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理学療法士になりました                    ~リハビリ 日々是好日~
リハビリスタッフとして仕事をしながら、日々思うこと、記憶に残ったことを記録していきます。

プロフィール

どら吉

Author:どら吉
年齢   : 39歳
性別   : 男性
略歴   : 大学  ドイツ文学科を専攻
     : その後 金融機関に就職
           システムエンジニア
     : 退職後 専門学校に入学
           理学療法学科を専攻
     : その後 病院・診療所に勤務
     : 現在  診療所にて
           通所リハビリ業務
           訪問リハビリ業務



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ロフストランド クラッチ

こんばんは。

 本日は、ロフストランドクラッチ について一言です。

この杖は、リハビリのセラピストが処方する杖の一つですが、このロフストランド
というのは、サンドイッチと同じように、発明した人の名前よりとっています。
rofstrand crutch
この杖は、杖の構造に加えて、カフと呼ばれる肘を固定する機構が備え付けられています。
よって、手首や肘周辺のちからを、うまく杖先に伝えて身体を支持する機能を備えています。
よって、握力の弱い方、手首の固定が弱い方、その力を肘周囲の筋力にて補える方などに処方します。

いわゆる一本杖、T字杖では歩行が不安定な方に対して処方する場合が多いです。

今回私が関わったかたは、ポリオ後遺症によって左右の片麻痺(運動麻痺)を生じ、
左右ともにロフストランドクラッチを使用している利用者さんです。

このロフストランドクラッチ、肘部分のちからを杖先に伝えるためのカフの形状が
2パターンあります。

1つは、U字型(オープンカフ ともいいます)、1つはO型(クローズカフともいいます)
ロフストランドクラッチ

多くの福祉用具のレンタルにおいては、まず、O型がレンタルされます。

U字型は、腕にははめやすいのですが、安定性に欠けます。いっぽうで、O型は、万が一
転倒した場合でも、腕から抜け落ちる危険がありません。

このO型なのですが、人によっては、歩いているうちにそのカフ部分が腕にあたり、
痛みが生じる場合があります。
本来でしたら、肘の部分がカフにしっかり固定される使い方を想定されるのですが、
私の経験上、多くの方が、そのようにうまく扱うことができず、
カフの部分が腕の前後にぶつかってしまい、腕が痛くなってしまうことが多いのです。

上記の写真は、そのような利用者さんのカフの部分に、綿を巻き、上から軽いテーピングを
行っている途中のものですが、これにより、カフの動きが制限され、さらに、クッション性もあがり、
ぐっと扱いやすくなります。この方は、前腕にカフがぶつかる痛みに長年悩まされていたのです。

今回、2本合わせて、500グラム素材が軽いものに変更し、かつ、クッション性を高め、
カフの動きを制限しました。

このかたは、グリップを長く握っていると、指先に痛みも生じる方ですので、グリップに弾性包帯を
巻いて、握り箇所を太くしています。

このような、ちょっとした工夫により、扱いにくい杖がぐっと個性的なものになるはずです。
ロフストランドクラッチは、T字杖よりも支持性が高いため、体重が多少多めの方で、
股関節や膝の痛みを生じやすいかたに対しても、一度試してみる価値があるかと思います。
少し大きくて扱いにくい面はありますが、その効果を考えると、
一度試す価値はある疾患はいろいろとあるのです。


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時にはお散歩を

こんばんは。

 本日は、強迫神経症、廃用症候群の診断にて、一軒家にひとり、寝たきりの生活を余儀なくされる
利用者さん、Uさん(女性)に関してのエピソードです。

 Uさんは、現在73歳で、10年前に夫を亡くしていますが、その夫の生前の飲酒や暴力、
日常の素行の悪さにより、夫の亡くなる2-3年前より、不安障害の一種である、
強迫神経症の診断を受け、精神安定剤が欠かせない方です。

 Uさんは、普段は穏やかなかたですが、ベッドにて寝返りがうてず、自分で起き上がることもできません。
娘さんが近くにいますが、その娘さんがパートの仕事の後、Uさん宅に立ち寄って2時頃にお昼ごはんを
食べさせてもらうまで、一人で過ごします。
 そして、娘さんも2時間も家にいると、その後オムツだけ交換をし、自宅に戻ります。
その後、Uさんは翌朝にヘルパーさんが自宅に訪れるまで、ずっと一人でベッドの上にて過ごされます。

 Uさんは、認知面ではしっかりしているため、却って時々襲ってくる強烈な不安な気持ち、過去の
夫の暴力や暴言のフラッシュバックにて苦しむことがあるようです。

 特にこの季節は、体調を崩されたり、精神的に不安定になる方は多いようです。
健常者と言われる我々、現役の労働者であっても、季節の移り変わりというのは不安定な精神状態に
なる場合があります。いわんやUさんをや、、です。

 本日は、天気も良かったので、私は朝、本人をベッドより起こし、車椅子に乗せて、
自宅の周りをブラっと15分ほどお散歩しました。 

 基本的に訪問リハビリは、40分という枠組みの中で行っているため、Uさんの場合は、
ベッド上での関節可動域練習や起き上がりや寝返りの練習、ストレッチやマッサージ、
ベッドに座る練習などを行うと、おおよその時間は経過してしまいます。

 ただ、本人の生活の中で、屋外に出る機会は非常に少ないのです。
週に一回のみ、デイサービスに行きますが、その際には自宅前にて送迎車に乗せられ、
そのまま施設まで直行します。
 つまり、自宅の周りをゆっくりと見る時間などありません。

 つい先週、Uさんは、かなり精神的に不安定になり、もうデイサービスにも行きたくない、
何もしたくない、死んでしまいたい、と、かなり不安定だったと、ケアマネージャーより聞きました。
 
 そのこともあり、私としては、リハビリのメニューとしてはあまり身体機能へのアプローチとは
いえないけれども、車椅子に本人を乗せて、少し家の周りをお散歩することにしました。
天気が良かったこともあり、是非実行しようと思っていました。

 こういう屋外の散歩は、ヘルパーの仕事と思われるかもしれませんが、ヘルパーは60分の
滞在時間の中で、朝食の準備と朝食の介助、排便の際はポータブル便器への移乗とトイレ動作介助、
洗濯、おむつ交換、ベッドメイキングなどを行い、外へお散歩させることは困難ですし、
介護保険上は、お買い物の手伝いをする、のように、何かのついでに外に出る、という形でしか、
お散歩は難しいのです。つまり、散歩のための散歩は、ヘルパーの仕事としては定義できないのです。

 そんな現実もあるため、訪問リハビリの時間に、普段ベッドに臥床することが多い利用者さんを
外に連れ出すこともあります。
特にこの季節は、外の空気を吸い、日光に適度にあたることは、とても喜ばれる場合が多いです。

 どんな効果があるのか、それがリハビリなのか、そんなのにお金が払えるか、
と厳しい意見もあるかと思いますが、、、私は少なくとも、こっそりとやっています。
カルテ上に問題のある場合は、記載しない場合もありますが、兎にも角にも、
本人との関係性の中で、それが必要だ、と考えることはあります。

 今日は、Uさんから、’久しぶりに日の光を浴びて、眩しかったけどすっきりして嬉しかった’
と意見がありました。 
 本人が精神的に不安定である場合は、このように、普段通りのリハビリよりも、ちょっと脱線した
気分転換をしてあげることも、大切だと思っています。
決して楽をしようとか、サボっているわけではないので、悪しからず(笑)

 実際に車椅子を押して玄関を出入りすると、その住宅でのバリアの状態や、
家族の方の介助量なども分かったりしますよ。
 

立位姿勢の観察 その2

こんばんは。

 本日は、立位姿勢の観察について、前回に引き続いて、少し専門的なポイントも含めて述べたいと思います。
 
 その前に、良い姿勢とはどういうものか、という点に関して、
我々セラピストの相手を見るポイントについて、簡単に述べます。

 ① 力学的な視点から
    ・ その人が、物体としての安定性があるかどうか
        → 例えば、重心が、きちんと支持基底面に落ちているかどうかということを見ます
    ・ 筋活動や靭帯の緊張が適切であるか 
        → これは、立位のバランスやその人の下肢の筋肉の緊張の度合いなどから判断します

 ② 生理学的な視点から
    ・ その人が、疲労しにくい姿勢であるかどうか、
       = 筋の血液循環が正常に保たれ、呼吸器・消化器・泌尿器に余計な負担がかかっていないかどうか

        → これは、血圧や呼吸数・脈拍などのバイタルサインから判断します
    
         例えば、心拍数は、 臥位 < 座位 < 立位 にて高くなります。
               血圧も、わずかではありますが、上記と同じ結果となります。

 ③ 心理学的な視点から
    ・ その人が、精神的に安定しているかどうか (人格的な部分も影響します)
        → イライラしている、不安でいる、落ち着かない、トイレに行きたいなどの心理面
           の圧迫がないかどうか、観察します。

 ④ 作業能率的な視点から
    ・ その人の身体の各部位の位置を見ます。
      作業をしている場合の、身体の相対的な位置関係などをみます。

 ⑤ 美学的な視点から
    ・ これは、あまりリハビリには影響しませんが、いわゆる、プロポーションのこと
      → 人種によっても、年令によっても男女差もあり、評価者の主観も入ります

こういった姿勢への視点から、では、いよいよ立位について述べます。

 ①立位時の筋活動

  立位姿勢を横から(リハビリでは、矢状面といいます)見ると、
  立位時の人間の筋活動は、身体の前面・後面が均等に緊張して働いているわけではないのです。
  
  実は、身体は< 常に前に倒れようとしている > のです。

  その状態を、足関節を支点にし、その後方の筋肉が活動することにより、
  前に倒れないよう、主に後方の筋群が活動しているのです。
  
  専門的に言えば、頸部の後面の筋・脊柱起立筋群、大腿二頭筋・腓腹筋・ヒラメ筋などです。
 
  特に、ぴんと胸を張った、きりーつ の姿勢では、かなり後面の筋群が働き、
  そして、下肢の筋肉が緊張するため、あまり長く軍隊式の起立姿勢を続けると、
  下肢の血流障害がおこるほどです。
  そこから、少し楽な姿勢になった時に、ようやく前方の腹筋群が働いてくるわけです。

  力学的な安定性という視点からは、
  直立姿勢よりは、休めの姿勢の方がより安定感があり、
  生理学的にも、エネルギーの効率もよく、良い姿勢といえると思います。

 ②重心動揺について
 
  立位の姿勢では、足関節が支点となった逆振り子のような状態になるので、
  足関節から一番遠い頭部のあたりが一番動揺しています。
  
  身体の重心は、足関節の軸よりも前方にあるため、それによって常に身体は
  前方に倒れるような力が働くことになるのです。
  
  重心動揺は、一秒に0.7-0.9cm程度あり、これは、幼少期から徐々に小さくなり、
  20歳代にて最小となり、70歳代になると著しく大きくなります。

  また、目をつぶってしまったり、視力が弱かったりすると、視覚的なフィードバック
  がなくなることで、重心の動揺はさらに大きくなります。

  その他、足底の感覚も重要です。
  脳卒中による感覚障害や、靴下の厚さ・靴の状態・床面の状態などなど
  足元の感覚が弱くなればなるほど、重心は動揺します。

  視覚  > 体性感覚   の順に、重心動揺に影響を及ぼします。視覚のほうが重要なのです。
  
  ところで、人間の身体の体重心は、どこにあるかというと、
  骨盤の内側、仙骨のやや前面にあるといえます。
  足底から55%程度の高さ(男性では56%)あたりにあります。
  その位置から真下に重心の線を下ろすと、足関節の軸より前方にあるため、
  人間の体は常に前方へ倒れようとする構造になるのです。


 ③バランスについて
   バランスを見るときは、外側からわかりやすい人体の指標があります。
   側方(矢状面)から前後のバランスをみると、専門的には
    耳垂後方-肩峰-大転子-膝関節前部ー外果前方 の一直線が成り立つかどうか、
   前方(前額面)から左右のバランスをみると、専門的には
    後頭隆起-椎骨棘突起-臀裂-膝関節内側中心-内果間中心 の一直線が成り立
   つかどうか、
   これを見ます。

   また、足のポジションによっても支持基底面の観点から、
   両足を肩幅に開いた状態→ 両足を揃える → 前後に継足 →片足 → つま先
   これによるバランスの安定性を評価します。

 ①から③のような視点から、我々は立位姿勢を判断しますが、
  この立位姿勢が異常な場合は、おおまかに、

    ・ 骨や関節などの運動器の変形 や 関節可動域の制限 
    ・ 末梢神経の問題
    ・ 筋の問題
    ・ 中枢神経の問題
    
  のような視点から問題点を考えます。

  とくに、高齢者の場合は、自然と前屈姿勢となるので、
  それを無理矢理に理想な形に修正するのは困難なことです。
  脊柱の生理的な弯曲の程度や、側弯があるかどうか、などの観察も重要になります。

  では、リハビリではその姿勢に関して、どのような形で評価や運動指導を行うのか、、、、
  具体的には次回また述べていきたいと思います。


やいかがし ハンセン病 

おはようございます。

 昨日の90歳を超えた利用者様、Mさんとのお話の中で、昔の東北での暮らしの一部を聞くことが出来ました。

その人の言葉を直接表現すると、’昔は、らい病や結核といったら、村中で忌避されていた’とのことです。

Mさんは、7人兄弟の下から2番めの女性なのですが、兄妹4人と、実の娘さんも結核によって亡くされている
方です。
Mさんの村では、結核やハンセン病(らい病という表現は、差別用語かは別として、私としては正式名称を
述べます)の人が家族にいる場合は、その家の前の通りは村人は通らず、
わざわざ大きく迂回をして自分の家に戻ったということです。

 また、家の玄関に、柊の小枝とイワシの頭やしっぽをつけた魔除けのような飾りを、その対象となる家には
くくりつけていたようです。
 
 そもそもは、鬼が、 イワシの頭のくさい臭いを嫌がり、柊の葉の痛いトゲを嫌がり、という面から、
きたもので、Mさんの地域ではイワシを焼いたものが用いられたようです。 

やいかがし、 やっくさし 、やっさし、 鬼の目さし  などなど言うようです。

そういった習慣は、実際には節分の際に鬼を避ける、病をよける、厄を避ける、などの意味でそもそもは
始まっているらしいのですが、実際には、その家には病人がいる、という目印のようにされたということです。
そして、その印を見て、周囲の村人が、その家を避けるという習慣があったようです。

おそらく、地域差がいろいろあるだろうかと思いますが、そのような村があった、ということでしょう。

 結核とハンセン病は、全く違う範疇の病気ではありますが、当時の人々の誤解や無知からくる部分が
このような悲しいエピソードをいろいろと生んでいたに違いありません。

 特に、ハンセン病に関しては、その感染力というのは非常に弱いもので、当時の衛生状態の悪さが
影響していただけの話です。それが、遺伝するだの、接触しただけでうつるだの、いろいろと大きな
誤解をされてしまいました。
 後遺症によって、表面上の外観が変わってしまうこと、
つまり、らい菌という細菌による感染により、
顔や皮膚の変形があり、
また末梢神経の感覚障害からくる、火傷や擦過傷をきっかけとした二次的な感染や炎症による
手足の骨の変形や、切断など、
そういう外見上の問題が、大きく影響しているのです。

 なぜ私がこのような話を述べるかと言いますと、現在日本に13箇所(国立)ある、ハンセン病
療養施設の一つで、私も3年ほど勤務していた時期があるからです。
そして、小泉政権の時に (なんと1998年、こないだのようなものです)
国は、らい予防法が国策として間違っていたことを正式に認めたのです。
(実際には、裁判所がしっかりと、その法律を弾劾したわけです)
 
ちなみに、現在、その療養施設の入所者は 2021人 (平成25年1月末現在)であり、
入所者の平均年齢は 82 歳になっています。

 このハンセン病施設での経験、そこでのリハビリテーションに関しては、
またそのうち記述したいと思いますが、

 いずれにしても、 Mさんのお話からもあるように、今はそれほどの脅威でなくなっている病気が
その当時の人々にとっては重たい経験になっていることは多々あります。

 現在難病とされている病気に関しても、あと何十年か後には、同じように感じるようなことが
あるのかもしれません。そして、そうあってほしいとも思います。


通所リハ訪問指導 とは

こんばんは。

 今日は、通所リハ訪問指導加算 という、通所リハビリのセラピストによる、利用者さんの
お家への訪問、そして、そこでの評価や指導、家屋調査に関して、説明したいと思います。

