隊員が火山灰の中を登山者の捜索をする光景を見て、
戦時中のシーンを思い出した、と私に語ってくれました。

 戦時中、都内に暮らすWさんは、終戦間近にまだ女学校の学生だったのですが、
夜間の暗い中、何とか勉強をしたい、本を読みたいと思い、
当時貴重だった、ろうそくの火を、両親に怒られながらも灯して、こっそりと勉強をしたり、
それこそ ホタルの光、窓の雪ではないですが、雪灯りでも、月夜に窓際で勉強をしていたそうです。

 当時は、Wさんの住む江東区あたりでも、ホタルはいたようですが、数匹程度ではとても
本を読む明るさにはならなかったようです。Wさんは、せいいっぱいホタルを捕まえて、
それを筒に入れて光を得ようとしたようですが、なかなか難しかったようで、やはり
月明かりの方を重宝したとのことでした。

 そのWさんにとっては、照明弾の明るさも印象深いようでした。煌々と光る照明弾の光をみて、
これなら夜でも本が読めるのに、と思ったそうです。
 ただ、実際には、照明弾の灯りのあとは、ジェラルミン(アルミニウム合金)で作られた
電波障害を起こすための金属が電線などをめがけて落ちてきて、その後、
爆撃も行われたようですので、照明弾はロマンティックなものとは言えません。

 その当時のWさんは、学徒動員などにより、勉学の時間を奪われ、学びたくても労働の日々を
送っていたこともあり、その光の中に、自分の欲を反映させていたのだと思います。

 Wさんの回想では、その当時は都心にも田んぼがあり、ある時などは、
爆撃の際に爆弾が田んぼに落ち、その田んぼに30mほどの大きな穴を作ったそうです。
爆風によって防災ずきんをかぶっていたWさんの頭から、ずきんが飛ばされた、
ふと田んぼをみると、大きな穴ができていたそうです。

 ちょうど田んぼは田植えを終えた時期で、水が張っていた状態であったため、
爆弾も破裂せずにそのまま不発弾として田んぼに落ちたとのことですが、その風圧だけで、
Wさんの防災ずきんは飛ばされ、そしてふと見上げると、そばにある民家は、その爆風により、
田んぼの泥を見事にかぶったように、泥まみれになっていたそうです。
Wさんからすれば、田んぼのおかげで一命を取りとめた、ともいえます。
 
 その泥まみれの民家、そして泥まみれの自身、その不発弾による30mに及ぶ大きな穴と、
今回の御嶽山での火山灰や噴火口の光景が結びついて、今回の話が出てきました。
 
 ある意味、この利用者さんも歳相応の認知機能低下が見られる方なので、同じ話を繰り返される
ことが多いのですが、今回、このような新しい話が出てきたことは、私としては嬉しくも感じました。
 
 Wさんの回想は、さらに隅田川へと続きます。当時の東京大空襲の際に、隅田川に多くの人が
飛び込んだ光景をWさんはよく覚えているそうですが、最初に飛び込んだ人の上に次々と人が
飛び込んだため、早く飛び込んだ人ほど助からなかったとのことでした。

 また、当時の爆撃機は、都心に爆弾を落としたあと、千葉方面を回ってから南方の南鳥島や
小笠原諸島の拠点に戻ったようなのですが、その際、都心にてあらかた爆弾を落とした後、
余ったものがあれば、その余ったものを機体を軽くして戻るために、今の総武線沿いに落として
去っていたとのことでした。

 特に、今の亀戸駅あたりは、駅舎が大きかったらしく、他が火事になって逃げ場を失った人々が逃げこんだ
ようですが、その駅にも火が回ったらしく、
駅のホームにて積み重なるようにして焼かれた結果、黒いすすの山となってホームに残ったとのことです。

 この駅での光景や、爆風によって、半身が飛ばされ、はみ出た腸が電線に引っかかってぶら下がった
人を見たWさんは、その後しばらくは夢の中で毎日その姿が現れて、うなされたそうです。