この訪問指導に関しては、
  < 医師又は医師の指示を受けた理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
    等が利用者さんの居宅を訪問して、診察・運動機能検査・作業能力検査等を行
     い、通所リハビリテーション計画の作成及び見直しを行った時に加算できます >

という定義があるのですが、 私の所属するデイケアにおいては、
基本的に利用者様がデイケアを利用する前に、私がデイケアの責任者とともに、
デイケアの契約時、つまり利用開始前にその利用者さまも家にお伺いをして、
利用者さまの身体機能や、家屋構造を評価します。

 その中で、最も重要な点は、

デイケアのスタッフが、その利用者様を、車で送迎することができるかどうか、
そして、家の玄関から公道まで、無事に利用者さんが移動できるかどうか、
その時の介助方法はどうか、その時の玄関の上がり框での動作(段差を降りる、靴をはく、移動する)は
どうか、玄関から公道までの移動能力はどうか、車の助手席や後部座席への乗り降りはどうか、
家族の介助はどの程度期待できるのか、また指導可能かどうか、などなどなどなど、

このように、その利用者さんが、
自宅から無事にデイケアまでやってこられるのか、その時の介助量や介助方法はどうなのか、、、

 その介護をするのは、リハビリスタッフではなく、介護スタッフであるため、そのスタッフにおいて
どのような介助を行うのか、または、そのスタッフだけで連れてこれるのか、、、、などといったことを
確認することが、まずは第一の目的となります。

 その施設においても、介護スタッフが十分な数所属しているとは限りません。
一人しか迎えに行くことができないデイケア施設は沢山あります。

 その中で、利用者さんの転倒リスクを排除し、より安全な形で送迎が行えることは、非常に重要なことです。

 特に、デイケアの送迎に関しては、その利用者様を、玄関先の框まで送る場合、
公道で車から下ろして、家族に引き渡す場合、
自宅内のベッドに寝かせるところまで送る場合、など、ケースバイケースで、かなり条件が変わってきます。

 その利用者様にとって、どのような介助方法が適切なのか、それを判断するのが我々リハビリスタッフになります。

よって、契約時に、利用者様の身体機能の評価だけでなく、その方の生活する自宅を覗き見ることは、
非常に重要なことです。

 その訪問時には、自宅見取り図の作成、玄関框や公道までの段差の高さのチェック、浴室の浴槽縁の高さや、
トイレの便座の高さ、階段の高さなどなど、家屋構造に関してもかなりチェックを行います。

 いずれにしても、利用者様の家族が、介護保険制度によるデイケアの利用などが初めての場合には、
十分にその訪問指導の目的を説明した上での評価となります。

 本音を言えば、病院を退院してから、デイケアを継続的に利用する場合は、
その病院入院中にリハビリのセラピストから十分な介入をしていただければと思うのですが、
実際には、
 病院ではあくまで本人の自宅に合わせたADL訓練ではなく、
病院内での機材を用いての練習までしか行わない場合が多いのです。
私が病院に勤務していた時もそうでした。相手の自宅の実際のお風呂はどんなものか、きちんと把握できる
機会、制度は、なかったように思います。

 よって、自宅での動きや、自宅での住宅改修の
可能性、その方向性などは、病院の退院時では決まっていないことが多いのです。

 つまりここでは、退院後のこの訪問指導が、地味なようで非常に意味があることがお分かりいただけるかと
思います。
 血圧計を持ち、サーチレーションを持ち、デジカメを持ち、我々は利用者様宅へと向かうのです。

 この訪問指導は、利用者様のご負担が約550円ほど(1割負担だとすると、実際には5500円程度)
となります。
 それだけの作業を行い、アドバイスができることで、その後の利用者様のADLの自立度や、
生活意欲が上がることがあればと心から思っています。


笑いヨガ

こんばんは。

 本日のアルジャジーラの放送にて、 笑い と ヨガの呼吸法 を取り入れた < 笑いヨガ > が
シリア難民の心のケアに取り入れられているということが取り上げられていました。

 また、ストレスを解消するという点から、シリア難民だけでなく、レバノンの若者にも評判だといいいます。

 日本にも、笑いヨガ協会といのがあるようですが、この笑いヨガは、インドにて発祥し、その後
70カ国にも及んで普及しているようです。

 この笑いヨガ、本来は一日のうち2-3秒程度の笑いが日に数度しかないことに
比べると、横隔膜をしっかりと動かし、一日に集中して5-15分程度笑うということは、その効果において
ものすごく差があるようです。
 その効果としては、脳・免疫系・消化器系・生殖器系・心肺系など、幅広い効果が期待できます。
本気の笑いでなくてもよいらしいのです。どんなに悲しい場合であっても、嘘笑いでも良いらしいのです。

 とくに、道具やマットなども必要ないため、戦火の中にいてストレス過大な国においても、取り入れることが
可能なわけです。

 ヨガというのは、笑いヨガでなくても、意識的な呼吸法、姿勢の調整、無理のない運動として、
高齢者にとっても非常に効率のよい、効果の高い運動の一つと言えます。
普段は汗をかかない人であっても、このヨガを実践することでしっかりと汗をかく方もいらっしゃいます。
私の知り合いにも、室温程度では、どんなに激しい運動をしても、あまり汗はかかない方がいますが、
ヨガ(その人の場合は、ホットヨガですので、少し条件が変わってきますが)によって、かなり多量の汗をかくとの
ことでした。

 我々セラピストとして、ヨガのような運動を取り込むとすれば、予防医学的な側面が強いと思います。
ただし、その呼吸法の中で、基本的な腹式呼吸 ・ 意図的な呼吸というのが、
インナーマッスルへのアプローチにもつながります。
また、身体機能面では、バランス能力の向上が、最も重要な要素の一つとも考えられます。

 実際に、デイケアや病院などにて、利用者さん(患者さん)に対して、ヨガの動きやピラティスの動きなどは、
運動訓練の一環として取り組まれています。
もちろん、それを指導するセラピストの能力や、ヨガに対する認識にもよります。

 病院やデイケアにおいても、その用途に分けて、

  • 生活習慣病予防ヨガ
  • 介護予防ヨガ
  • メンタルケアヨガ
  • リハビリヨガ
  • マタニティヨガ

などとジャンル分けをしている場合があります。まだまだそれを実践している病院は少ないようですが。

個人的には、腹圧をしっかりかけてインナーマッスルを強くし、また、リラクセーションを自分で行うことができ、
精神的な安定感を得るという意味で、興味ある手法のひとつだと考えます。

病院やデイケアにおいては、患者さん、または、利用者さんの身体機能にそぐわないことも多いかと思いますが、
介護分野で、デイサービスでの実施など、
要支援1-2、要介護1-2くらいまでの方へのアプローチとしては、有効なのではと考えています。

笑いヨガに限って言えば、笑うことにより、脳内伝達物質であるセロトニンが分泌され、
その結果、交感神経過多な状態から、副交感神経優位へと改善する可能性もあり、
非常に有用であると思います。

戦火のなか、 ’にもかかわらず笑うこと’ これは非常にすばらしいことです。そして難しいことです。

私がドイツ文学を学んでいた時に、当時の’人間学’という授業の中で、
アルフォンス・デーケン先生という、牧師さんでもあり、教授でもあり、作家でもあるその御方が
笑うこと、ユーモアを持つこと、どんな状況においても、嘘でもよいから笑ってみなさい、とおっしゃっていました。
この方は、戦時中、ドイツにて連合軍により、目の前で祖父を撃ち殺されている方ですが、
そういう経験をされた教授だからこそ、かなりの説得力を感じました。

日本にいても、シリア難民が現地で笑いヨガをやっている姿に、非常にこころをうたれましたので、
今日はすこしつぶやいてみました。


 
  

歩行補助具 と 素材

こんばんは。

 本日は、訪問リハビリにかぎらず、通所リハビリにおいても、我々セラピストがよく直面する問題、

歩行補助具の選択について、その更に一部について述べたいと思います。

 我々セラピストは、利用者さんの身体機能、特に、歩行能力に応じて、転倒を予防したり、
歩行の状態(姿勢であったり、歩行の効率であったり、スピードであったり、耐久性であったり)
を維持したり、改善したりして、より正常歩行に近づけるために、歩行補助具を提案します。

 T字杖(いわゆる一本杖) ・ 三点杖 ・ 四点杖 ・ 松葉杖 ・ 歩行器 ・ サークル ・ 
 シルバーカー などなどです。

だいたいにおいて、各事業所や、ケアマネージャーが懇意にしている福祉用具の会社が複数あるはず
ですので、何か利用者さんがそのような歩行補助具を欲した場合は、こちらがきちんと評価をし、
その後、歩行補助具を レンタルするか、 購入してもらうか、 など判断します。

 T字杖は、レンタルはありません。 これは、かなり自立度の高い利用者さんとみなされて、
購入のみとなります。 ただ、この杖は一般的な杖ですので、 市からある年齢になると支給されたり、
父母や配偶者が使っていた、という人もいるため、場合によっては、その人が既にお持ちになっている
場合もあるのです。

 また、シルバーカーのレンタルに関しても、持ち手のところが横のものは、いわゆる広く世間に
販売されている商品なので、制作会社(メーカー)の戦略や意向などもあってか、
レンタル対象にはならず、
持ち手がU字となり手前にくるタイプ、つまり歩行器と同じような持ち方をするタイプのみ、
レンタルとなります。

 このような福祉用具の会社は多々ありますが、一般企業に比較するとメーカーでの競争があまり
激しくないため、その製品はおおよそ似たようなものとなり、販売価格帯もそれほど安くはなりません。

 ただし、現在、歩行補助具の素材に関しては、従来のアルミニウム製よりも軽量で、小型のタイプ
となるマグネシウム合金製のものが徐々に広まってきています。

 例えば、歩行器(固定型)ひとつとってみると、従来のアルミ製のものは、2.5~3kg程度の重さが
あり、その中で最も小型のタイプを選択しても、小柄な女性がその歩行器を用いて歩行を繰り返すと、
決まって、肩や腕に負担がかかり、疲労の訴えが強くなり、または筋肉の固さが強まります。


 それが、マグネシウム合金製のものを用いると、その半分程度の1.2~1.5kg程度のものが
利用できます。(上の図では右が、マグネシウム合金です。あまり差がわかりませんね)

 まだまだ、多くは福祉用具でのレンタルの世界に広がってはいないのですが、フランスベッドさんなど
大手を中心に、徐々に広がってきています。

 半分程度の軽さになると、非常に動きに差が出てきます。強度はどうか、重いほうが安定感があるのでは、
などの意見は当然あると思いますが、歩行器を用いる人にとって、それほど強度や安定感にこだわる必要は
ありません。人の力はたかが知れていますし、歩行器を用いるほどのレベルの方に、重さを求める方は
ほとんどいらっしゃいません。 かなり体重のある方であれば、確かに重い方が安定感があるように感じますが、
却って軽いタイプで練習をしたほうが、バランスが向上するのです。

 このような、素材や価格、などの自由競争がもっと進み、もっと多様な福祉用具が生まれてくることを
我々セラピストはこころよりお待ちしています。

 個人的には、義足などを中心にすこーしずつは広まってきていますが、アルミより強度が強い分、
薄く軽く作れる、チタン製の素材のものも期待しています。
比重で鉄が7.9、チタンは約4.5、アルミは約2.8なのですが、チタンは非常に硬い金属です。
今後の技術革新にも期待しています。

 特に、小型で軽量のタイプは非常に貴重な輝きを感じています。それだけ、小柄な非力な女性に
対しての歩行器などの歩行補助具が、少なかったのです。

 



死せる孔明 生ける仲達を?

こんばんは。

 本日は、廃用症候群、神経症(不安神経症)にて自宅にて一人暮らしされているUさん70歳、女性の
お話です。

 Uさんは、現在、一軒家に一人暮らしなのですが、自室のベッドに寝たきりの状態です。
自分で寝返りもうつことができません。
 Uさんの家には、毎朝、ヘルパーさんが一時間ほど入り、朝食を摂ったり、ポータブルトイレでの排泄、
掃除などを行います。
 お昼すぎの2時頃に毎日、仕事を終えた娘さんが1時間ほど立ち寄り、
お昼ごはんとおむつ交換、洗濯などを済ませます。その後、Uさんはまた一人きりになります。

 Uさんは、いわゆる昔ながらの亭主関白のご主人をもち、専業主婦として2女を産み、育てました。
ご主人はかなりの酒飲みで、毎日のように仕事の帰りに飲んで帰り、それだけではなく、
いわゆる、飲む・打つ・買う を男の甲斐性のようにしていた男性だったとのことです。

 Uさんは、その夫の言動に耐え、一方で、趣味である卓球クラブに、昼の間は顔を出していました。
そのクラブでは、時々飲み会などのお誘いがあったようですが、夫は、自分のことはさておき、
絶対に夜の外出は許さなかったそうです。
 同窓会などの連絡が来ても、そういう時だけ、自宅に早く帰るからちゃんと飯を作ってろ、と
まったく同窓生との会合にも出席させなかったようです。

 時々、思い切って夫の反対を押し切って友人と夕飯を食べて帰ってくると、ねちねちとずっと
文句を言われたとのこと。

 Uさんが精神科に通い始めたのは、約10年ほど前からで、ご主人が仕事を辞めるか辞めないか、
という時期だったようです。
 ご主人は、その頃にはかなり肝臓を含めて体調を崩しており、病院に通っていたようです。
亡くなるのは退職後1年位してからのようですが、
 ご主人は、自分の死期を察した時、Uさんに対し、
’俺が死んだら好きにすればいい’ と述べたそうです。

 そうは言っても、その頃にはUさんは精神科に通い、安定剤を始め種々の薬を飲んでおり、
その頃から急激に体力低下、下肢筋力低下が生じていました。

 現在は膝が曲がったまま伸びなくなり、また股関節も伸びなくなり、つまり膝立ちをしたまま
ずっと仰向けで寝ているような状態です。骨折や脳卒中、そういった大病はなくても、
いつのまにかそうなってしまい、動けなくなってしまったようです。

 ご主人がなくなる1年前より、かなり下肢の筋力が落ちていたようですが、それでもUさんは
健気にも毎日ご主人を見舞いに病院に通ったようです。

 そして、その甲斐もなくご主人が亡くなった後、本人もあまり動くことができなくなってしまった
とのことでした。 本当でしたら、ここで開放され、伸び伸びとしても良さそうなものなのに、です。

 精神的な面が身体にも影響をおよぼすことというのは、Uさんの場合は顕著に出ています。
医者としては、廃用症候群としか診断のつけようがなかったのですが、なぜだかどんどん身体が
弱って、関節の可動域が低下していきました。

 私が関わり始めたのはまだ一年程度ですが、夕方以降、まったく動かないでいる時間が長いために、
なかなか身体機能は改善しません。

 Uさんは、今でも夜中によく、遅く帰ってきた自分を叱責し、一晩中ねちねちと文句をいうご主人の
自分勝手な姿を夢で見て、嫌な気持ちで起きるようです。
 その中のセリフに、’おまえは家にいて料理でも作っていればいいんだ’ という一言があるようです。
  
 ご主人を懐かしく思い出すことありますか、と聞いても、
’まったく懐かしかったりはないが、
 その夢をよく見て、汗を書いてとても嫌な気持ちで毎晩起きてしまう。’
とおっしゃいます。

 ご主人が亡くなってから、かれこれ10年ほど経ちますが、この夢はほぼ毎日Uさんを悩ますようです。
まさに、これは悪夢のようなものです。

 睡眠導入剤を飲んで眠ってもなかなか改善しないUさん、この夢から開放される日がくるのでしょうか。

 私自身、自分の経験から振り返ると、今は亡き、非常に近い肉親の一言が頭の片隅に突然浮かび上がり、
急な動悸に悩まされることがあります。もちろんUさんほど頻繁に出てくるものではありません。
このような過去の亡霊を、どんな人でも住まわせているのかもしれません。

 私としては、何とかUさんが、その悪夢から開放され、ベッドから自分で起き上がったり、ポータブルトイレを
利用したりできるよう、なんとかリハビリを継続していけたらと思っています。

デイケアのお味噌汁 と 血圧

こんばんは。

 本日は、デイケアにて食べている昼食のお味噌汁を飲んだ時、利用者のみなさんの反応から考察を
したいと思います。
 
 先日、50歳半ばにて脳卒中になってしまった女性陣お二人が、お昼に私の所属するデイケアにて
昼食を採っていた時の反応です。
 我々リハビリセラピストは、昼食の時の利用者さんの食事の様子を、認知機能の面、身体機能面、
動作の巧緻性の面、嚥下機能の面、また食事時間や表情などを含め、時々観察します。
 
 この時、上記のお二方は、同じ席なのですが、二人して、’この味噌汁、薄い’ と言っています。
うちで出しているお味噌汁は、それほど減塩をしておらず、いわゆる普通の濃さのはずですが、
このお二方にとっては、かなり薄い感じなのです。
 もちろん、脳卒中の後遺症による感覚障害の一つに、味覚の障害もありますが、それ以上に、普段
飲んでいるお味噌汁の濃度が濃いことの表れです。

 お二方に共通するのは、結婚をしてから、旦那様のお家のお味噌汁の濃度に合わせて食事を変えていき、
最初は、かなり濃い味に感じていた食事が、当たり前になったとのことです。

 なんとなく、その後、お二人が高血圧症→ 脳卒中になっていることを考えると、嫁ぎ先での食事への対応
が、その人達にとってはマイナスに働いたのかもしれない、と勝手な憶測をしてしまいます。

 さて、この高血圧ですが、基本的には、日本高血圧学会によると、

          家庭血圧            診察室血圧
 若者・中年   125/80            130/85
 高齢者     135/85            140/90

となります。

 この高血圧ですが、 収縮期血圧(つまり上の血圧)が、140-160 だと 軽度   高血圧
                                    160-180 だと 中等度  高血圧
                                    180以上   だと 重度  高血圧  となります。

血圧を決めるのは、以下の点です。
 ① 心拍出量     ~ ドクンと一度脈打つときの、心臓が血液を押し出す量です。
 ② 抹消血管抵抗  ~ 抹消にいくと、血管が細くなり(毛細血管)、そこの通り道が細いために、その細い
                 血管が固かったり、細すぎたりすると、血圧が上がります。
blood pressure
 ③ 血液循環量   ~ 循環量が少ないと、血圧が低く、 量が多いと、血圧は上がります
 ④ 血液粘着度   ~ 血液のドロドロ度です。血液は、血漿という液体と赤血球などの個体成分があります。
                固体成分が多いと、血液に粘性が出て血圧があがります。
 ⑤ 動脈の弾力   ~ 動脈の壁が硬くなると(動脈硬化)、血圧が高くなります。

血圧が高いと、狭心症から心筋梗塞や心不全へ、また、脳卒中などのリスクとなり、
血圧が低いと、めまい、頭痛、耳鳴り、肩こり、倦怠感、不眠等へとつながります。
血圧の低い場合は、本態性か、起立性か、二次性か、の3つからの判断が必要となります。

 上記の脳卒中や心不全のリスクは、収縮期血圧(上の血圧)の方により注意が必要です。
 では、拡張期血圧(下の血圧)は、何を表すかというと、主に、末梢血管の抵抗を表します。

上の血圧と下の血圧の差を < 脈圧 (基準値 40-60) > といいますが、 
この脈圧が 平均より 大きい場合は、 動脈硬化 を疑う必要があり、
この脈圧が 平均より 小さい場合は、 心不全・脱水・不整脈 などを疑う必要があります。

我々セラピストが、注意する血圧が高くなる動作や行為としては、

 ① 急なしゃがみこみ  → これは、下肢が急激に屈曲されるので、末梢血管の抵抗があがり、
                  また、下肢の筋肉が緊張することで交感神経も優位になり、血圧が上昇します。

 ② 排尿・排便時     → 排尿を我慢しているような人は血圧が上がります。
                   その人が、トイレにて急に排尿すると、血圧が急激に下がることもあります。
                   戦国時代の上杉謙信が、トイレで脳卒中にて倒れたと言われたのは、有名です。
                   その後はゆっくり立ち上がるように促すことも大切です。

 ③ 入浴時         → リラックスから、血圧が下がる方も多いのですが、一方で、
                   脱水により血液がドロドロとなり、血圧が上がり、
                   心筋梗塞や脳梗塞などのリスクにもなります。
                   脱衣所と浴室の温度差もなるべく差がないよう気をつけないといけません。

 塩分と血圧の関係は、まだ十分には解明されていませんが、
塩分(ナトリウム)を過剰摂取すると血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分が増えるため、
結果的に、体内を循環する血液量を増やします。
 
 このため、末梢血管の壁にかかる抵抗が高くなり、血圧を上げてしまうと考えられています。

 先に上げたお二方とも、塩分の過剰摂取からの高血圧という流れは十分に考えられるのですが、
塩分を摂り過ぎると皆が血圧が上がるかというと、これは民族性や、個体差があるため、だれでも
そうだ、という決め付けは難しいようです。


 我々セラピストは、いずれにしても、以下のことを常に見ていますので、参考にしてください。 

 < 下の血圧が常に高めの人 >に対し、 
   その後の高血圧の予備軍になる可能性があるので、常にチェックをしています。

 また、 
 < 脈圧 が低い人 > に対しては、 心機能の低下 を疑い、チェックしています。
 
最後に、右腕と左腕とどっちで血圧を測ればよいのでしょうか?

 病院などでのきちんとした検査では、両腕と両足の4箇所にて同時に測りますが、実際には
そんなことはしません。
基本的には、左右をそれぞれ測り、高い方を記録していくのですが、左右差が上の血圧の10%
以上あると、末梢の動脈の問題が隠れている危険があります。

 解剖生理学的には、左側は心臓から血液が送られる側、右側は全身から血液が心臓へ戻る側なので、
当然左側より右側のほうが血液を戻す分圧力がかかるため、血圧が高く出ます。
よって、人間ドック学会などでは、基本的には高くでる右側の腕で測るようです。

 まぁ、臨床的には、片麻痺の人もいたり、シャントの人もいたりと、右手で測れない方、多いです。
左右測って、高い方で良いのでは、と思ったりします。



インフルエンザ

こんばんは。

 そろそろ、といいますか、10月になると、自分の所属する診療所において、
インフルエンザの予防接種が始まります。 
 うちの診療所では、だいたい、600人以上のインフルエンザ予防接種を行っているようです。
通常、アンプルは、10月に入荷し、12月頃には、一度切れてしまい、次の入荷が未定、のように
なるようです。

 さて、よく知られている話なのかもしれませんが、インフルエンザの予防接種は、いわゆる
< 自由診療 > です。つまり、医療機関によって、予防接種の値段は自由に決められます。

 そもそも、インフルエンザのワクチンは、4社ほどが独占的に製造し、その原価は 350円 ほど
です。
 それが、医療機関には、業者を仲介して入ってくるために、だいたい1000円弱ほどでの入荷となります。

 さて、そこから先は、自由診療の分野ですが、うちの診療所では、このインフルエンザによって得る
差額分(まぁ利益分ですね)が、これが従業員のボーナス分になるらしいです。
経営者でもある医師は、従業員のボーナスを支払うために(もちろん、予防医療への使命感が第一だと思いますが)
一生懸命にプスプスと注射をうちます。

 うちの診療所では、おおよそ、子供2000円 大人3000円 65歳以上の方は、1000円となります。

この場合、市町村によって対応が違うようですが、65歳以上の方には、インフルエンザが1000円で受けられる
といった通知や書類が本人に届いたり、市町村から直接医療機関に通達があったりするようです。
そして、その後一人あたり3000円程度、医療機関に補填されるようです。

 このように見てみると、結構、自由診療というのは、医療機関にとっては利潤となるわけですので、
そのためにも皆さんになるべく注射をうつという姿勢も納得いきます。

 病院や診療所によっては、ひとりあたり8000円ほど取るところもあると、医師は言っていましたが、
4000円前後のところが多いようです。 うちは良心的ですね、まだ。それにしても原価安いです。

 このインフルエンザワクチン、昨年に余ったものを今年使えばよいではないか、という意見は当然ですが、
実際には、その年に流行りそうなものを3種 (A型2種、B型1種)入れるようですので、
毎年、新たに作成しています。

 まぁ、これも製薬会社からすれば美味しい話ですよね。余剰な在庫を抱えていても、
それは毎年クリアされ、つまり破棄されるわけですから。毎年、ちゃんとした利益が出るわけです。
まぁ、製造側の言い分としては、余った分はこちらが人件費をかけて破棄するのだ、
回収するのだ、となるのでしょうが。。。

 今年から、自分の勤務する市では、肺炎球菌ワクチンの接種も開始となるようです。
これについても、書類や通知、負担額に関しては、市町村で対応が違うようです。

 

がん難民 ー リンパ球 ー がんばらない

こんばんは。
 
 近年の傾向として、私の担当している利用者さんの中に、がん治療後の方や、治療中の方が増えてきています。
多くの方は、がんだけでなく、脳梗塞や高血圧、認知症、骨折などの診断もくっついてきており、
歳をとればとるほど複合的な身体状態となっています。

  さて、私もがんに関する本をそれなりに読んできましたが、現在、日本の医療において問題になっているのは、
いわゆる がん難民 という問題のようです。

この言葉は、標準治療ではもうなすすべがなくなったと、医師から見放されてしまったがん患者さんや、
自ら標準治療を拒否して医療による治療を拒絶してしまうがん患者、
情報におぼれてしまい、何から手を付けていけばいいのか分からなくなったがん患者に加え、
標準治療の副作用に対して心身ともに疲れ果て、もう治療を受けたくないとなってしまったがん患者さん、
そして、再発がんの患者さんに対して全てあてはまるように思います。

 中には、ドクターハラスメントと言われるような、医師からの告知の際の厳しい一言により、
治療の継続する意欲がなくなった方もいらっしゃいます。
最近は医療訴訟を回避するために、考えうる最悪のケースを患者さんに告知する医師が増えており、
自分の身を守るために、とりあえず‘あと3か月です’というような医師もいらっしゃるようです。
まぁ、医療・福祉分野の人間としては、あまりあってほしくないケースではありますが。

 私の所属する診療所の医師は、24時間体制の地域医療を担当していますが、
場合によっては、ターミナルのがん患者さんの家族には、‘痛みは取り除く。
今度何かあったら、救急車を呼ばない、というのも一つの看取りの仕方です’
という言葉をかけることもあるようです。
今まで、患者さんの家族から訴えられてもないようなので、それはそれで一つのターミナルの形なのでしょう。

 がんに関する本を書いている鎌田先生や、免疫に関する本を書いている安保先生による対談
について書かれた本をたまたま読んだのですが、
それによると、今の医学では、病気の研究が遺伝子や分子の問題に偏っているが、
我々の病気の原因は、生き方の無理や、交感神経の過緊張の持続が原因なのでは、ということでした。

 交感神経と副交感神経がバランスよく働けば、がん抑制遺伝子はちゃんと働くはずだ。ということです。
 交感神経と顆粒球はお友達で、副交感神経とリンパ球はお友達のようです。

 のんびりゆったり暮らしている人は、白血球中のリンパ球の比率が高く、
無理を重ねている人は、白血球中の顆粒球の比率が高い。
がんと闘うときには、リンパ球の割合が増えた方がいいとのことです。
つまり、‘がんばろう’とすればするほど逆効果ということです。

 また、医師が余命宣告をした時点で、発がん時点よりもリンパ球が25%位ある患者であっても、
その直後から10%台に下がってしまう、ということもあるようです。

 ‘がんばる’ことで交感神経が刺激されると、脈が早まり、血圧が上がり、血液循環量が増えますが、
それが‘がんばりすぎ’と過度になると、逆に血管が収縮して血流障害がおき、顔色が悪くなります。
正常な細胞は、ミトコンドリアが酸素を欲するので、血流障害があると、栄養不足となります。
一方で がん細胞は、嫌気性なので、血流障害によりかえって元気になり、生き延びていくのです。

 ここで言いたいのは、つまり、行き過ぎない、がんばりすぎないように、ということです。

 白血球のリンパ球も多ければいいというわけでもなく、のんびりしすぎて45%以上ある人は、
かえって疲れやすく、ちょっとした抗体にも反応してアレルギーや炎症がおこったり、
虫刺されで腫れあがったり、風邪を引くと高熱を出すのです。

 では、
 エネルギーを消費する仕組みからこの自律神経についてみてみると、
< 消化管 >の働きは、完全に副交感神経支配だということです。

 全くの余談ですが、私は、個人的に、よくお腹を壊します。
通勤電車の最中、途中下車の旅をいったい幾度繰り返したでしょう。
トイレでいったい何か月分、いや何年分の時間を費やしているのでしょう、というくらいです。
ですので、以前も書きましたが、 腸のテーマについては敏感です。

 副交感神経を優位にするためには、消化管を動かすことが一番です。
つまり、玄米の殻や野菜の食物繊維、キノコ、海藻類などの、消化に時間がかかるものを食べて、
副交感神経を長時間刺激することが大切なのです。

 鎌田先生などは、交感神経過剰なこの時代、
もう少し副交感神経を働かせるような環境作りが大切だとおっしゃっています。
そして、‘がんばらない あきらめない ’この視点から、がん難民への対応を続けているようです。

 細かいことはさておき、私も自分自身の交感神経過多となりやすい生活パターンや性格を
見なおしてみたいと思っています。

橋を渡る時の注意

こんばんは。

 本日は、結節性多発性動脈周囲炎という難病の利用者さん、Oさん84歳のお話です。
この病気は全国に300人もいない珍しい難病で、中型の血管(動脈)の壁に傷がつき、
多臓器にわたり炎症が生じる病気です。
高熱(38℃以上)、体重減少、筋・関節痛、四肢のしびれ、皮膚潰瘍、尿蛋白・潜血陽性、
腎機能悪化、腹痛・下血、脳出血・脳梗塞、高血圧などを生じますし、
予後も非常に悪い病気です。

 ただ、Oさんは非常に奇跡的に以前よりも状態が改善されており、現在は介助歩行により、
T字杖と介助により歩いて移動ができるようになっています。

Oさんは、東京大空襲を2回経験しましたが、一度は江戸川区において、そして二度目は避難先の
赤坂において、です。
一度目の空襲の前、Oさんは、中学生ではありましたが、お金がなく、夜間の学校に通っていました。
昼間は学生ながら働いており、自転車に木材を積んで、江戸川区と千葉を往復していたようです。
当時は、夜間は空襲に備えて、一般の家では消灯が義務付けられていたため、
学校などの一部施設のみ、電灯がつけられていたようです。

つまり、民間の夜間学生は、勉強をするならば昼間にしなければならなかったのです。
Oさんは、夜間の学校の教科書を自転車のハンドルに開いて乗せて、後ろの荷台には
材木を乗せて、自転車にまたがって勉強をしていたようです。

千葉までの道のり、途中に隅田川と江戸川を越えるため、橋をわたるとのことですが、
当時の橋は、まっすぐではなく、いわゆる凸状の橋だったそうです。
その橋を自転車を降りて、ゆっくりと押しながら、渡ったとのことですが、ここで注意しなくては
ならなかったのが、馬車です。

当時、Oさんが自転車に乗りながら教科書を開くという危険なことができたのも、終戦前の日本には
自動車など走る余裕があまりなく、馬車が荷を運んでいたようです。
ですので、Oさんはそれほど危険な目にあうことなく、苦学生を続行できたのです。

当時、馬車はまっすぐと橋を越えることができず、御者は馬を斜めに斜めに走らせて、右往左往
しながら、橋の凸部分の坂を乗り越えたそうです。
Oさんは、橋をわたるときに馬とぶつかりそうになるのが一番怖かった、と述べています。
昔ながらの山なりの橋、そこに荷馬車がまっすぐにはあがれず、斜めにくねくねと上がっていく
光景は、なんとなく滑稽ですが、その当時の日本の世相をよく表しています。

当時は、昼間に働く二宮金次郎が大勢いたと、Oさんはしみじみと語ります。
認知機能の低下はありますが、難病に対してものらりくらりと受容していっています。
ほんとうにすごい方です。

若年性アルツハイマー認知症

こんばんは。

 本日は、若年性アルツハイマー型認知症と診断され、5年が経過した53歳Aさん、女性の話です。

この若年性アルツハイマーという言葉をこれから3つのパートに分けて、分析してみます。

 若年性 + アルツハイマー + 認知症

この認知症という言葉、高齢者の宿命のように言われることがありますが、この認知症というのは、
本人の年齢に関しての言葉ではなく、
脳そのものの器質的な変化、つまり、脳の神経細胞が死んでしまう、脳が萎縮してしまうことにより、
生じているものを総称しています。