 また、人の身体がいかに油を含んでいるかがよく分かった、と本人は述べていましたが、
駅の近くの看板にへばりついた人間の身体の一部に火がつき、夜通し火が消えなかったことも覚えている
ようです。 ろうそくの火をともして勉強をすることすら怒られていた時代に、Wさんはその光景を見て
その夜の灯りに対して羨ましさも含めた複雑な気持ちになったとのことでした。

 亀戸や錦糸町などの駅舎では、そのような光景があったとのことで、
そのエリアにて暮らしたことのある私は、思わず聞き入ってしまいました。

 Wさんの話では、終戦がもう1周間程度遅ければ、都心の爆撃はほぼ終わっていたため、
その後、千葉の市川・松戸・本八幡あたりも爆撃の目的地となっていたそうです。

 
 


裁判の行方やいかに

こんばんは。

 本日は、マタハラ(マタニティハラスメント)に関して述べたいと思います。

男女雇用機会均等法のもとでは、
妊娠中の女性に対し、会社は、時短勤務や時差通勤などにて配慮し、また、
妊娠を理由にした解雇や契約打ち切り、降格などの不利益な取り扱いを禁じるとあります。

9月18日に、妊娠を理由に不当に降格させられたとして、広島県の理学療法士が職場に
対して裁判を起こしています。
 この女性は、訪問リハビリや病院リハビリに携わり、副主任に昇格したが、その後妊娠し、
病院内の勤務に異動した際に、役職を外されたとのことでした。

 このような裁判で難しいのは、病院側は、能力がないからだ、という事に対し、女性側は、
妊娠が理由だということをきちんと立証しなければならないということです。

 ただ、私はこの女性は全く知りませんが、基本的にリハビリの業界は、組織において
それほど縦の社会が細かく分かれていないことが多いです。
せいぜい、役職といっても、主任・副主任・平 の3段階くらいではなかろうかと思います。
私が以前所属していたリハビリ病院でも、リハビリスタッフはPT・OT・STで
42、3人程度いましたが、役職についていたのはPT3人、OT3人、ST1人程度でした。

 基本的に我々の職種は、患者さん一人に対してリハビリを行った場合に、経験年数によって
その診療報酬に差があるということはありません。1年めの新人も、30年のベテランも、同じ
点数です。
 医師に関しても同様です。保険制度のもと、つまり、自由診療でないということは、
その対価としての治療費という意味では平等ですが、
実際には技術的な差はかなりあると考えてよいかと思います。
 
 理学療法士という職種は、患者さん、利用者さんの運動のうち、基本的には1対1にて筋力トレーニング
や、ストレッチなどを行うため、そのリハビリを行う側にもある程度の体力、筋力を必要とします。

 よって、妊婦さんがそのような運動を利用者に対して行う場合は、相手が若い男性で
比較的筋力がある人であったり、または相手がかなり重たい脳卒中患者で介助量がかなりあったり、
または、純粋に相手が重量級であったりした場合は、
徒手的にリハビリを実施することは、リスキーな場合があります。
 ただ、この女性の場合は、病院勤務であるために、他の部署、訪問リハビリから病院でのリハビリに
シフトすることができたようですが、
 実際の現場では、小さな病院やクリニックで働いていたり、
地域にて介護保険下の施設にて働いているセラピストは、自分の身体がそのまま資本となります。
 身体を壊したり、インフルエンザや、疥癬などの感染をしてしまったり、感染させられたりした場合は、
すべて自分に帰ってきます。

 一般企業のように、いざとなればいろんな部署があり、そこで継続的に組織に所属して働ける、
というわけにはいかない場合も多いのです。少なくとも、辞めるしかない、というふうに考えざるをえない
立場に陥りやすいと考えます。

 このような視点から見ても、我々の職種はなかなか自分たちの身を組織から守ることが難しく、
やはり何か身体の事情や環境の変化があれば、その職場を去るひとが多いように思います。
そういった意味でも、今回の裁判は、非常に注目しています。

 我々のようなセラピストがどのような形であれ、法のもとで擁護されるということは大切なことだと
考えています。

 最高裁の判決は23日といいます。どうなるでしょうか。
個人的には、是非とも病院の経営者をぎゃふんと言わせてほしいと願っています。
別にその病院にはなんの恨みもありませんが(笑)