 その 認知症 を今度は、その原因から区別する場合、

 アルツハイマー型   認知症
 脳血管性        認知症  

に分けられます。 両方の特徴を併せ持ったものを、 複合型 認知症   といいます。

 さて、アルツハイマー型認知症の特徴は、脳の神経細胞の急激な消失、病的な萎縮があり、

 ①発症から5-10年にて亡くなることが多い
 ②女性に多い
 ③自覚症状がない
 ④人格の変化が起こる

 一方で、脳血管性 認知症の特徴は、文字通り、脳血管の障害から生じるもので、
 ①発症から数年にて無くなる場合が多い
 ②男性に多い
 ③自覚症状は初期になり、段階的に良かったり悪かったりする
 ④人格は保たれる

となります。よって、いわゆる後者の方が、比較的、年齢が上がるにつれて自然と生じるものとして
我々が認識しているものだと思います。

さて、では、 若年性 アルツハイマー型認知症 とは、
15歳以上、65歳未満の年齢において、上記のアルツハイマー型認知症を発症した人のことをさします。

若年性の認知症に関しては、 原因の分かっていないものは
 若年性アルツハイマー型認知症 の他にも、
 ピック病 ・ 前頭側頭型認知症 ・ パーキンソン病 ・ レビー小体病などがあります。

原因のわかっているものは、
 血管性認知症 ・ 頭部外傷性認知症 ・ アルコール性認知症 といった具合に、原因が直接病名になります。

***********

さて、Aさんは、若年性アルツハイマーと診断されてからの5年で、歩行ができなくなり、ベッドに寝たきりになり、
発話ができなくなり、摂食ができなくなり、身体が動かなくなり、という感じで病状が進行してきており、

現在は胃ろうを造設し、コミュニケーションもとれず、本人は開眼し、時々うなずいたり、口角を広げて笑い顔を
することはありますが、基本的には表情がありません。
ベッドはエアマットを使用し、寝返りなどを含め、自分では全く動かず、全身的に筋肉の緊張が高い感じです。
両手は胸の前でバッテンをするような形で肘を曲げ、喉の方に両手を押し付けています。
両足は股と膝を伸ばしてバッテンをし、足をクロスしておりなかなか真っ直ぐにはできません。

 以前は後方から介助して、介助歩行により部屋の回りを3mほど歩行できていましたが、
急激に身体機能面も低下してきました。現在は、起こしてベッドに腰掛けてもらうために、
まっすぐ丸太のようにこわばった身体を折り曲げるのも大変な介助量となっています。

 Aさんは時折、私が顔を見て頷くと、ニコっと笑って頷いてくださいます。ただし、あくまで時々です。

家族、特にご主人も、最初の2-3年はリハビリのあいだ中、ずっと付き添って、
Aさんの一挙手一投足を見守っていましたが、
今では隣の部屋にこもって、お笑い番組をみて大声を出して笑っています。

 ご主人はこの4-5年間、ずっとAさんを見守ってきたため、あまり責めるつもりはありません。
実際、若年性の認知症の場合、発症時は配偶者も働き盛りであることも多く、
自宅での介助が困難な場合も多く見られます。
その中で、ご主人は仕事を何とか都合して自宅に早く帰るようにし、奥様の介護を自宅でしてきたわけです。
ただ、長い介護の中で、緊張の糸が徐々に緩んでしまったのかもしれません。
現在は、趣味のゴルフなども再開しているようです。

 さて、このAさんに対してのリハビリで、私が心がけているのは、関節可動域を維持するための
可動域練習やストレッチの際は、その都度、耳元で語りかけています。
’はい、では右腕を上に持ち上げますね~’ とか、 ’痛いですけど、指を伸ばしますねー’とかいう
感じです。

 医学的なエビデンス(根拠)なないですが、基本的にはコミュニケーションが取れなくなった人も、
臭いや聴覚など、昔からある脳の機能に関しては保たれると言われています。
ですので、相手がどんなに無反応であっても、語りかけは非常に大切なことのような気がします。

 訪問リハビリをやっていて、よく利用者さんの家族からクレームのような形で聞くのは、
往診の医師は、無言で本人に何も言わず、血圧を測って終了とする。 といった話です。

 もちろん、そうでない医師も大勢いらっしゃると思いますが、ただでさえ往診の医師は、
風のように来て、風のように去ると揶揄される場合があるのです。

 私としても、経験上、そういった言われ方はしたくありませんし、なんといっても、自分の言葉は
何となくでも通じていてほしい、という願いもありますので、比較的ゆっくり、優しい短い言葉で
利用者さんに語りかけます。

 不思議なのは、こちらが頷くと、相手が同じように頷くような動作です。たぶん、それ自体が
オウム返しのような感じなのだと思いますが、それがあまりに自然に生じると、あたかも
コミュニケーションが上手くいった場合のような、ふわっとした感じになります。
普段、表情が読みづらいだけになおさらです。

 このような不思議な経験も、訪問リハビリにて時々経験するのです。
人から微笑まれると、なんだかんだで、悪い気はしないものです。


起き上がり動作について

こんばんは。

 本日は、起き上がり動作について、コメントしたいと思います。

この動作は、セラピストの間では、寝返りや座位などと並んで、’ 基本動作 ’ という分類をされますが、
ある程度身体機能が低下した利用者にとっては、非常に難しい動作です。

要介護度の認定が3以上の人では、多くの方がこの起き上がり動作には何らかの介助や、声掛け、
こちらの誘導が必要となるように思います。

 起き上がり動作というのは、途中までは寝返り動作と重複した要素から成り立ちます。
我々セラピストは、起き上がり動作というと、教科書的には、
その人が身体を回して起き上がり、長座位(足を投げ出して座る)までを一つの形として習います。
ただ、実際に日常生活では、多くの場合、利用者さんは長座位を最終的な姿勢とはしません。
どちらかというと、ベッドに足を下ろして、そのまま端座位をとる方が、より日常的な動作となります。

 この起き上がり動作、少し、専門的な話となりますが、動作を分析してみると、以下のように
考えることができます。(かなりザクッと述べます)右側への起き上がりで、イメージしてください。

 ① 頭部と頸部が、右側に回り、前方に屈曲し、左側の肩甲骨の前方突出(肩甲骨が上に上がり)
   左上肢が右側へ伸ばされてくる

 ② 上部体幹が回旋運動を行い、左側の肩が、右側の肩と同列に並んでくる

 ①と②は、寝返りのメカニズムとほぼ同じです。

 ただ、ベッドに端座位をとる場合は、この時点(①から②の時点)で下肢や骨盤も回旋運動を
行い、場合によってはこの②の段階ですでに下肢はベッドの端から落ちようとしています。

 さて、続けます。

 ③ 体軸内回旋が進み,前方突出された左側(上側)の肩が右側(下側)の肩を越える
    < on elbow >  が完成する。 
    この際、肩関節を中心とした身体の回転運動を止めて、
    肘関節を中心とした回転運動に切り替えなくてはなりません。 

  この時、体幹を回す勢いや、肩甲骨周囲の安定性 → 肩関節周囲の安定性 →
  肘関節周囲の安定性 という要素が必要となります。
  肘から先の前腕は、非常に軽いので、そこで身体を支える on elbow というのは、
  肩甲骨周囲から肩関節周囲の筋肉の固定と、肘関節周囲の筋肉の収縮が必要とされます。

  (難しくいうと、右側の肩甲骨の水平内転を制止する形を作って、回転運動の軸を
  肩関節→肘関節 へと移すことになります。)
 
  この時、左上肢(上側)が、しっかりと右肩のラインを越えていく勢いがあることが大切になります。
  脳卒中の利用者さんが非常に難しいのは、この③の動作です。
  いかんせん、麻痺している左上肢のコントロールが、非常に難しいのです。
  右手を使って左手を何とか上側に持ってこなければならないので、手間もかかるのです。



 ④ on elbow から長座位(またはベッド端座位) が完成するまでの区間を指します。
    第 4 相では,体軸内回旋と股関節の屈曲により体重支持の場所が 肘→手へ と移動します。

    手根部まで体重が移動すると,手根で床面を押しながら殿部と下肢に重心を移動させて
    長座位(またはベッド端座位) が完成します。

    胸郭-肩甲骨-上腕-前腕-手関節 の各体節が連結されるわけで、これはこれで、非常に
    難易度の高い動作なのです。

    on hand という言い方もありますが、この手の平のうち、小指 小指球のあたりの負荷が非常に
    強くなります。
    そう、ここでは、小指が非常に重要になるのです。ここで身体を支えると言っても過言ではありません。
    また、ここでの肘関節の安定性のために、上腕三頭筋という筋肉もかなり大切な役割を果たします。

    ベッドに端座位を取る場合は、この時に右側の骨盤を軸とした回転運動、下肢をベッドに下ろす時の
    回転運動の勢いも借りることになるので、非常に強力な助っ人となります。

    ただし、ここで注意すべきは、腰痛がある人の場合は、このベッドの端より下肢を下ろす行為、
    そして、その勢いも手伝って起きようとする場合は、非常に腰に負担がかかり、痛みを出す場合
    があるという点です。

 まぁ、このような感じで、起き上がり動作は、何だか複雑な重心移動や体軸の変化や、肩甲帯や
 上肢の各関節の安定性が必要になるんだな、何だか、難しいのかな、、、というニュアンスが
 伝われば幸いです。

 これに対する介助の仕方に関しては、いずれ述べたいと思います。

  

平行棒とミラー

こんばんは。

 本日は、デイケアにある、平行棒と、その平行棒の突きあたりにあたるところにある、
エクササイズミラー (まぁ、全身が映る鏡ですね)について述べます。

 平行棒自体は、自分の所属するデイケアのものは、3M程度の短いものです。その中を、
利用者さんは、行ったり来たりしながら、10分程度歩行練習を行います。

 リハビリの方にて、その歩行に関しても条件をつけます。
横歩きをさせる人、後ろ歩きをさせる人、10cm程度の段差を置いて、その段差を昇降してもらう人、
四点杖を倒したり、棒体操用の新聞紙をくるくると丸めてテープで固めた棒を床に敷いたりして、
そこをまたいでもらう人、
などなど、その利用者さんの歩行能力に応じて、同じ10分でも課題が違ったりします。

 その利用者さんにとって公平な点は、その平行棒の端は、ミラーが壁に貼り付けてあり、
常に(といいますか、往路には見られます)自分の歩く姿を見ることができる点です。

 認知症の利用者さんのミラーに対する反応は、見ていて少し危なっかしく、なんとなく微笑ましいのです。

 鏡を見ながら少しずつ平行棒を歩き、鏡の直前で立ち止まり、自分の顔を不思議そうに眺める方もいれば、
鏡に向かってそのまま突進してしまい、額を鏡にぶつけてしまいそうになる方もいれば、
鏡に近づくにつれて、前の自分の姿とぶつかることを懸念してか、一生懸命避けようとする人もいます。

 私はリハビリをしながら、その光景を見ていますが、さすがに勢い良く衝突しようとする人の場合は、
声をかけます。

 年配の方の多くは、円背となっている人や、腰が前傾・膝も屈曲している人が多いのですが、
いざ鏡の前でその自分の姿をみると、両手を平行棒に添えて、ヒョコっと背筋を伸ばしたりします。
その姿が、可愛らしい人は可愛らしいのです。しばらくの間、がんばって背筋を伸ばすのですが、
その後、またもとの円背にもどってしまうときに、何人かの方は、何かしらつぶやくことがあります。

 特に女性の方は、年をとっても、やはり自分の容姿に関しては、何かしら思うところがあるようなのです。

 ’あー、こんなに年をとるなんて’   ’あー、いつのまにこんな姿に’
 ’あー、長生きするもんじゃないね’ ’あー、これ自分の顔?ぞっとする’ 
 ’・・・・・・・・・・(無言で自分の顔を眺めます)’

などなどです。つぶやき声がちょうど耳に入るあたりで、私がリハビリを行っているベッドがあるので、
他の方のリハビリを行いながら、なんとなく聞いてしまうのです。

 さて、このエクササイズミラーは、別にそのつぶやきを聞くためではありません。その平行棒にて
立位の姿勢を利用者さんにも診てもらいながら、視覚的に左右のアンバランスや、重心の傾きを
確認して頂いたり、
鏡を見ながら顔をあげて歩くだけでも、姿勢の調整にもなるわけです。
 
 脳卒中の利用者さんなどで、感覚障害をもっている方などは特にそうですが、多くの方が、
正中面での左右差が生じている方が多いのです。それに対する気付き、というのは非常に大切なことです。
特に、自宅では全身が映るような鏡を見る機会も減っていると思いますので、
時々、自分の姿勢を自分の目で確認することは、非常に有効だと考えます。

 この、専門的に言えば、 ’ 視覚的なフィードバック ’ により、自主的な姿勢の調整やバランスの調整を
行うことができるわけです。 

 つぶやきを聞くときに、ときどきニヤッとしてしまうことがあります。

義足を作ること 仮義足から本義足へ

こんばんは。

 本日は、糖尿病から感覚障害や視覚障害、血行障害が悪化して、両下腿と手指を切断するに
いたった、Nさん75歳、女性に関するお話です。
 
 現在、医療保険の制度上、下腿の切断の利用者さんであっても、回復期のリハビリテーション病院に
長くて半年しか入院ができません。

 切断した下腿の断端部(膝関節より下の部分)は、切断直後はかなりブヨブヨした状態になります。
まぁ、浮腫んでいるようなものです。また、下腿の切断の場合は、膝から下の筋肉の収縮がなくなるわけ
ですので、筋収縮による筋の硬さ、なるものがなくなってしまうのです。

 その後、弾性包帯や弾性ストッキングや、リハビリによる圧迫、マッサージなどにより、
徐々にその断端部は成熟してきます。
 我々は、成熟、という言い方をしますが、少しずつ断端部に固さが出てきて、細くなり、
少しずつその断端部が一定の大きさにて落ち着いてくるのです。
 そうなるまでには切断後、個体差があり、だいたい数ヶ月はかかります。

いずれにしても、1-2ヶ月位たった時期より、医療保険による義足の作成が行われます。
そして、その義足のことを、仮の義足、という意味で、仮義足(かりぎそく)と呼んでいます。

 この義足を装着して、立位練習などを行うことで、断端部はより成熟していきます。

残念ながら、制度上、6ヶ月経つと、その患者さんは病院を退院するしかないのです。

 ここからは、訪問リハビリのセラピストの出番となります。

ここで退院してきたNさんの義足は、まだ、仮義足です。その後、半年から1年くらい経つ間に、
断端はさらに成熟し、だいたい断端部の大きさは固定してきます。

 そうなると、訪問リハビリのセラピストは、仮義足を作成した義肢装具士さんや、主治医と
相談しながら、 本義足 (本当の義足、とでもいいますか) の作成を行います。

 この時には、Nさんは身体障害者手帳を取得していますので、医療保険ではなく、手帳からの
補助にて義足を作成します。手帳がない場合は、介護保険にて作成するわけです。

 本義足に関しては、意外にも利用者さん本人やその家族、そして、退院してから関わる
ケアマネージャーさんもその手順や制度に関して知らないことが多いので、我々セラピストが
しっかりとフォローしてあげる必要があります。

 ここでやっかいなのは、訪問リハビリというのは、週に1-2回程度のことが多いため、
病院に入院中に行えるほど、細かなチャックや、義肢装具士さんとの打ち合わせが行えないのです。
場合によっては、義肢装具士さんと一度も顔を見合わせることなく、電話や書面にて、
その利用者さんの断端について、義足の適合について相談しながら作成することになります。
PTB.jpgシリコンライナー2

 だいたいにおいて、仮義足の時と同じ形式の義足を作成します。
現在は、以前のように、膝関節にて牽引するPTB義足(patellar tendon bearing)
という左図のようなタイプでなく、
断端部全てで体重を受け止めるタイプ、TBS(Total Surface Bearing)という右図の形式をとります。

 その際、ライナーと呼ばれるシリコーンやウレタンで造られた袋を断端に被せて義足を装着します。
ライナー(主にはシリコンライナーといいます)は、皮膚とソケットのズレによる摩擦を減少させる、
義足から伝わる衝撃の緩衝材として働く、部分的に加わる圧を分散させるなど、
断端への負担を軽減させ、断端を保護する効果もあります。
 このライナーには、ピンがついており(写真だと少しわかりづらいですが)、そのピンが、カチカチカチと、
義足に刺さるような感じで、固定されるのです。