救急搬送

こんばんは。

 以前、利用者さんの急変時の対応に関して、私の苦い経験を述べました。

その後、たまたまとあるテレビ番組で、救急搬送の実態を放送していました。
我々訪問リハビリのセラピストは、利用者さんの急変に立ち会うことは職業上大いにありえますが、
救急車を呼んで隊員が到達した時点で、
急変患者への対応は一応終えて、後は、情報提供者に早変わりします。
その際、利用者さんの既往歴や、バイタルなどの現状の説明を行うのですが、
私の経験上、私があれこれ述べている横で、同じように血圧を測ったり、サーチレーションをとったりしています。

 おい、聞けよ、と内心思うこともあるのですが(笑) 、 あれはあれで、隊員たちの必須事項なのでしょう。
ただ、主治医やかかりつけの病院を説明する際には、その病院への受入れが一番スムーズだと考えて
いるのか、かなり素直に聞いてくれます。

 さて、先日のテレビにおいて、そのデータが正しいかどうかは確認に至っていませんが、それによると、

 医療機関に受け入れの照会回数が、2回以上の件数が、

平成 22年 74905件
平成 23年 78467件
平成 24年 77860件

 もあります。つまり、、、1回目の問い合わせで断られたのは、これだけあるのです。
どうも、病院の方の都合か何かで、たらい回し、受け入れ拒否の現状があるようです。
平成24年では、10回以上断られた件数が、684件ありました。

 救急搬送の受け入れ先の病院の都合というのは、いろんな科の医師を救急医療体制にて常駐させる
必要があるとのことですが、これには経営的な問題も多いようです。つまりお金です。

 以前、奈良県の妊婦さんが受け入れ拒否のため、18病院が拒否し、6時間後に搬送され、その母親も
亡くなった事件はかなり有名になりました。
 
 問題としては、救急車を軽症の患者であっても安易に呼んでしまうことも一つあります。
日本は救急車での搬送が無料、というのも問題の一つだそうです。

 私の担当する利用者さんで、慢性呼吸不全(COPD)の方がいますが、この方は、呼吸苦、
血中酸素濃度の低下の度に、不安定な状態となり、家族もまた不安を強く持っているため、
救急車をすぐ呼んでしまいます。これはこれで、本人や家族の立場からすれば、致し方ないと思うのですが、
やはり、このようなケースも含め、救急車に乗っている間に症状が落ち着くような場合でも、
とにかく救急車という人が多いのが多いようです。
 病院によっては、救急車はタクシーではありません、という張り紙が貼ってあるところもあるようです。

 このテーマを今日述べようと思った理由のひとつは、私の住む埼玉県が、人口10万人あたりの
医師数が全国で最も少ない、という実態があることもあります。

 全国平均226人に対し、埼玉(148人)、茨城(167)、千葉(172)が、かなり低い数値としてあげられています。
ちなみに 京都・徳島は296人という数字が出ています。

 埼玉に限って言えば、重症患者の受け入れ時、救急車が1時間以上動けなかったのが517件
10回以上の受け入れ拒否が167件もあったそうです。
ある事例では、76才の呼吸困難の男性が、36回拒否され死亡したという現実もあったようです。

 救急車の出動から、家まの所要時間は、全国平均で、平成13年 6.2分 に対し、
平成24年では 8.3分と、これも増加しています。
また、病院への収容までの時間は、 全国平均で、 平成13年 28.5分 に対し、
平成24年では 38.7分 と、これも増加しています。(ちなみに埼玉は43.6分で、ワースト2でした)

 ある医師曰く、救急搬送のうち、本当の重症患者は1割程度だということです。救急患者の受け入れ病院では、
その1割の重症患者のために、その他9割の患者も診ているという実情があるとのことでした。
夜間の自殺未遂者も、精神疾患と判断されることが多く、そのような科がない病院は受け入れないという
実態もあるようです。

 救急医療体制は、大きく分けて3つあり、
1次救急 ~ 帰宅可能な軽症患者。自分で医療機関を訪れる。
2次救急 ~ 入院や手術が必要な患者。 生命の危険はない。
3次救急 ~ 一刻を争う重症患者で、高度な処置も必要。

 とあります。このうち、1・2次の患者さんが上記の9割に当てはまるということでしょう。

では、たらい回しにならないためには、どうすれば、とのことですが、結局、何とか自力で行く、
その場合は病院側も拒否できないらしいのです。ただ、これは年配の方の一人暮らしや、
老夫婦にとっては、かなり難しい選択です。ただ、上記のように、救急車を呼んでも、
30分以上時間がかかるのであれば、、、と考えてしまいますね。

 消防署に関しても、 119番ではなく、ちゃんと、最寄りの消防署の番号をきちんとかけて、
連絡すると早く対応してくれるようです。 
ただ、訪問リハビリ時の急変対応においては、なかなかそこまでは行えません。
主治医がどの病院にいる、ということが言えることだけが、強みとなります。

 つまり、主治医の名前と所属を出すことで、病院側も、簡単にはノーとは言えなくなります。
私の担当するCOPDの利用者さんも、週に1度は搬送されていましたが、いつも行き先は
主治医のいる病院でした。そういう意味では、よくも悪くも、病院というのも、いきものなのです。
逆に言えば、主治医がはっきりしない場合は、かなりの覚悟が必要となるわけです。

 
 

 
 

風邪の時に何を飲みますか?

こんばんは。

 この季節の変わり目の時期、寒暖差からか、衣替えのタイミングがうまくいかないからか、
世の中に風邪を引いた方をよく見ます。
 この風邪について、今日は少し思い当たる話をしたいと思います。

 風邪の時、どのようなものを飲むのか、これは民間療法が主だとは思いますが、
私が大学生の時代に、周りにいた外国人からの話を含めて、いくつか述べてみたいと思います。
科学的な根拠や、真偽のほどは、抗議されても返答しかねますので悪しからず。

 まず、ドイツです。
 ドイツでは、温めたビールを飲んで寝る。 または、常温のビールに卵や砂糖を入れて飲むとのことです。
 また、人によっては、赤ワインに砂糖と卵を入れて飲みます。
 熱い牛乳やラム酒のお湯割りなども飲むとのことでした。

 次に、スペインです。
 熱い牛乳にはちみつを入れて飲む。コニャックやラム酒に卵を加えて飲むなどと言っていました。
 コカ・コーラの炭酸抜きを飲むとも言っていました。
 サウナや水風呂に入り、アルコールで身体を拭くこともあるようです。

 次に、フランスです。
 こちらも、コカ・コーラの炭酸抜き、はちみつ入りの牛乳、にんにくを食べる、
 かなり強めのラム酒のお湯割りを飲む。などです。水風呂は、一部のひとは入るようでした。
 子供には、カモミールティーなどを飲ませるようです。 

 次に、イギリスです。
 牛乳にはちみつを入れて、ウィスキーをお好みで垂らして飲むようです。
 こちらは、風邪の時には風呂には入らない、とのことです。

 次に、アメリカです。
 コカ・コーラの炭酸抜き、ジンジャーエールを温めて飲むようです。お腹を壊した場合も、
 よく振ったコカ・コーラを飲む習慣があります。コーラにしょうがを入れる場合もあります。
 風邪の時には、身体を外から冷やすため、病院ではなるべく薄着をさせ、涼しい格好に
 させられます。

 次に、フィリピンです。
 チョコレートを溶かしたおかゆを飲みます。 

 次に、トルコです。
 菩提樹の葉を煮込んで、砂糖とレモンをいれます。この菩提樹の葉、相当に苦いらしいです。

 次に、ナイジェリアです。
 香辛料をたっぷり溶かしたお湯を飲みます。辛いのを食べて、汗を出すようです。

 まぁ、自分が聞きかじっただけでもこれだけの話があります。
基本的には、< 飲んでリラックスをする > < 飲んで身体を温める > というのが共通でしょうか。

風邪を引いて病院に行くのは、医療保険制度が充実している日本人くらいだと聞きますので、
風邪薬を飲むというのは今回除外しました。また、外側からは、厚着などで身体を温める国もあれば、
風通しを良くして、身体を冷やすためにシャワーを浴び、薄着をする国も多かったような記憶があります。