 ちなみに、写真の右側は、いわゆる本義足のタイプで、その外側の部分を削り取ると、
左図と同じような仮義足のタイプのアルミの支柱が現れます。

 お値段ですが、、下腿義足は、1足 平均35万円くらい(15-60万円)
            大腿義足は、1足 平均74万円くらい(50-120万円)
            股義足は、 1足 平均81万円くらい(60-95万円)
という資料がありました。入院中を例に取ると、一度本人が、全額を負担し、その後、医療保険
より、7割程度返還があります。残りの自己負担分に関しても、限度額があります。
(自己負担分に関しては、個人の保険の状況や世帯の状況などにより、また市区町村により差が
出てしまいます)

 Nさんの場合をみても、仮義足が退院後は徐々に足に合わなくなり、本義足を作成するために、
かなりの時間を割いて、本義足作成までこぎつけました。
セラピストは、義足を装着した際の立位姿勢、断端部への圧のかかりかた、歩行の姿勢や
歩行の評価、など、しっかりと行います。

 ただ、そのように、断端部に適合した義足を使用しないと、ソケット(下腿を入れる義足側の部分)
と断端部の間に摩擦が生じてしまい、傷ができてしまします。

 切断を余儀なくされるような方の場合は、一度傷を作ってしまうと、その傷が治るまでは再び義足を
使用することができなくなってしまい、また、その傷自体も、治るのに健常者と比較するとかなりの
日数を要するのです。

 Nさんが本義足を作成したのは、退院してから約1年、つまり、切断してから1年半ほど経ったからでした。
このNさんの下腿義足での歩行に関するポイント、両足とも義足の人の立位について、
切断の方のリハビリの特徴については、、、、すみません、
また後日述べたいと思います。

あれから7年たちました

おはようございます。

 7年前、世間で何があったかなど、ほとんどのかたはピンとこないかと思います。
本日の新聞紙面にていろいろ話題になっているかと思いますが、
山中教授が iPS細胞の作成を、ヒトにて成功させてから、7年たちました。

 まぁ、万能細胞、という響きは、日本以外のひとにはピンと来ないでしょうが、日本人は
かなり期待できそうな音の響きになりますね。

 受精卵から作る従来の万能細胞が抱える倫理的な問題、移植後の拒絶反応の課題をクリアし、
あとは、その増殖中にがん細胞になったり、思わぬ組織にならないよう研究がされていた
はずです。 今回も、 最近話題の 理化学研究所 のチームが目の難病(加齢黄班変性)に
対して移植手術を行ったようです。

 今後、2018年までには、
脊髄損傷の治療     (慶応大)
パーキンソン病の治療 (京都大)
心不全の治療      (大阪大)
目の難病治療      (理化学研究所)

が行われ、それ以後、 骨折や関節症に対しても、iPSによる臨床研究が開始されるとのことです。

つまり、神経細胞や心筋、骨、軟骨レベルにいたるまで、iPS細胞による治療が期待できるように
なりそうです。

最終的には、脳卒中の脳細胞や血管レベルにまで対象が及ぶことになるかもしれません。

従来ならば運動麻痺を呈していたヒトが、改善するというのは、われわれセラピストにとっては
ものすごい変化です。
骨折に対しても、人工関節、人工骨頭、髄内釘などという用語はなくなってくるかもしれません。
そうなると、従来の、病後のリハビリというよりは、再生治療前のリハビリが主になるのでしょうか。

まぁ、このような研究は、どうせなら、日本に縛られず、世界各国が参画してのものであってほしいです。
再生医療を知的財産として日本の特許にしようとする国策がなんとなく感じられ、お金の匂いも
感じられるのは残念なことですが、まぁ、今後1兆円規模の支援を行うということですので、
それができる国、というのも少ないのでしょう。

ただ、そうなると、われわれセラピストの仕事内容も変化するでしょうし、難病への対応の仕方も
リハビリテーションのあり方も変わってくるでしょう。仕事がなくなってしまうという危機感よりも、
そういう医療分野の変化がどの程度となるのか、そのほうが楽しみな感じです。
その頃までには、遺伝子レベルでの治療方法も別ルートで現在より発展していると思いますので、
ヒトは良くも悪くも、長生きできるのでしょう。
元気で長生き、ならこれにこしたことはないのですが、、果たして、、。


よくある話? 長生きと現実

こんばんは。

 本日のお話は、アルツハイマー型認知症・高血圧症の82歳の
女性の利用者さんKさんです。

この方は、つい半年前までは、都内の都営住宅にて一人暮らしをしてきましたが、
徐々に認知機能の低下が進み、隣に暮らす人からものを取られた、お金をとられた、
という物盗られ妄想が強くなったことがきっかけで、長男宅に引き取られる形で
お引越しをしてきました。

 その後、私の所属するデイケアに通うようになりました。身体機能的には、
歩行も伝い歩きレベルですが、見守りレベルにて行える方です。

Kさんは、長男夫婦と同居を始めてから、嫁さんに気を遣ってしまい居心地が悪い。
どうすれば老人ホームに入れるのか?
とリハビリの個別訓練を行うたびに真剣に聞いてきます。
私の方は、ケアマネージャーさんに相談してみては、というのですが、
本人いわく、ケアマネージャーさんは嫁とこそこそ相談していて、
自分の知らないところで勝手に自分の人生を決めようとしている、と不信感まるだしのようです。

 Kさんには、子供が3人いるのですが、3人とも男性です。そのことについても、
あー、女の子が欲しかった。男の子は年寄りをかまってもくれないし、話も聞こうとしない。
そして、私の年金を息子夫婦は勝手に使っているに違いない。とこういう具合です。

 まぁ、認知機能の低下もある方ですので、話は半分に、という感じです。
このような、2世帯で暮らすことに対しての、不満や愚痴などは、リハビリの最中にはよくでる話なのですが、
Kさんの場合、その同居している長男夫婦の娘にさらに子供が生まれ、
Kさんにとってのお孫さん夫婦と生まれたばかりの曾孫さんが、
長男夫婦の家に越してくるという環境の変化が生じました。

 こちらとしては、まぁ、家の中が賑やかになって、かわいい曾孫さんも生まれて、本当によかったですね、
というほかないのですが、Kさんは、曾孫さん誕生以降、かなり顔つきが険しくなり、
今まで以上に、自分は周りから無視をされ、食事も一人でとらされ、お金も取り上げられ、
まったく自由がない、と愚痴をおっしゃることが多くなりました。

 アルツハイマー型認知症とは、専門的に言えば、老人斑(βアミロイドというタンパクの一部)と
神経原線維変化が脳内にて著しく出現し、その蓄積により脳の細胞が死んでしまう
という症状が有力な説明となっています。
 主な症状は記憶障害であり、特に、遅延再生という面が最初に障害されます。
例えば、長谷川式簡易知的機能診査スケールにて使用されるのですが、
3つの物の名前を言ってそれをすぐに復唱させ、続いて2つの別の質問をしてから、
また先ほどの3つの物の名前を言わせる質問があります。
 この質問に対して、即時再生(最初の質問への反応)はばっちりなのに、
少し間をおいて同じ質問をすると、忘れているのです。これが、遅延再生です。

 また、先にあげた物盗られ妄想も主な症状として早期から見られます。
以前は3-4年で亡くなるとされていましたが、現在は10年以上の余命となっているようです。

 この診断を受けると、本人はもちろん、その家族にとってもショックな事ではありますが、
その診断にかなり感化されてしまい、この親はもうだめだとか、嘘ばかり言ってとか、
そのような心構えとなってしまいがちです。

 ただ、私が感じるに、このKさんは、家族の話をしているときは、
比較的記憶をたどってきちんと順序立てて説明をすることができています。
もちろんその日によるムラはあるのですが、内容的な矛盾は少ないように感じます。

 3世帯家族となってからは、とにかく本人が孤立感を訴える機会が増えており、
そのためにさらに表情が険しくなってきています。

 自分はやっかいものだとか、自分の年金を子供たちが自由にしているとか、
一人だけで老人ホームに入りたいとか、このような話は、本当によく聞かれます。
こういった話は、病気に関わらず、普段からの本人と家族との関わり方の希薄さ、
家族という単位の複雑さをいろいろと表しており、セラピストがどうこうできる問題ではないのですが、
今の世相を表すよい鏡なのではないかと思います。

 まぁ、おそらく、息子夫婦としては、自分の母親よりも、自分の孫がかわいい、
となってしまうのでしょうが。。。



体幹へのアプローチ ~詩吟と日本舞踊への賛美~

こんばんは。

 本日は、どちらかというと、セラピストの専門性の分野にあたりますが、体幹筋へのアプローチ
について述べたいと思います。

 体幹筋というと漠然としていますが、体幹の安定に働く筋肉には、
身体の内側の筋肉 (インナーマッスルとかインナーユニットとか格好良く言う場合もあります)と、
身体の外側の筋肉 (アウターマッスルとかアウターユニットとか格好良く言う場合もあります)があります。

 いわゆる、体幹の安定性に関わるインナーユニットとしては、細かい言い方をすれば、 
  「腹横筋」「横隔膜」「骨盤底筋群」「多裂筋」といった筋肉があげられます。

 アウターに関しては、皆さんもよく聞く、いわゆる腹筋 (腹直筋・腹斜筋) ・ 背筋 がそうです。

 体幹筋が弱い人は、例えば、それにより腰痛が生じていたり、起き上がり動作がなかなか
できなかったり、立位姿勢が悪かったり、バランスが悪かったり、嚥下機能が悪かったり、と、
そこから派生していろいろな症状が生じるわけです。 

 つまり、体幹へのアプローチというのは、我々セラピストにとって、その人の身体機能面を向上させる
ために、かなり重要なことです。その中でも、インナーユニットへのアプローチというのは、特に大切です。

 では、どのようにして、体幹筋を鍛えていけばよいのでしょうか。

 一般的には、腹筋運動を頑張る。背筋運動を頑張る。 → こうなると思います。これも大いに正解です。
ただ、我々セラピストが相手にするのは、なかなか思ったように腹筋運動や背筋運動ができない
高齢者が多いので、そういったシンプルな運動以外にも考えていかねばなりません。
以下に、その一例ではありますが、あげていきたいと思います。
 
 ① 背臥位 (仰向け)の場合
   ・ 仰向けの状態で、腹式呼吸を行う。苦手な人には、水を入れたペットボトルなどを
     お腹に置いて、(吸気の時)お腹を膨らましたり、(呼気の時)へこませる。
   ・ 枕をして、頭をベッドマットにつける。 息を吐きながら、顎を引いて、おへそを見る
   ・ 顎を少し引いて、膝を立てる ⇔ 膝を伸ばす (呼吸をゆっくり行う)
   ・ 膝を立てた状態を維持して、セラピストが抵抗をかけても維持し続ける
   ・ 両手で身体の右側から左側に、お手玉を移動させる

 ② 長座位 の場合  (足を伸ばして座った状態のことです)
    (これを維持できる人は高齢者には少ないですが、膝は必ずしも伸ばしていなくてよいです)
   ・ 長座位を保ったまま、両手を上げたり下げたり、足の左右でお手玉を移動させたりする。
   ・ 長坐位を保ったまま、前に移動したり後ろに移動したりする(お尻をずりずり移動させる)

 ③ 座位 の場合
   ・ 右や左に片手を伸ばしていく。臀部は浮かない程度にする。骨盤を左右に振るイメージ
   ・ 前後、上下、左右に輪入れなどを行う。片手でも、両手でも。
   ・ 骨盤を正しい位置に保ったまま、片足ずつ、もも上げをする。膝伸ばしをする。つま先立ちをする
   ・ セラピストが後ろについて、骨盤を動かしたり、肩を動かしたりして、バランスをわざと崩す。
   ・ セラピストが後ろにつき、後方へゆっくりと倒れてもらう

 ④ 立位の場合
   ・ 正しい立位姿勢のもと、片手、両手を伸ばす。
   ・ 片足を5cm程度の台座に載せ、その片足立ちの状態を維持する。その姿勢で手を伸ばしてもよい
   ・ ゆっくりとしたハーフスクワットを行う

 ⑤ 四つ這いの場合
   ・ 四つ這いを維持する
   ・ 四つ這いの姿勢から、手や足を伸ばす。片手、片足を同時に伸ばす
   ・ 四つ這いの姿勢から、骨盤を上下に動かす、腰が痛い場合は無理しない

 さて、これらの動きは、ほんの一例ですが、これらは全て、セラピストのもと正しく行えば、
いわゆる体幹筋を鍛えることにつながります。
 特に難しいけれども、かなり効果があるのが、長座位での前進・後退のずりずり運動や、
四つ這いでのバランス練習です。

 いずれにせよ、お年寄りが相手の場合は、
外側の腹筋がきれいに割れた見た目の素晴らしい身体に鍛えあげる必要はないので、
とにかくインナーマッスルを意識して、体幹へのアプローチを行います。

 細かい理屈はさておき、上記の記述には、上肢を用いることが多く書いてあります。

例えば、立っている姿勢から、右手を前に上げるとします。
すると、右手を上げるために働く筋肉は、まずは肩の周りにある筋肉か、というと、そうではないのです。
上げようと意識した時点、いやその前段階で、まずなによりも、腹横筋という、上記にあげた
インナーマッスルが働きます。
そして、立位の場合はヒラメ筋という下腿の筋肉が働きます。
その上で、ようやく肩の周りの筋肉が働いて、腕が前に上がります。

そのようなメカニズムを、セラピストは考えながら、輪入れなどを行なっていたりするわけです。

私の経験としては、インナーマッスルの強いなぁ、と思った利用者さんは、
過去に詩吟の先生をされていた方と、日本舞踊の先生をしていた方です。
この方々は、それぞれ、かなりインナーマッスルが強いようで、90歳を超えても、普通の腹筋運動が
かなりスムーズに行えていました。
詩吟に日本舞踊、恐るべしです。

半日デイ? 一日デイ?

こんばんは。

 本日のタイトルに、 ’ デイ ’ という言葉を用いました。

 デイ とは、我々介護保険の分野で働くものにとっては、 デイサービス / 通所介護 を指す言葉です。

 そして、デイサービスの種類というよりは、そのデイサービスの利用時間によって、7-9時間ほど利用する
いわゆる一日デイと、 午前中、または午後の数時間のみ利用する、いわゆる半日デイ に分けられます。

 一日デイというのは、いわゆる従来のデイサービスです。利用者さんは、朝8時から9時頃、送迎車に迎えられ、
デイサービスの施設を最大7-9時間利用することができます。 利用者さんは、その利用時に入浴をし、
場合によっては、運動指導員 
 ( これは、理学療法士や作業療法士といった、国家資格を有するセラピスト
   だけでなく、マッサージ師や看護師などもある程度の時間、講習を受けることで得られる資格です。
    よって、ここでいう指導員は、プロフェッショナルとは言い切れない面がありますのであしからず)
による個別機能訓練を受けることができます。その訓練時間は施設によってまちまちのようです。

 この従来のデイサービスは、通所介護という言葉が示す通り、
 利用者の社会的孤立感の解消や心身機能の維持・向上を図ると同時に、
 介護者である家族の心身的な負担の軽減を目指し、利用者の自立した在宅生活を支援するための
 制度です。最近はそれに加えて、個別機能訓練も行う施設が増えていますが、内容的には、
 簡単なストレッチやマッサージなどが中心となっているところが多いようです。

 一方で、半日デイ というデイサービスの存在が、最近は増えているようです。
午前、または午後にその施設に行き、そこで、主にマシーンを利用して、
体力の維持や改善、運動機能の維持や改善を図るということを主眼においたサービスとなっています。

 そこには、スポーツジムで見るような、数台のマシーンが置いてあります。
カタカナ英語で説明すると、レッグエクステンション、レッグカール、チェストプレス、ショルダープレス、
アブドミナル、バックエクステンションなどなど、あとは、プーリーといった、リハビリ病院でおなじみの
肩の運動用の器具など。
 それに加え、マッサージとリラクセーションを兼ねた、ウォーターベッドなるものもあるようです。

 利用者さんからしてみると、介護度の低い人や、要支援の方々は、これらの機械で
運動することで、 あー運動したー となることが多いようです。
また、長い時間のデイサービスにて、認知症の方や重度の疾患を持つ方々と一緒にいるよりも、
ある程度話のできる、障害の度合いの低い利用者さん同士でお話を楽しめるという側面もある
ようです。