実際には、地域差や個人差があるはずですので、ユニークなものはいろいろあるのでしょうし、
日本でも、
喉にネギを巻くだとか、馬肉を額に乗せるだとか、いろいろ対処法があるようなので、
このような話を集めてみるのも面白いかもしれません。

 基本的に、日本でも、日本酒に卵を溶かして、とはよく聞く話です。
お酒を飲んで、温かくして寝る、これが良いのかもしれません。個人的には、卵酒は苦手です。
一方で、コーラは以前は胃腸の薬として作られた歴史もあるのでしょうが、原材料は昔と
同じではないようですので、何とも言えません。

 さて、一般的に、風邪と判断する根拠は、
 くしゃみ ・ 鼻水(鼻汁) ・ 鼻づまり ・ 咳(セキ) ・ 痰(タン) ・ 喉(ノド)の痛み ・ しゃがれ声
などの症状を基本に、
 発熱 ・ 倦怠感 ・ 気分がすぐれない ・ 食欲が無い などの全身症状、
そして
 吐き気 ・ 下痢 ・ 頭痛 ・ 関節痛 ・ 筋肉痛 ・ 腰痛 ・ 胸痛 などの各部症状のうち、
だいたい二つ以上を自覚することにあるらしいのです。

 ただ、実際には、 風邪 という病気はなく、医学的に、 風邪症候群 というらしいのですが、
 その定義はいろいろあるようです。

呼吸器系の炎症としての、 急性上気道炎 (普通感冒) 以外は
風邪と認めない、とする医者もいるようです。

インフルエンザ(流行性感冒) や マイコプラズマ肺炎の症状も、含める場合とそうでない場合がある
ようです。

 リハビリのセラピストとしては、この風邪症状は、年とともに外からわかりにくい面が多いと感じます。
くしゃみをしたり鼻を垂らしたりする利用者さんよりは、何となくだるい、くらいの人が多く、
わかりやすい風邪の人、というのは少ない気がします。
 よって、バイタルサインのうち、体温や顔色、などは、非常に重要なポイントとなります。
ただ、年配の方は、普段から厚着をして体温が高かったり、
温度覚の低下からか、寒気や熱の訴えなどの自覚症状が乏しい人が
多いため、訪問リハビリなどの現場では、本人の風邪症状は伝わりにくいことが多いのです。
一人暮らしの人ならなおさらです。

 また、腰痛や胸痛などの訴えからは、我々は風邪よりももっと悪い心疾患などの原因を
想定してしまうことがほとんどですので、
’ なんだその胸痛は風邪でしたか ’ などと言うお気楽な会話はほとんどしたことがありません。




車椅子と共に  移乗動作の考え方2

おはようございます。

 本日は、車椅子とベッドの間の移動(=移乗動作)について、我々セラピストが車椅子や
福祉用具を用いるポイントを述べます。

 一言でいえば、専門家がその技術や感覚をもってして、うまく利用者さんの重心をコントロールしたり、
上手に声掛けをするというのは、なかなか一朝一夕にて利用者さんの主な介護者には伝わりません。
よって、いわゆる コツ を得る前に、まずは、誰にでもできる形で、移乗動作を考えていきます。

 なので、’ これなら、私にでもできますね ’ と言われるのが最大の褒め言葉です。
’先生でないとできません’と言われるようでは、セラピストとしては半人前だと言えるでしょう。

 さて、まずは、移乗に関しては、8月9日のブログにも乗せていますが、
移乗動作は、基本的には
① 一度 立ち上がってから  臀部を移動させる
② 十分ではないが、臀部を浮かして 移動させる
③ 臀部を浮かすのは困難であり、臀部を水平面にて移動させる

 となります。そこで、車椅子の立場(笑)になって考えたいと思います。
②と③にかんしては、なるべく、お尻をベッドに安全に移動させる、そこがまず第一です。

さて、この車椅子、②のレベルに関しては、かなり好条件です。
まずは、足を乗せるフットレストと呼ばれる部分が、スウィングし、かつ外れます。

これにより、ベッドの枠に対して、なるべく近くまで近づくことができます。
また、移乗の際に、足がフットレストに巻き込まれたりして、傷を作る事故を未然に防ぐことができます。
それ以外にも、車に車椅子ごと乗り込む際に、フットレストが邪魔になってうまく乗らない、なんて
あたふたする機会も軽減します。
さらに、自走する場合や自主トレをする場合に足を動かしやすいこと、
玄関の上がり框や段差などの昇り降りの際に、スペースをとらないことで動作が行い易い
場合もあります(もちろんこの場合は、足が框に直接ぶつかってしまうというリスクはあります)
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 次に、スカートガードと呼ばれる、普段はタイヤの泥よけや、肘を乗せる部分についてです。
車椅子の図では、跳ね上がっています。
これにより、移乗の際に軽くお尻が浮けば、なんとか移乗できるのです。
 ただ、この跳ね上げタイプの欠点は、介助者が後方から介助するケースの場合、それが邪魔になる
ことがあります。

 また、上の3つの種類でいうと、一番右の赤い車椅子が一番標準的ですが、これだと、
お尻がかなり引っかかりやすいことはよく分かるかと思います。

 車椅子から利用者さんを誘導するときに、お尻を座面の前方にずりずりっと引き出すようにするのは、
何をおいても、このお尻のひっかかりを何とかしたいから、となります。

さて、では③のような方に対しては、どうすればよいのでしょうか。
車椅子の立場で言うと、②のように軽く臀部を浮かせる人は良いですが、浮かせない人は、
たとえスカートガードを外しても、お尻がタイヤに当ってしまいます。よって、タイヤの大きさや
位置なども重要です。 タイヤを小さくすればハイ終了、なのですが、小さくすれば、
利用者さんは自走できなくなり、また車椅子の機動力も回転力も安定感も低下するのです。
ただ、介護者の負担を考えると、やはり、介助用車椅子とよばれる、タイヤの小さいタイプを
使用せざるをえないことも多いのです。

 次に考えるのが、トランスファーボードまたは、スライディングボードと呼ばれる、柔軟性をもった
プラスチックのボードを利用し、 高いところから 低いところに 利用者さんのお尻を移動する、
という移乗介助の仕方を考えます。
 これは、ベッドと車椅子の高さを調整することで、力の弱い家族であっても、利用者さんのお尻を
引っ張り込んで移動させられること、介護者の腰の負担を軽減できることが利点です。
ただし、気をつけるべきは、このような介助をするような利用者さんは、
ベッドに自分では座っていられない場合もあるので、移した直後も気を抜かず、きちんと身体を
支えてあげることです。
また、マットがやわらかすぎるタイプ(エアマットなどもそうです)は、ボードが不安定となる場合も
あるので、注意です。
 いずれにしても、100キロを超える重量級の方にはあまり使えないものです。
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下のような車椅子もあります。
自走タイプなのに、タイヤが引っかからず、スカートガードがそのままトランスファーボードに
変身します。
車椅子もだんだんと進化していますが、その分、重量も増して、費用も増してとなる場合もあるので、
制作会社の一層の努力をお願いしたいものです。

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急変時の対応のこと

こんばんは。
 
 本日は、私の経験上、訪問リハビリにおける、ある意味、失敗談をお話したいと思います。

DNR という言葉は聞いたことありますか? これは、 (do not resuscitate) 「蘇生するな」の意味です。

または、DNTR とも言われます。 (do not attempt to ressuscitate)

つまり、患者さん、または、利用者さんが、状態が急変した時に、

 延命措置として、人工呼吸器や心臓マッサージなどの処置を行わず、また、自宅の場合には、
救急車の要請を行わず、看取りを行う場合に使う言葉です。

 ただ、この対応に関しては、原則は医師と本人、医師と家族がしっかりと意志を確認した上で
行う必要があります。
 例えば、心肺停止時に蘇生をしないということは、我々を含め、医師にとっても非常に抵抗感のある
ことだと思います。

 ただ、現在は、本人が自分の最期について生前にしっかりと意志を表す機会も増えています。
また、家族にとっても、本人に回復の見込みが無いににもかかわらず、
気管切開されたり、胸骨圧迫により、肋骨がとことん折れた状態にされたり、胃ろうを作られて
無理矢理に延命されたり、などなど、本意ではないことも多いのです。