ただ、この半日デイは、利用上の注意点があります。
 
 たいていの半日デイの施設には、リハビリのセラピストか、運動指導員がいるようですが、
機械だけに微調整や徒手的な応用が効かず、特に脳卒中の後遺症のある方などは、
麻痺側の筋肉の緊張(こわばり)が強くなり、日常生活や動作にに支障がでる場合もあります。

 リハビリテーション病院から退院後、半日デイにてガツガツと運動を行ってきた脳卒中患者さん
の中には、筋活動の左右差が広がり、腰痛などを併発したり、歩行時にかなり麻痺側の筋緊張
(こわばり)が上がってしまうかた、などがいらっしゃいます。

 もし、きちんとしたセラピストが半日デイに勤めていて、そのような利用者さんを創りだしてしまった
場合は、もちろんそのセラピストの責任だと思います。ただ、セラピスト以外のものが指導する
場合もあり、そういった場合は、利用者さんにとっては悲劇的な結果になる場合もあります。
必ずしも、という意味ではありませんのであしからず。

 いろいろな形でサービスが利用できることは、非常にすばらしいことです。
特に、介護保険は、利用者が主体的に選択し、利用するサービスですので、その選択肢が
多様性を持つことは大切なことです。一方で、自分の身体機能に見合ったサービスを利用すること
は、非常に難しいと考えます。

 ケアマネージャーも、そこまで身体機能面には明るくないはずです。やはり、地域でのサービスを
利用する場合は、退院前に十分に医師や療法士といった専門家と相談し、
その後のサービスの利用について、アドバイスを受けることが大切となるでしょう。

 私としては、自分のところの宣伝ではありませんが、半日デイをよしとするレベルの利用者さんで
あれば、まずはデイケア(通所リハビリテーション)や
訪問リハビリを利用することを検討してから、
その後、身体機能を維持することを目的として、デイサービスを検討することが望ましいと思います。
 

減量と食事について

こんばんは。

 本日は、減量に関して述べたいと思います。

デイケアや訪問リハビリにて利用者さんとお話する際に、よく、痩せたいけれどもなかなか痩せない。
自分は水を飲んでも太る性質だ、というような話はよく出てきます。

また、合併症として、糖尿病を併発しているような利用者さんに関しては、もう少し深刻なレベルで、
食事療法と運動療法の併用について、その効果について聞かれることがあります。

 実際、男性にしろ女性にしろ、身長が150cm~170cm程度の利用者さんのなかで、そのように
減量の話が出るのは、だいたい体重が65kg~75kgを超えているケースが多いようです。
そして、皆さんの年齢は、だいたい70歳以上の方が多いようです。

 高齢者にとって、体重が増えることは、いろいろなリスクを上げてしまうことになります。

 転倒時の骨折リスク、歩行時のフラつき、膝や股関節の荷重時の痛み、運動耐久性の低下、
起き上がりや寝返り動作など基本的な動作の安定性の低下、介助者の介助量の増大、
などなど、あげればきりがありません。
 また、もちろん、内部的なもの、つまり血液の状態の悪化や呼吸や摂食、排泄、消化器官の負荷の
増大など目に見えない部分でのリスクも当然生じてきます。

 さて、そのようなひとの食生活は、決して若い頃のような暴飲暴食ではありません。ただ、いかんせん
基礎代謝が少なく、運動量が少ないため、必要とするエネルギーは非常に少ないのです。
一方で、過去からずーっと食べ続けてきた胃腸が求める食事量は、極端には減ることはありません。
よって、なかなか 減量 というまでには至らないことが多いのです。

 ただ、運動療法の専門職としてのリハビリスタッフとしては、運動に関しての注文は出すのですが、
一方で食事に関しては、栄養士さんではないので、なかなか細やかな対応は難しいのが現実です。
ただし、普段のリハビリにおいても、本当にこの減量というテーマはよく出てくるため、
何かしらその対応を行うことがあるのです。

 現在は、携帯電話が普及しているため、デイケアの利用者さんの一人からは、毎日の食事を
携帯の写真に収めて、それをこちらに来た際に、スタッフがデータを取り込み、
一日一日の食事に関してお話をする、などという試みもできるようになっています。

 この方は、以前は一家の主婦として家事はもちろん食事を作っていた方ですが、
この方が60代にて脳梗塞にて倒れて以来、食事はほぼ、お弁当という生活になってしまいました。
本人が買いにいけないため、息子さんが買いに行くのですが、どうみても揚げ物と炭水化物の
多いスーパーの食事を購入してくることが多いようです。
 60代の親を世話する子供の年齢は、だいたい30代ですので、そうなるとまだまだ食べられる世代です。
親の食事のカロリーだ内容だとは、真剣に考えて購入してこないような場合も多く見られます。

 その結果、退院直後の体重55kgから半年後には、79kgまで体重増加してしまいました。
 
 また一方で、カロリーまでしっかり計算されているはずの宅配での配食サービスを利用している人たちも、
その弁当が徐々に美味しくなくなった、とか、煮物が入れ歯では噛めず、硬すぎる、だとか、
塩分が控えめすぎて味が薄すぎる、
とか、いろいろと注文が出てきてしまい、途中でやめてしまう方も少なくありません。

 運動療法はさておき、食事療法に関しては、我々セラピストはなかなか対応に困ってしまうことが
多いのです。

 ************
さて、ここからは、閑話休題し、テーマを替えてみたいと思います。

ひとは、どの臓器から老化するのか、という点に関して、調べてみたことがあります。

身体の中の臓器は同じペースで老化していくわけでなく、老化のペースメーカーというものが
あります。

 心臓は、1分間に5リットルの血液を送り出しますが、その心臓そのものは、全体の5%しか
血液を使わないのです。
 では、脳か?違うのです。

 1位  消化器       30%
 2位  腎臓         20%
 3位  脳 と 骨格筋   15% 

つまり、消化排泄・排尿という行為がいかに大切であるか、つまり、食べることがいかに大切であるか、
ここで示されています。まあ、確かに、食べると頭はぼーっとします。
消化器への血流が頭よ優先されるからです。

 最近の研究で、 細胞が増殖するときのを止める働きをするp16というタンパクについて知られるように
なりました。 これはつまり、 がん細胞とは対極にある、がん抑制遺伝子の一つです。
がんは、細胞分裂がとめどなく行われる結果のもの、一方、 このp16は老化をすすめるもの。

 がん と 老化 は正反対の関係にあるのです。

年齢を重ねると、上記の老化のタンパクは、 腸 と 腎臓 にあらわれます。 
つまり、
腸と腎臓は最も早く老いるわけです。 つまり、 血流が多い、血管が多いことから考えて、
ひとは、血管と共に老いるともいえます。

 食べること・排泄すること は、ひとにとって毎日必要なことですが、 一方でそれに関わる器官が
もっとも老いやすいらしいのです。

 実際、他の資料からも、腎臓は老化度を示すという記述は多いようです。そして、腎臓の悪い人は、
脳卒中や心不全も生じやすいとのことでした。

 我々は、1年間に約1トンの食物をとっているらしいのです。 食べ続けて生命を維持するために、
とにかく消化器系が発展し、その援助をするために神経系が発展したようです。

 実際、受精卵から最初に形作られる臓器は、腸 というわけです。

 また、我々は、物を食べている時、エネルギー使用量が安静時よりも25%も増大するのです。

 最後に、余談ですが、同じだけのカロリー価のものでも、生で食べるのと調理したものでは、
 ナマの食べ物の方が体重が増えにくいようです。
 
 生食が吸収されにくいことを利用し、ダイエット法としても活用されているらしいです。
 まぁ、食中毒になる危険性も考えると、あまり年の方には勧められませんが ^^;




立位姿勢の観察

こんばんは。

 本日は、立位姿勢について述べたいと思います。

 我々リハビリのセラピストが、利用者さんの姿勢を評価する場合に、いったいどのあたりを着眼している
のだろうか、という疑問をもつ家族のひとは、、、まぁいないと思います。

 ただ、我々は、初めてその利用者さんと接する際に、その方の医療情報や生活情報などに関しては、
だいたい頭に入れていますが、身体機能面に関しては、あまりそれまでのリハビリの経過や報告書ばかり
をあてにせず、まずは、現在の、今の、ありのままの、そのひとの身体状況を見たいと思うわけです。

 医師にももちろん言えることですが、医師の場合は、診察室に患者を呼んで、まずは丸椅子に腰掛けさせて、
それから本人に向き直る場合も多いようなので、さっと視診をしてそのひとの姿勢を評価することにかけては、
おそらく医師よりもリハビリセラピストの方が一歩先んじているかと思います。

 さて、その立位姿勢についてですが、我々がどのような点を見るかというと、

● 良い姿勢 (ニュートラルポジションともいいますが) かどうか

   つまり、 
    力学的に、 頭部、体幹、四肢の体節の各重心を統合した
   < 重心線 > が
   < 支持基底面 > (2足で起立した時には両足底とその間の部分を合計した面積) の中に
   落ちているかどうか

   運動生理学的に、
   < エネルギー消費量が少ない姿勢 > < 最小の筋活動による姿勢 > かどうか

ということをチェックします。

   大雑把に言えば、
       なるべく力を必要とせず、楽に立っていて、左右バランスよく、かつ、安定感がある

   細かいことを言えば、
 < 正面からみて >
   ・中心軸
   ・両肩の高さ
   ・骨盤左右の高さ (ASIS、腸骨稜)
   ・膝の位置(O脚、X脚、XO脚など)
   ・足の幅
   ・つま先の方向
   ・足底のアーチ (これは前からだけでなく横からも見ますが)
   ・体幹が回旋してないか (これも、前からだけでなく横からも見ますが)
 < 側面からみて >
   ・外耳孔(乳様突起)、肩峰、大転子、膝やや前方、外果やや前方が一直線上になっているか
   ・脊柱のS字カーブ
   ・胸郭の開き
   ・肩のアライメント (肩甲骨などの位置も観察します)
   ・頚、頭部の位置
   ・足の前後の位置
あと、骨盤の傾きなどもみます。 つまり、細かいです。

 まぁ、大雑把には見ています。

ひとは、重力のもとで生活をしています。
この条件のもとでは、ひとは、基本的には以下の条件にて安定性を得ています。
つまり、

 ① 質量
 ② 身体重心の高さ
 ③ 支持基底面     

この3点です。

 立位姿勢

 さて、例えば、この図を見てみます。まぁ、普通のひとを側面から見たとして、
我々は、別に骨が透けて見えるわけではないですが、なんとなくイメージしては見ています。

 あなたならこの2つの図をみて、姿勢の良し悪しをどう判断しますか?
 矢印などは、その特徴を表すヒントにはなります。

 注目すべきは、骨盤の傾きです。 我々が言うところの、骨盤前傾 ・ 骨盤後傾 という視点です。

 実際は、aのひともbのひともあまり良い姿勢とはいえません。

 細かい説明は今後また追加するとしまして、図ののような方、よく見ませんか?

 骨盤が前傾すると、腰椎が伸展し、その影響で胸椎まで波及し、上方に拡張しています。
              股関節は屈曲・内旋し、膝は伸展・外反して、いわゆるX脚に近づきます。

 骨盤が後傾すると、腰椎が伸展しにくく、胸椎は拡張せず、その影響で頸部の伸展は強まります。
              股関節は伸展・外旋し、膝は屈曲・内反して、いわゆるO脚に近づきます。

 日本人では、膝や股関節の変形症が多く、膝でいえば、O脚が多く見られます。
 つまり、骨盤の後傾からくる連鎖的な身体の姿勢の変化は、かなりいろいろとした身体機能面の
 変化へとつながります。

 このような話は、 運動連鎖 という項目で、今後取り上げたいと思います。

 いずれにしても、骨盤後傾により、図bのような体幹や頸部の姿勢をとることで、ゆくゆくは、
 呼吸運動 ・ 肩関節の動き ・ 摂食動作 などに影響が及びます。

 首をうんと後ろに反らせて、顎が上がって座っている老人をよく見ると思います。口もやや開いています。
 このような方は、えてして骨盤も後傾しており、なかなか正常の位置に戻せません。
 また、頸部が上がると、気道や食道も塞いでしまい、 嚥下(ごっくん)する力をうまく引き出せず、
 誤嚥の危険や摂食動作の困難につながります。

 このように、立位姿勢から、そのひとの食事まで推測したり、膝や腰の痛みや張りまで推測できるのです。
まぁ、実際には例外も多いのですが、大雑把な見方だけでも、得られるものは多いのです。

 




    

空き家の実態

こんばんは。

 今夜はひとりごとです。

 全国の空き家は昨年10月時点にて 820万戸 住宅総数に対しては 13.5%とのことでした。

 地方での空き家率はかなり高いようですが、
 東京都に関しても、2008年には45年前の15倍にあたる、186万戸に達し、11.2%とのこと。

 ちなみに、首都圏に限って言えば、 千葉県 が空き家率のトップ、13.1%とのことです。

 全体の空き家所有者のうち、売却や賃貸を考えているひとが、24%程度で、
 70%程度の方が特に何もしていないまま放置しているとのことです。

 空き家をそのままにしておいて何が悪いか?と思いますが、実際には、
 放置された家屋はあっという間に雑草に埋もれ、シロアリに蝕まれ、腐敗します。

 ゴミ捨て場のようになる個人住宅もあります。すると、まず、火災の原因となる危険があります。
 2012年の、全国の総出火件数は44102件あり、そのうち、出火原因の一位は、
 放火です。 放火の疑い も合わせると、5件に1件の火災が、放火のようです。

 また、家屋倒壊のリスクが高まると、地震や台風などの被害にて、二次災害につながる危険もあります。
 そういった意味で、空き家の増加は、地域全体の資産価値も低下させてしまいます。
 
 家屋の撤去を、その所有者に対して、行政は指導するようですが、更地にすると、
 その所有者にかかる固定資産税が一気に跳ね上がることも(3 ~ 5 ・ 6倍)も原因でしょう。

 ************

 さて、なぜこのような話をつぶやくかというと、首都圏で自分のような仕事をしていると、
 一人暮らしの老人が非常に増えてきているな、という印象がすごく強くあります。
 そして、そのひとが亡くなった後、この家はどうなるんだろうな、とか余計なことも考えたりします。

 そして、その印象を裏付ける数字を、新聞等で見かけることが多くなってきていることもまた事実です。
 一人暮らしの高齢者は2010年は約500万人だが、
 2035年には約760万人に増えるとのことです。
 東京都内だけに限っても、2010年の約65万人から、2035年の約105万人に増えるようです。

 これは、都会に出てきた団塊の世代が、配偶者との死別などを迎えることで一人暮らしになるケース
 が多いようです。
 
 一人暮らしの老人にとって大変なのは、身体機能の低下や病気などを持ってしまうと、
 外出機会が減ってしまい、心理的にもますます孤立化を深めていく、周囲との関わりも減っていき、
 地縁的な関係性も低下していくと、悪いことずくめとなってしまします。

 具体的な例をひとつ上げると、介護サービスを受けている利用者さんであっても、一人暮らしだと、
 お金を銀行から下ろすようなこともできず、現金を手元においておけなくなり、ちょっとした出費に
 対して前向きになれなかったり、介護サービスの利用料の支払いさえ、困ってしまいます。
 お金の出し入れなどに関しては、介護サービス提供側は手をだせないことが多いので、多くの場合は
 家族や親族が介入してくださるのですが、その関係性すら希薄となってきています。
 
 今は、まだなんとかなる、くらいの感覚で世の中が回っているかもしれませんが、地域で仕事をしている
 われわれセラピストや医師、看護師、介護フタッフなどは、実感として、これはやばいな、と感じています。
 
 私の所属する診療所は、近くの団地の一人暮らし老人の家の電話に、1日に1度電話をかけ、安否確認を
 行っています。
 ただ、これは一人の医師が順次行うのは非常に大変なことなので、電話の自動応対機能を利用しています。
 何かあれば、相手からの連絡を受けることができたり、相手が反応しなければ、そのこともわかります。

 地域の医師は奮闘していますが、その医師自身が、このような小手先のチェック体制には
 限界があると述べています。

 お一人様の老後は、現在、現役世代として働いている我々にとってもすぐそこにある危機であることには
 かわりありません。
 そして、その危機は、国や自治体が様々な対策をとっていることとは思いますが、そうはいっても
 まず確実にやってくるでしょう。

 こうすれば良い、などというものではないので、あくまで、つぶやきです。

 今、フィリピンは、出生率が3.0程度あり、年代別の人口のあり方も、きれいなピラミッド型であり、
 国民の平均年令が23歳程度だとのことです。
 国により、だいぶ形が違い、立場が違うことをつくづく感じています。