 尊厳死という言葉は、現在はかなり浸透してきていますが、日本では、まだまだ、その具体的な
形は浸透していません。
 北欧では、安楽死に関しては、原則、本人の意志があれば認められますし、
北欧には、寝たきり老人はいない、と言われるまでの背景があるわけです。
つまり、がんなどで終末期を迎えたら、口から食べられなくなるのは当たり前で、その場合は、
胃ろうや点滴などは行わず、延命をはかることは非論理的である、という考えがあるようです。
さらに、上記のようなことを行うことは、老人虐待だ、という概念すらあるようです。

 日本において、平成22年度の、約115万人の死亡者のうち、その最期の場所は、
病院     79 %
自宅     12 %
老人ホーム  3 %
ホスピス    6 % 
 となっています。

 ついでにいえば、 その死因は、 がん 30%  心疾患 16%  脳血管疾患 11% となっています。
いわゆる老衰にて亡くなるひとは たったの3%程度なのです。

 ゆりかごにゆらゆらゆれながら、自宅にて家族に見守られながら、眠るように死んでいく、という人は、
自宅12%・死因3%の中での、限られた人、といえるでしょう。 宝くじレベルかもしれません。

 そう考えると、我々はそれぞれ、自分の最期に関しては、ある程度周囲に希望を伝え、既に
病院にて治療中の人や、介護保険の利用をしている場合は、
そのリビングウィル(尊厳死の意志)を伝えておくべきかと思います。

 実際には、そのように本人が希望していたとしても、家族がどうしても生きていてほしいという
思いから、その意志を覆すように、蘇生をお願いする場合も多いようです。

 私は、訪問リハビリ先にて利用者さんがけいれん発作をおこし、サーチレーションも80台前半にまで
低下した際、たまたま利用者さんの家族はお出かけしており、連絡してもつながらず、
また、主治医にも連絡が取れず、ケアマネージャーにも連絡が取れず、という場面に出くわしました。

 基本的には、救急車を呼ぶと、都心では約3分ほどで到着します。
地方であっても、場所にもよりますが5-7分程度と考えてようでしょう。

 その時間の中で、どんなに落ち着いて行動しようとしても、内心はかなり慌ててしまうものです。
その人や、その人の家族が、DNRの意志をもっている人かどうか、
その瞬間に忘れてしまう場合もあります。

 私の場合は、けいれん発作後、サーチレーションの低下、呂律障害、意識レベルの低下、の後、
気道を確保し、バイタルの確認を行い、主治医への連絡が取れない時点にて、
所属するクリニックのリハビリ指示医と連絡をようやくとりました。

 ただ、この、リハビリ指示医というのは、別に主治医ではないため、基本的には
’対応は君に任せる’とか言うのです。 
さすがに 救急車を 呼んでしまいました。 
 この時、本人の意志や家族の看取りの意志などが全く飛んでいました。

 結果として、救急隊員にその利用者さんの情報を伝え、本人は一命を取り留めました。
ただ、この事自体が、果たして本人やその家族にとって、納得できるものであったのかどうか、
これは若い頃の経験ではありますが、非常に悩まされました。
少なくとも、家族からは一言もお礼や感謝はありませんでした。そうですか、の一言だけでした。

 現在、ターミナルの時期の利用者さんに対して、自分の所属するクリニックの医師は、
主治医である場合は、看取りの形として、肺炎だろうが誤嚥だろうが、急変の際に
救急車をすぐに呼ばないことも、看取りの形の一つとして、説明する場合もあるようです。

 我々セラピストは、病院で勤めている場合は、病院の法にて、ベッドサイドでの急変への対応、
リハビリ室での急変への対応は、ほぼその病院ごとのマニュアルがあるかと思います。
ただ、地域でのリハビリの場合は、ケースバイケース、これにつきます。
 その人にとって、何が最も尊重されるべきなのか、とくに、がんのターミナル期の利用者さんに
対する対応は、非常に考えさせられますし、
どんなに経験を積んでも、いわゆる急変への対応というのは、なかなかスムーズにはいかないと
感じています。