 なるようにしかならないですし、長い目で見れば、なるようになるのでしょう。

 数字を見ているだけでは、ピンと来ないことの一つが、上記のような話です。
 
 今夜はあくまで、その変化を具体的に、直接感じる仕事をしている身としてのつぶやきです(笑)

 
 
 

がん治療経験者 と 食事

おはようございます。

 先日、医療保険として訪問リハビリを行っている、乳がん術後の利用者さん、Fさんとの会話の中で、
次のような場面がありました。
 
 この方は、3ヶ月に1度くらいの頻度で、とある大学病院の乳腺科に通い、血液検査の結果などを
主治医に診てもらっているのですが、この検査結果を私の方でもある程度チェックをしました。
白血球や炎症反応の値などは問題なかったのですが、鉄分がかなり低めでした。

 私   : お肉やお魚などいろいろ食べて、鉄分もとれるといいですね。
 Fさん : 私はお肉やお魚は病気になって以来、食べません。
 私   : 今回、鉄分を補うために、先生から何か提案ありましたか?
 Fさん : 魚の内蔵とか、レバーとか食べなさいと言われました。当然食べません。
 私   : マグロのお刺身なんかも嫌いですか?
 Fさん : がんの人は生ものは絶対ダメなのですよ。それってお刺身なんかしばらく食べてないです。
       食べていないと平気になります。

とまぁ、端的にこんな感じの会話になりました。
 私は、あなたはそんなことも知らないのか、というようなFさんの言い方に、少し違和感を覚えました。
そこで、婦人科系のがんを何度か再発させながらもそれを乗り越え、県内にてピア・サポート活動や
難病患者の訪問リハビリを行っている友人のセラピストにいろいろと聞いて、調べてみました。
 
 抗がん剤での治療中などでは、白血球の値が低下し、免疫力が低下することが多いため、
その最中などは、感染リスクの生じる食べ物は禁忌とする主治医もいるようです。
 基本的には、入院中は、栄養士の管理の元で食事を行い、医師や看護師、栄養士から、
食事に対するアドバイスを受けたりもします。そして、何よりも、本人やその家族の方が、かなり
熱心に、病院で行われる治療以外の方法をいろいろと勉強するわけです。
 ナマモノであっても、白血球が上がっているであろう時期は、友人は食べていたとのことです。

 がん患者さんの中には、食事療法に関しては、いろいろと試みて、ある意味こだわりの
強い方も多いとのことでした。

 ・まいたけを煮てエキスを飲む
 ・トマトを一杯食べる
 ・特別なジューサーを購入してニンジンジュースを作る
 ・焼いたバナナを食べる

などなど。ためしに食事療法とがんで検索してみると、かなりいろいろな情報が飛び交っていて、
それを商売にしている医師などもみかけます。
 基本的によく出てくるのが、玄米・菜食を中心とした食事です。

 Fさんの場合は、入院中に生もの禁、とインプットされた情報が、ずっとそのまま頭に入っており、
治療を終えた後も、その時の認識のままずっときているようです。
こちらもやんわりと、現在ならば、ある程度は良いのでは?とお話することもあるのですが、
本人は、何故か主治医の意見すらあまり聞いていないようです。
 その結果、娘さんも青白い顔をしており、どうやら学校の健康診断で、貧血と指摘されて
いるようです。母親の考えが、その家の食事に反映されるのですから、仕方のないことです。

 一般的には、
 ・ がんそのものを食事療法にて治療しようとするひと
 ・ がんを手術等にて治療後、体質改善や再発予防のために食事療法を行うひと

に分かれるようです。
私の友人も、がん経験後は、生産者の定かな有機野菜を自宅に届けてもらい、
それを調理してバランスの良い食事を摂ることで、予防のために気を使って食事をしています。

 そのことをFさんに話したところ、無農薬野菜などは、虫がついていて嫌だ。とこういう
反応をされてしまいました。なかなか困ったことです。

 ちょうど先日、24時間テレビで、はなちゃんのみそ汁 というドラマがあったようです。
そのドラマでは割愛されていたようですが、(見ていないのであしからず)
その原作を読むと、その女性は
 食事療法で2度目のがん治療を成功させましたが、その後、
 自身の免疫力を過信して医療による治療を拒否した結果、全身転移の発見が遅れたようです。

食事療法によってがんがなくなった、という記載や、食事療法の過大評価に関しては、
賛否があるようです。

 がんの方の食事に関しては、やはり、退院後も栄養士等の指導がしっかりと入ることが
望ましいと考えます。医師などは、治療をひと通り終えた後は、そのようなアドバイスは
行わない場合が多いようです。
 よって、本人が最初に植え付けられた印象を少しずつバランスの良い方に変えていくためにも、
がんの経験者には継続的なケアが必要なのだな、と強く感じています。

 Fさんが、食事に対するこだわりそのものにより、ストレスを生じなければ良いなと考えています。

和菓子職人のつぶやき

こんばんは。

 本日は、糖尿病、糖尿病性腎不全による血液透析を行っていた利用者さんで、
左下腿膝下の切断をされた男性、Tさん78歳のお話です。

 Tさんは、都内にて和菓子職人としてお店を経営し、弟子にその権利を譲って、
自宅にて療養の身でしたが、残念なことに2か月前に他界されました。
どうやら、和菓子職人であったために糖尿になった、というわけではないようですが、
かなりの大酒飲みであったことは本人が自負していました。

 お住まいのマンションは3階建てで、エレベーターがないため、住居のある2階からは、
調子の良い時は両松葉杖と義足にて階段を上り下りし、義足を装着して痛みが強い場合は、
家族や介護タクシーの運転手によるおんぶにだっこで何とか階段を上り下りしていました。
血液透析は、週に3回、透析に外出しなくてはならないこともあり、
このようなバリアのある建物では、その問題が生死を分けることもあります。

 さて、Tさんは、関東の和菓子と関西の和菓子は違う、とおっしゃっており、
西の和菓子より、東の和菓子のほうが、より甘く作ってあり、その砂糖の使い方にも差がある
と言っていました。
本当の和三盆などを使って、いい和菓子を作る職人や和菓子屋も、かなり少ないともおっしゃっていました。
いっぽう、京都周囲の人のほうが、和菓子を食べるにあたって舌が肥えている人が多いが、
全国的に、流れ作業で作られるお団子やお饅頭を食べる人が増えてきていて、
本物の味を見分けられる人が全体的に減ってきてしまっているのが残念だ、と述べていました。
 
 和菓子屋さんは、以前はお正月などは年越しのお祝いのための練り菓子の注文などで
大変忙しかったようです。鏡餅やのしもちなどは、大きい物だと10kg以上にもなり、
寺社や会社、場合によっては地元のやくざ屋さんなどからの注文もあり、
ある意味 稼ぎ時でもあったとのことです。初釜を行うお茶会へのお菓子の提供も忙しさの一つでした。

 そして、そのような忙しい際には、腕のいい和菓子職人は、引っ張り凧になり、
いろいろなお店にアルバイトに駆り出されるです。
ただの素人のアルバイトには和菓子は作らせない、これも和菓子職人のTさんがよくお話されていたことです。

 今も年末年始には忙しことには変わりないようですが、
景気のせいか、以前よりも会社からの注文が減っているようです。

 また、個人のお客様も、いわゆる馴染みの人が減り、お子様の誕生日や記念日などに、
家族や親戚を集めてお祝いをし、和菓子をお持たせにするようなことが減ったため、
和菓子屋さんの先行きは非常に怪しいと、こぼしていました。

 Tさんより聞いたお話のうち、小豆あんの元となる小豆について、興味深いお話がありました。
よく聞く、北海道産小豆という売り文句で売っているお饅頭やたいやきなどの小豆は、
実は多くは生産地はロシアだということです。
 これは、日本とロシアの契約により、日本の小豆の種をロシアの肥沃な土地を用いて生育し、
収穫したものであっても、いわゆる北海道産としてよいというルールができあがっているとのことです。
実際、ロシアの方が小豆の生育に適している面もあるとのことでした。
 これには驚きました。

 そして、日本で名のある和菓子屋さんなどが国産小豆として重宝するのは、
実は青森産の小豆だそうで、青森の小豆生産農家と、大手の有名和菓子屋さんは、
年間契約を結んで独占的に小豆を仕入れているとのことでした。
 
 昨今の物価高や輸入品の高騰を背景に、和菓子屋さんも個々の品物を
値上げせざるを得ない場合が多いようですが、その中で、大手の和菓子屋さんは、
国内での年間契約により安定した供給が見込まれるため、
羊羹などは値上げすることなく、店頭に並べることができるようです。
もちろん、もともとの値段も高い羊羹なのですが。

 話はそれますが、お団子に使うようなもち米なども、優良な和菓子屋では、契約しているところがあるようです。
お米どころとして我々が想像するような地名ではなく、
石川県や埼玉県という(石川県や埼玉県には失礼いたします)名前が上がっていました。
 こういったところのお米は、和菓子屋さんだけでなく、
優良なお寿司屋さんの職人からも常に買いが入るとのことでした。

 まぁ、私としては、全て知らない話であり、
はぁはぁと感心して聞いているだけなのですが、
その業界では非常に有名な話であり、常識的な話でもあるとのことで、
特に秘密にすることでもないようです。
 江戸っ子職人Tさんのご冥福を心よりお祈りしています。


心臓マッサージ → 胸骨圧迫

こんばんは。

 私は、つい先日まで、急な心停止を確認した人に対して行う緊急措置としては、

’心臓マッサージ’ をほどこす。  心マ=救急救命 と認識していました。

ところが、現在は、心臓マッサージ という表現はしないようです。そのことを知りませんでした。

現在は、’ 胸骨圧迫 ’という表現を使うようです。

 これは、心臓マッサージというと、どうしても左胸に心臓があるという誤解をしている方が多いようで、
左胸を圧迫したり、左乳房をもんだりする人が多いようで、その誤解を修正するために
胸骨圧迫という言葉に修正されたようです。

 では、急に呼吸停止してしまった人に対するこの胸骨圧迫に関して述べたいと思います。

まず、そのような場面に出くわした場合は、慌てない、あせらない、ことが第一なのですが、
経験から言って、これは実際には無理な話です。以前、24時間テレビか何かで、走っていた松村邦彦さん
というタレントが倒れた際、当時の言葉で心臓マッサージにより蘇生したというのがありましたが、
ああいう、そういう状態になりそうだという予感が働けばまだよいのですが、
基本的には、突然起こり、その場所も予測がつかない、というのが現実です。

 さて、胸骨圧迫を行うときに注意すべきことは、まずは、その対象者がいる場所がどこか、冷静に判断
することです。
 路上で倒れた場合は、その人が道路の真ん中であった場合は、蘇生術を行う側の人間にも、
車にひかれるなどのリスクが生じます。人助けをしようとして自分が轢かれたのではうかばれません。
よって、周囲は十分に確認しましょう。

 抑えるポイントは、誤解のないよう、左右の乳頭と乳頭の真ん中あたりです。
そこに片方の手のひらをあて、上からもう片方の指を絡ませ、肘を伸ばして、しっかりと圧迫します。
圧迫する力は、決して優しい力では難しいのです。4-5cm程度、胸骨を押し下げるつもりで
押す必要があります。そのくらいの圧迫でないと、心臓には届きません。
だいたいにおいて、老人の肋骨は折れるようです。

 どの程度押すの?という点に関しては、まず、3秒間に5回くらいのペースで圧迫します。
この際、あるラジオで医師が言っていたのは、
ドラえもんの音楽を頭に流しながら押すとよいとのことでした。
つまり、
 あんなこっといっいな、でっきたっらいっいな、あんなゆっめこんなゆっめ・・・
という音楽に合わせて押せばよい、とのことでした(笑)

 まぁ、緊急事態に気のゆるむ感じかもしれませんが、意外と合います。

 いつまで?という問いに関しては、、救急隊が到着するまで。。ということらしいです。
つまり、一度始めたら、やめないほうがいいとのことです。
だからこそ、一人では、かなり疲れる作業なので、複数が交互にやるほうがよいのです。

 人工呼吸に関しては、以前は、

 気道確保 > 人工呼吸 > 心臓マッサージ  という優先度があったようですが、

現在は、

 胸骨圧迫 > 気道確保 > 人工呼吸  という感じです。

人工呼吸を知らない人に行う場合は、感染のリスクがあります。マスクなどがない場合は、
必ずしも人工呼吸は行わないで良い、とのことです。 
実際、我々リハビリのセラピストも、訪問先において緊急事態が起こったとしても、人工呼吸は
必須事項とななりません。

 もし、相手をよくわかっている人が、人工呼吸を行うのであれば、
この胸骨圧迫 30回 に対して、 人工呼吸 2回 程度の割合でよいのです。

どうぞ ドラえもんと共に行ってみてください。

 現在は、AEDの普及が甚だしいので、基本的には、このような手法を取る前に、AEDを
探してください。
音声案内に沿って、3動作程度で相手の心臓にショックを与えることができます。

 ある新聞では、心原性心停止「心臓突然死」の発生数は年間5万9,001件。
しかし,同年度の一般市民によるAED使用回数は300件弱という記事がありました。
ただし、AEDをしようした場合は、かなりの確率で心拍の蘇生が見られるようです。

 AEDのさらなる普及も大切ですし、胸椎圧迫の正しいやり方を、国民全体で学習するために、
道徳の時間などを利用して、小学校くらいからそのような練習を行ってもよいのではないかと
考えたりします。

 



東日本大震災を振り返る

こんばんは。

 昨日は、関東大震災の日、9月1日でした。

 この大震災から、もう91年経つわけですので、この大地震を経験した人とは、
あまりお目にかかることはありません。

 当時、数えで 3歳 だったという利用者さん95歳さんの記憶には、
震災直後、銀座から熊本へ避難してきた伯父さんが、小さい、可愛らしい日傘をくれた、
という可愛らしい記憶が残っていました。

 現在我々が聞くことのできるその震災の惨事に関しては、非常に稀なこととなりました。
むしろ、まだ戦時の話の方が、よく聞くことがあるくらいです。
そうはいっても、終戦からは69年も経っているのですが。。。

 では、つい3年少し前の、2011年3月11日の東日本大震災に関しては述べたいと思います。

 この日は、私はデイケアのリハビリ担当として、診療所の2階にあるデイルームにてリハビリを
行っていました。14時46分というと、だいたい25名程度の利用者さんたちは、
一人20分程度の個別リハビリを終え、2時からの全員でのレクリエーションを終えて、
2時半からのおやつタイムにて、おやつを食べ終わったくらいの時間になるでしょう。

 その時、地震の発生がありました。東北の地震の強さには遠く及びませんが、
関東での地震も、かなり長く続いたと思われます。
 私の職場であるデイケアのスペースは、一部、建て増ししている部分があり、ある程度揺れが
続いている間、私は、この建て増し部分は、うちの医師の友人が手頃な値段で建てたと
聞いているので、危なっかしいから頑丈なエリアに移ろうと、考えていました。

 多くの利用者さんは、トイレなどを利用していた方以外は、硬直したように座っていたと思います。
介護職員も、ほとんど立っているのがやっとの感じで、立ち上がろうとした利用者さんもいなかったので、
ある程度は落ち着いて、壁掛けテレビで今後発表されるであろう地震に関する情報を待っていました。

 我々のデイケアでは、利用者さんは、お菓子を食べ終わった2時50分くらいから、
徐々に1階にエレベーターで降りて行き、車に乗り込んで、帰宅の途につきます。

 その直前の地震でした。

 地震後、エレベーターはまったく動かなくなりました。これは、安全のためシステムが一度停止した
ということで、その後再稼働させるには、業者を呼ばなくてななりませんでした。
 当然、その直後は、業者もすぐに駆けつける余裕はないようでした。

 利用者さんの家族にひと通り連絡したり、家族からかかってきた連絡を受けたりしながら、
まずは利用者さんを階下に下ろすことが、我々の仕事となりました。

 我々が普段使っている唯一のエレベーターが動かないとなれば、次に手段としてとるのは、
皆を階段を用いて下ろす。ということでした。

 リハビリのスタッフ(といっても2名ですが)で相談し、まずは、歩いて降ろせる人は階段を降りて
いただく、ということになりました。余震もあったため、少し不安はありましたが、まずは利用者を
各ご自宅に送りましょう、ということになったわけです。