帰りたくない人 包括支援センターの役割

こんばんは。

 本日、 デイケアにおいて、3時頃の皆様のお帰りの時間に、一人の利用者さんが、
’家に帰りたくない’ ’この2日間、何も食べていない’ 
と訴えられ、その方の対応について急遽対応を迫られました。

 この利用者さんは、心疾患にて心臓カテーテル施術し、ステント留置術後の方で、認知機能の低下も
あります。
 普段は会話が成り立たないことも多いのですが、上記の言葉を繰り返されていました。
幸いにも、主治医がこちらの診療所の医師であったため、医師の協力も得ることができました。

 この利用者さん、83歳女性、Sさん。 残念ながら、認知機能低下のある弟さんが主な介護者で、
Sさんの甥に当たる50代の男性がいるのですが、どんなに会議や話し合いを促しても、
決してその場に居合わせようとせず、自宅にいたとしても、部屋から出てこようとしない、
いわゆる あてにならない家族です。 

 この三人の家族で住んでいるのですが、Sさんの住む一軒家は、Sさんが若い頃から仕事で購入した
Sさんの所有物なのです。 そこに、弟さんが住み着き、甥が住み着き、となります。
弟さんも甥も、仕事はしているのかどうなのか、年金も給料もないような状態で、
働いていたSさんの厚生年金をあてにして一緒にいるようなのです。
 そして、甥は、さんざんもめたあげく、Sさんの子どもとして籍を入れなおしているようなのです。

 Sさんは、今回、低栄養にて入院し、退院してきて一週間ほど経つのですが、普通食では栄養摂取が
困難なため、おかゆを食べる必要があります。ただ、弟さんは、食形態の変化を理解せず、
Sさんは結果的にたった一週間で2キロも体重を落とし、心機能も若干低下してしまいました。

 デイケアとしては、Sさんに対応できるのは来所している時間帯だけで、あとはケアマネージャーさんに、
現状を伝えるほかないのです。
 今回、困ったことに、このケアマネージャーさんは、包括支援センターの存在を、ただの要支援の利用者
に対応してくれる機関程度にしか捉えておらず、こちらが何度も現状を報告しているにもかかわらず、
何の手もうたずにいたのでした。

 実際に、Sさんが退院後、こちらの提案としては、1回/週のりようを、2回/週の利用にして、
身体機能を回復するのが良いのでは、と提案したのですが、
家族は、こちらで面倒を見るから、と拒否をしました。
 結果的には、Sさんの年金をあてにして暮らしているので、Sさんがいなくなってしまうのもこまるが、
一方で、Sさんにあまりお金をかけたくない、というのも本音であるようなのです。

 おそらく、今回Sさんが低栄養で入院したのも、家族からほとんど食事を与えられていなかったことが起因
すると推測されます。こうなると立派な虐待となります。

 包括支援センターは、要支援認定を受けた人の介護予防の支援を行うだけでなく、
地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関
です。

 残念ながら、ケアマネージャーさんがこのような認識を持っていない場合は、迅速な対応が難しい
ことがあります。

 以前、我々のデイケアに来ていた利用者さんで、糖尿病で目が見えない女性が、
日々、飲酒した夫の暴力によって体中に痣が耐えなかったことがあり、この場合も、
地域包括センターと警察が絡み、夫に知らせずに他施設に移すという対応がなされました。
この際にも、デイケアが中心に動くというのは本来はありえないのですが、ケアマネージャーさんが
全部こちらに対応を投げてしまった、という経緯がありました。

 今回は、主治医が近所のショートステイに連絡して急遽入れてもらうことになり、
その数日間の間に、家族と包括支援センターにて話し合いがもたれ、本人の処遇を決めることになります。
おそらく、本人の居場所は知らされないと思います。

 デイケアは、場合によっては、その利用者さんによって最後の砦にもなりうるのです。
Sさんのように、自分の年金をあてにされ、家族が助けるどころかただのひものような状態になってしまって
いるようなケースは、残念ながら時々見られることなのです。

 このような虐待のケースは、その都度、小さな出来事を報告し、情報を共有し、危機意識を
多くの支援機関にて共有することが、非常に大切なことになります。
一度の暴力や、一度の何か、では、なかなか周りは動きにくいのです。



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