 普段、介護度が高く、階段昇降の練習を行っている利用者さんにとってはなんということは
ないものですが、なんといっても2階から10段、踊り場をくるっと180度回って、さらに8段ある
階段です。 そこを、車椅子の利用者や、歩行での転倒リスクの高い利用者を降ろさなければ
ならなくなりました。

基本的に、普段から階段昇降を行っている利用者さんをまず下ろしました。

その後、平地歩行なら介助であれば何とか歩ける利用者さんから降段を開始しました。
利用者さんは、普段から階段を前向きでおりることにかなりの恐怖を覚えます。それは、
視線のマジックです。立位で階段の上に立ち、そこから踊り場までの10段を見下ろすと、
かなりの斜度に感じます。これは我々がスキー場で、10度程度の斜度にもかかわらず
かなりの傾斜に感じることと似ています。

 前方から足を下ろす場合は、両側に手すりがあるとはいえ、手の位置、足の振り出す
順番などを利用者さんとともにコントロールしていく必要があり、また介助側も前方に
立たなければ、利用者さんが万が一前方に転落していくことへの防波堤とはなりません。
よって、初めて降りる人には、かなりの難関となります。

 一方で、後ろ歩きを指示し、両方の手すりをもたせ、後ろ歩きにて下ろす場合は、
視覚的な恐怖心が抑えられ、また、介助する側も、後ろ足を少しずつ下ろしていく際の
コントロールがしやすく、利用者さんが がくっと膝折れをするリスクも前方ほど高くないため、
転落のリスクも抑えられます。

 とにかく、階段昇降の途中に余震に襲われて、利用者さんに怪我をさせるわけにはいかないため、
迅速に、そしてなるべく安全に、セラピスト2人でなるべく利用者を上と下で挟むようにして
下ろしていきました。

 最期に、普段より車椅子にて移動している方の移動です。この場合は、
災害時のためにデイケアに設置してある、 布担架 を利用しました。 
これは、基本的には一人または二人にて利用者さんを担げるように、左右のベルトを
首から肩にかけて、使用する担架です。
素材は防炎、防水布(ポリプロピレン100%)を使用しています。

 これを利用者の車椅子のシート面にしき、その上に利用者さんを座らせて、階段上に連れて行き、
左右にてセラピストが持ち上げます。そこからは、さらに前後にて介護スタッフにも挟んでもらい、
一段ずつ階段を降りました。 
 我が診療所の階段は、階段の幅は人が両手すりにて降りることを想定しているため、
左右にセラピスト、中に利用者、となると、かなり窮屈な状態になりながら、階段を下ろしました。

 車椅子の利用者さまのうち、体重の軽い人から下ろしていき、最終的には、3-4名、
ヘビー級(70kg以上の利用者を勝手にヘビー級としてしまいました)が残りました。

 このクラスになると、利用者本人も、我々セラピストや介護スタッフも、かなり嫌がりました。
ただ、このような災害時には、基本的には認知症であったり、高次脳機能障害の利用者さんも
いろいろと察するようで、いつものように拒否だ何だは少なかったように思います。

 その後、普段は送迎などに参加しないリハビリスタッフも総出で(そうはいっても2名ですが)
車を出し、利用者さんを家族の元に送りました。

 このような経験を経て、まさにその瞬間に自分がどこにいて、なにをしていて、どのような立場に
あるか、そのことが、かなり自分の命運を左右することになると実感しました。
個人の自分でいる時か、会社に所属する自分でいる時か、そういった面も影響するかと思います。

ただ、ここからは個人的な見解ですが、基本的には、そのような非常時に、
どのような自分として行動したとしても、
それを一から糾弾されるようなことにはならないかとも思います。
たとえ個人としての行動となったとしても、それも一つの選択肢なのでしょう。
 
ただ、この時は、被害がそれほど大きくない関東地方にいたこともあり、
職員全体がうまく連携プレーを行えたと思います。

 いずれにしても、リハビリのセラピストとして、この利用者さんはどうします?どうやります?
の問には常にさらされるわけであり、その時にすぐに回答できるだけの知識・経験と
利用者それぞれに対する評価を念頭に入れて常に仕事ができればいいな、と思っています。
現実にはなかなか難しいものですが。。。

 

医療費助成の指定難病の今後

こんばんは。

 本日は、難病について、最近の記事の情報に基づき、自分なりにまとめたいと思います。
日本は難病指定の多い国です。つまり、豊かな国とも言えるのです。
アフリカやアジアの途上国には、難病にあたる言葉すらない状態です。
そういった国では、人はなんという病気なのかすらわからないまま、その一生を終えるわけです。
 
 そういった意味で、日本に生まれたこと自体が、他の地域の人々から見れば、
恵まれた環境にあることを再認識する必要があります。それが幸せなことかどうか、それはまた
別な話ですが。。
 
< 子供の難病 > (H26.7.31)

  医療費補助の対象となる、 小児慢性特定疾患

 現行: 514疾患 

 今後: 514疾患を分類・整理して 598疾患に変更
      新たに、107疾患を追加(ダウン症・先天性風疹症候群)  →計 705疾患 へ

 現行 : 約11万人    →  今後 : 約15万人

 指定疾患の子供がいる世帯の自己負担額上限は所得に応じて月額1250~1万5千円
 子供の医療費の全額を補助している自治体もあり、実際の負担額は居住地によって異なる

< 大人の難病 > (H26.8.28)

   難病医療法に基づいて医療費が助成される  「指定難病」

 現行 : 56疾患

 今後 : 64疾患に細分化 
       46疾患を追加(遠位型ミオパチー・再発性多発軟骨炎など) → 計 110疾患 へ

 現行 : 約78万人   今後: 約120万

 さらに今後 : 300疾患 ・ 約150万人 を 医療助成対象に

 助成は重症度分類で一定以上の患者が対象で、
これまで自己負担がなかった重症患者にも世帯収入に応じて負担を求め、
月当たりの上限額は2500円から3万円。
年間の負担額は最高で24万円となる。従来の認定患者には3年の経過措置がある。  

 多くの難病指定患者は、一人暮らしは困難な場合が多いわけです。
そこで、世帯収入を基準にされると、国としては、今まで全額無料にしていた個人からも
お金がとれることになるわけですから、ある意味この改定は、
国としては、飴と鞭を使い分けて、難病指定が増えますよという飴と、
皆さんに自己負担してもらいますよ、というムチを公表しているようなものだと考えます。

 ちなみに、その110疾患とは、以下の疾患になります。

球脊髄性筋萎縮症▽筋萎縮性側索硬化症▽脊髄性筋萎縮症▽原発性側索硬化症▽進行性核上性麻痺
▽パーキンソン病▽大脳皮質基底核変性症▽ハンチントン病▽有棘赤血球を伴う舞踏病▽シャルコー・マリー・トゥース病▽重症筋無力症▽先天性筋無力症候群▽多発性硬化症/視神経脊髄炎
▽慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー▽封入体筋炎▽クロウ・深瀬症候群▽多系統萎縮症
▽脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)▽ライソゾーム病▽副腎白質ジストロフィー▽ミトコンドリア病
▽もやもや病▽プリオン病▽亜急性硬化性全脳炎▽進行性多巣性白質脳症
▽HTLV-1関連脊髄症▽特発性基底核石灰化症▽全身性アミロイドーシス▽ウルリッヒ病▽遠位型ミオパチー
▽ベスレムミオパチー▽自己貪食空胞性ミオパチー▽シュワルツ・ヤンペル症候群▽神経線維腫症▽天疱瘡
▽表皮水疱症▽膿疱性乾癬▽スティーブンス・ジョンソン症候群▽中毒性表皮壊死症▽高安動脈炎
▽巨細胞性動脈炎▽結節性多発動脈炎▽顕微鏡的多発血管炎▽多発血管炎性肉芽腫症
▽好酸球性多発血管炎性肉芽腫症▽悪性関節リウマチ▽バージャー病▽原発性抗リン脂質抗体症候群
▽全身性エリテマトーデス▽皮膚筋炎/多発性筋炎▽全身性強皮症▽混合性結合組織病
▽シェーグレン症候群▽成人スチル病▽再発性多発軟骨炎▽ベーチェット病▽特発性拡張型心筋症
▽肥大型心筋症▽拘束型心筋症▽再生不良性貧血▽自己免疫性溶血性貧血▽発作性夜間ヘモグロビン尿症
▽特発性血小板減少性紫斑病▽血栓性血小板減少性紫斑病▽原発性免疫不全症候群▽IgA腎症
▽多発性嚢胞腎▽黄色靱帯骨化症▽後縦靱帯骨化症▽広範脊柱管狭窄症▽特発性大腿骨頭壊死症
▽下垂体性ADH分泌異常症▽下垂体性TSH分泌亢進症▽下垂体性PRL分泌亢進症▽下垂体性ACTH分泌亢進症
▽下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症▽下垂体性成長ホルモン分泌亢進症▽下垂体前葉機能低下症
▽家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)▽甲状腺ホルモン不応症▽先天性副腎皮質酵素欠損症
▽先天性副腎低形成症▽アジソン病▽サルコイドーシス▽特発性間質性肺炎▽肺動脈性肺高血圧症
▽肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症▽慢性血栓塞栓性肺高血圧症▽リンパ脈管筋腫症▽網膜色素変性症
▽バッド・キアリ症候群▽特発性門脈圧亢進症▽原発性胆汁性肝硬変▽原発性硬化性胆管炎
▽自己免疫性肝炎▽クローン病▽潰瘍性大腸炎▽好酸球性消化管疾患▽慢性特発性偽性腸閉塞症
▽巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症▽腸管神経節細胞僅少症▽ルビンシュタイン・テイビ症候群
▽CFC症候群▽コステロ症候群▽チャージ症候群▽クリオピリン関連周期熱症候群
▽全身型若年性特発性関節炎▽TNF受容体関連周期性症候群▽非典型溶血性尿毒症症候群▽ブラウ症候群
 

始めるのは手間ですが、いつでも突然の終了

こんばんは。

 本日は、訪問リハビリの宿命である、’突然の終了’について述べたいと思います。
 その前に、始めるにあたっての煩わしい現在のシステムについても述べたいと思います。

 訪問リハビリというのは、ケアマネージャーを仲介役として、その利用者さんと訪問リハビリ事業所
との利用契約が成り立てば、契約が完了。もちろん、契約書なるものが存在します。
 ただし、その契約書にサインを頂けば、明日にでも訪問リハビリができるか、という点に関しては、
そうすぐにはいかないのが現状です。

 訪問リハビリ事業のうち、病院や診療所からの訪問リハビリの場合は、
① 主治医の訪問リハビリ指示書
② 訪問リハビリ事業を抱える病院や診療所の医師からの指示書

 この2つが必要です。 ① だけでいいじゃないか、という意見が多いのも確かです。そして、
私自身、①だけでいいじゃないか、 と思っています。
①の主治医にあたる人=②の医師にあたる人 であれば、①だけで済みますが、
 
 主治医は東京の大学病院の○◯先生ですが、 普段は地元の○◯先生にかかっています。
のような利用者さんの場合は、②の医師が一度、往診して、指示書を訪問リハビリに渡さなくては
なりません。そのために、少々のタイムラグが生じるケースが多いのです。

 利用者さんは、そんな仕組みは知らないので、すぐにでもリハビリを始めたい、と思います。
一方で、こちらは、まずはうちの医師が診察にお伺いして。。。となるため、
利用する家族や本人からすれば、主治医が訪問リハビリを始めろと言っているのに、なぜ
違う医者が来るのだ?と すこしイラッとしてしまうことが多いようです。

 さて、訪問リハビリを開始した後、
現在のところ、介護保険の下の訪問リハビリであれば、40分のリハビリを週に3回程度、
60分のリハビリを週に2回程度、行うことができます。

 さて、その終了の突然の形ですが、、、

まずは、利用者とセラピストの相性が合わず、 この人は嫌だから替えてくれ、または、
この事業所はいやだから、替えてくれ のパターン。 これが一番厳しい終了です。

 私は、本日、まさに終了した利用者さんがいます。

その方は、大腸がん・皮膚がん・胃がん・悪性リンパ腫と、ある意味、癌のオンパレードを
経験してきた方、Iさん88歳の男性です。
 ルックスとしては、非常にダンディーなおじさまで、年齢にしては背も高く、おそらくは
若かりし時はさぞモテタであろうな、という外見をしています。
 実際、東京の世田谷生まれ、良家の長男、勤務地は銀座、和食より洋食が好き(奥様談)
という、生まれも育ちも文句ない方だったようです。

 本人にとっては、幸か不幸か、アルツハイマー型認知症も併発しているため、
本人は自身の病歴や、現在の病識やらにとらわれず、ぼんやりしていることが多い方です。
こちらが、昔の話を聞いても、戦時の話は覚えていますが、それ以外は、’どうですか、忘れました。’
の一言です。
 ある意味、戦時中のことは覚えているということは、それだけやはり戦争という出来事の
大きさを痛感させられることでもあるのですが。

 食欲がなく、食事をほとんど取れないため、メイバランスという、高カロリーのジュースのような
ものを1日5本程度摂って、なんとか栄養を補っています。
(ちなみに、味としては、
コーヒー味・キャラメル味・ヨーグルト味・ストロベリー味・バナナ味・コーンスープ味・抹茶味・チョコレート味
などがあり、125ml で 200kcal はあります。)
 リハビリ中は、よく、喉の乾きを訴えますが、その都度飲むのは、CCレモン微炭酸です。
のどごしがよく、本人が好きなので、お茶よりはこちらの方が水分がとれるというわけです。

 家族は、娘さんが3名いるのですが、ターミナルケアとして父の介護に望んでおり、
毎日3人の誰かが交互に母と父の暮らすマンションに通ってきている状態でした。

 胃ろうは作らない、癌が進行しても入院はさせない、家で看取る、それを信条に父親の介護に
あたることにしていたようで、その意味では訪問リハビリの時間中もかなり熱心に父親の
側にいてリハビリ風景を眺めていました。

 結局、今日、突然の終了を迎えるまで、Iさんとのお付き合いは、約半年でした。
身体機能面で考えると、そのうちの4ヶ月は横ばいから少し上向き、
その後の2ヶ月はひたすら下り坂だったような気がします。

 この2週間あまりにて、急に歩行が困難になり、電動ベッドの導入、手すりやベストポジションバー
(天井と床につっぱる棒のような手すり)の導入など、体調が急に下降していきました。

 ベッドに起き上がって、端座位をとるのも辛そうで、本人も、’もう疲れた’ ’もういいです’
をリハビリ中によう発するようになっていました。

 本日、往診医が診断をし、もってあと数日との判断がされたということですが、その間、
Iさんの癌がどの程度の範囲に転移したのか、それは検査すらしない、入院をしないという選択を
した家族と本人(認知面の顕著な低下のある本人の意志はあまり反映されていないとは思います)
には、わかりようがありません。

 ただ、その時点で、訪問リハビリは当日キャンセル、そしてケアマネージャーからの連絡により、
訪問リハビリは今後中止となりました。ということになりました。

 ALSなどの進行性の難病や、がんの方、そういった方のうち、今回のケースは、かなりぎりぎりの
タイミングまで、その家族と関わることができたかもしれません。
ただ、ある程度こちらでも想定はしていても、訪問リハビリは、終わるときは突然です。
たいていは、車の中にかかってくる携帯電話での一言です。

 私の過去に関わってきた利用者の中にも、亡くなった方は大勢いらっしゃいますが、
その後の家族との関わり、というのは難しいものです。あえて、その後、そのお家を尋ねないということ
が多いのは確かです。
 49日の後、リハビリの代金を回収しにその利用者さんの自宅に行くようなことはあり、
その際には、家族とお話したり、お焼香をさせていただいたり、という機会はありますが、
多くの場合は、なかなか敷居が高い感じがします。

 あくまで我々は、本人が生きている間に関与する空気のようなサポーターであるほうが、
より自然な形で関われるのではないかと思います。
ただ、私は本音を言えば、亡くなった利用者さんのお家にその都度お伺いして、
お線香をあげさせてもらい、その家族とお話をしたいと考えています。

ただ、家族が必ずしも
我々のような職種がその後に自宅を訪れるのを好ましいと思っていないことも、
よくよくわかるような気もするのです。

 いずれにしても、本日は、突然の訪問リハビリ終了の宣告をされてしまった
Iさんが、支えてきた家族皆様に囲まれて、穏やかに最期を迎えることを願うばかりです。




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